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ベッカー御大からの贈り物 [スティーリー・ダン]

SDファンのみなさんなら疾っく(とっく)にご存知だとは思うんですが、walterbecker.comよりメールが届いていたので何かと思っていたら、「Circus Money」のDubミックスの別バージョンが無料でダウンロードできるぜ!ってぇんで、こりゃまた太っ腹だな〜と思って早速無料曲を乞う左近治でありました。

MP3ファイルはもとより、可逆圧縮のApple Lossless、FLACやらWAVファイルまで自由にダウンロード化という大盤振る舞い。曲の一番最後の部分にアウトテイクな雰囲気を感じさせてくれるギミックがよろしいですな♪

まあ、昨年はベッカー御大で完全に楽理面の話題に火がついた左近治でありましたが、2009年初っ端のKクリのリリースもそろそろ控えているわけでありまして、ベッカー御大の曲はもちろん、他にもパット・メセニーの某曲やらGilgameshまで色々取り揃えている左近治なのであります(笑)。

ギルガメッシュと言えば、まあHatfield and the NorthやらEggやらNational Health好きな人ならまず間違いなく持っているであろうと思われるグループなのでありますが、1stアルバムの中からちょっぴりクロスオーバー感のある曲を一つ取り上げた、というワケであります。

アラン・ゴウエンという人はカンタベリー系の中でも結構クロスオーバー感を有しているひとりでありまして、この人の独特な世界観はやはり避けては通れないと思いまして取り上げることにしたワケです。

ギルがメッシュを知らないYMO基準な人ならKYLYNの「Akasaka Moon」やらの雰囲気を想像していただければピンと来るかもしれません(笑)。まあ、アカサカ・ムーンの渡辺香津美が弾くアリアのダブルネックのフレットレス・ベースはこれまた非常に巧みなフレージングなのでありますが、ああいう曲の雰囲気はどちらかというと私はゴウエンを感じてしまうんですなあ。「Akasaka」とはいえ「Aksak Maboul」と間違えないで下さいね、と(笑)。

Aksak Maboulも私は取り上げたいアーティストのひとつではあるんですが、レコメン系を代表するこの手の曲に触手を伸ばしてくれるユーザーが果たしてどれくらい存在するのか、ある意味非常に興味深いところではあるんですが(笑)、あんまりマニアックに振り過ぎてもどうかなーと、私自身判断に迷うところではあります。非常に好きなのでいずれはリリースするんでしょうけどね(笑)。

で、先も少し触れたパット・メセニーですが、私が今回取り上げるのはメセニーのメロディック・マイナーの情感の抱き方が顕著に判る好例となる曲をリリースする予定でして、テーマは「ハーフ・ディミニッシュト9th」となるので、追々それについては語っていこうかな、と思っております。

元日にアップロードしたサンプル曲もハーフ・ディミニッシュを織り交ぜている所に気付いていただけたとは思うんですが、上声部で9th音(長九度)を使わずに下声部のベースで9thを使う、と。どちらかというとベッカー御大のベースのアプローチを拝借してみたというワケであります(笑)。

四声でハーフ・ディミニッシュを用いる場合、チャーチ・モードの世界だと9th音というのは短九にならざるを得ないため、明らかにメロディック・マイナー・モードとは違ってくるワケですね。

但し、そんな特徴的な9th音を使わずに、普通に四声のハーフ・ディミニッシュを用いた場合、ある意味では9th音の選択如何によってはモード・チェンジによって複数の調的な世界を渡り歩くこともできるワケですな。

まあ、前回のブログのサンプル曲で出てくる「F#△7(+5、+11)」なんてぇのも、表記的には「D7(#9、b13)」系にすればイイのではないか!?と疑問を抱かれた方はどれくらいいらっしゃるでしょうか!?

敢えて私は底意地が悪いので(笑)、コード表記はこれよりも判りやすく解釈はできないと述べましたが、あのコードを「D7(#9、b13)」と表記してしまうと、想定してほしいモードがこちらの意図しているものと違ってドミナント7thを描いてしまうために、わざと違うモードを想起してもらいために書いた配慮なんですな。意地悪ではあるんですが、これは決して私の性根がrotten to the coreなのではなくてですね、メロディック・マイナー・モードの世界が意地悪なんです(笑)。


「F#△7(+5、+11)」なんて表記されたら、

「F#リディアン・オーギュメント使ってほしいんでしょ!?」と、釈迦に説法とも言えるような無粋な提示を「敢えて」しているワケですね(笑)。

その表記を「おめー、オレを誰だと思ってんだよ?」と無粋に感じてくれる人はこの場合多く存在するワケでありますが、「D7(#9、b13)」の表記をした時にF#リディアン・オーギュメントのモードを維持して使ってくれる人は少なくなってしまって、Dのドミナント7thを先に想起して対処されちゃうこともしばしばあるんですよ。

そうすると、アホな人だとオルタード・テンションで逃げようとして使わなくてもいいb9th音使っちゃったりとかですね、こーゆー余計なコトしてアンサンブル乱してくれるワケなんですわ(笑)。オルタード使ってもイイ所ならこの左近治、きちんと「D7(#9、b13)」と表記しますぜってなモンよ(笑)。

私のバンドでこーゆー気の利かないのが居たら即、パイプイスで殴り掛かるでありましょう。

世の中には、頭に蓄えたボキャブラリーの全てを読経のように羅列するだけの自称ジャズ屋が居たりするもので、そんな無責任な音選びなどインプロヴァイズとは言えないのでありますな。一方ではインプロヴィゼーションのようであっても実際には緻密に計算されたアレンジがもたらすアンサンブルだったという楽曲があったりするものです。

音に目覚めきっていないにも関わらず、自分の出したい音の前には盲目になって「ジャズたる自由をよこせ!」などと宣う輩がいたりするものですが、自由が欲しけりゃボキャブラリーはおろか感性備えろ、と言いたい左近治がおりましてですね(笑)、左折しそうな時には左に方向指示出す事を覚えさせるだけなら小学生でもジャズ屋の音など出せてしまうんですよ。ココでいう「ジャズ屋」とは真のジャズとは違いますからね(笑)。

運転に慣れてきたら、左折する時方向指示出しながらハナクソほじる自由を渡せってか。左近治はやはりこういう場面でもstrictでありたいんですなあ(笑)。

言葉だってある程度覚えればいくらだって使いこなすことができるワケですが、国が変われば全く使えない人だっているワケですな。ただ単に丸暗記するかのように「スケール博士」になってしまう人は、日本語操れるようであっても外国行けば役立たないのと等しいんです、コレが。

しかし音楽とは万国共通なワケですな。それでも「自由を渡せ」と言ってる割には自由与えた所で出てくる音などタカが知れてる音を選ぶのが実に多いんですよ。私が○○ひろみの音を嫌うのはそういう無責任な惰性の音の羅列が多いからなんですが、こんな音出しちゃってる人、実際にはもっと多いんです。

ホールズワースの音選びこそ、幾多のスケールの中から選別された音の羅列にすぎないと言う人もおりますが、ひとつの世界の中で幾つも調的な選択肢を提示させてフラつきを楽しんでいるのがホールズワースでありまして、ソフト・マシーンだって全てがインプロヴィゼーションで成立しているワケではありません。カンタベリー系の音楽などある意味では殆どのシーンで雁字搦めの制約を伴っているでありましょう。許容されているのは、その人の強い個性(偏向度)を視野に入れた信頼から来るもので、そこでソロをやらせたりとか。

実際には束縛されている制約というものを見抜いてナンボだと思うワケですが、他人の作ってきた曲の解釈に本人以上の解釈が可能なくらいになれば、制約からは解放され初めて自由になれるのも音楽なんですな。

まあ、そんなワケでただ単にマニアック系な音楽が好きだからと言ってプログレ界隈やカンタベリー系やらレコメン系やらを引き合いに出しているのではなく、なんでそれらの音楽を引き合いに出しながら左近治は語るのか、という部分を見抜いていただければ幸いです(笑)。