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チェレプニンの音階 [スティーリー・ダン]

聞き慣れないような音階の名前が出て参りました。

9音音階ですんで(通常の音階は7音、コンディミやディミニッシュトは8音)もはやこれ以上の音を使うとなると半音階しか無い!といわんばかりの音階です。

幾何学的な音並びにも映るかもしれませんが、実はコレ、かなり彩りを添えてくれる音階なんですな。まあ、元来アレクサンドル・チェレプニンだって世界の民族音楽を研究して、その特徴的な音を単に抽出したのではなく、その特徴的な音の魅力にどうして人は魅了されて使っていたのかという所に端を発するものだと思うんで、音並びこそ幾何学的であってもそこにはしっかり叙情性が存在するという音階なワケですな。

この音階を知ってはいてもなかなか使う機会が無いかもしれません。左近治とてチェレプニン・スケールを当てはめる時には大体増6度と長七を使う時や、メジャー7thコード上で♭9th音という音に巡り会わざるを得ない時のモードを導入する時など、いわゆる長七度音程を持つコード内での「お遊び」が一番手っ取り早いワケですが、そういうモードを導入するコトなどウォルター・ベッカーのような和声を使ったり、ハンコックや坂本龍一系のようなハーモナイズを試みたりするようなことは一般的な音楽の中ではそれすら機会は少ないんですな。但し、ショパンだったらチェレプニンの音階を実に巧みに使うだろうな、と思うワケであります(F.ショパンとチェレプニンは時代が全く違います)。

チェレプニンの音階を簡単に覚えるには、まず基音から増三和音を形成して、その和音の各構成音の前後に半音音程を持つと覚えれば判りやすいでしょう。

つまり、Caugというコードがあった場合、各構成音の前後が半音音程を持つ、と。

まあ、こういう使い方だったら概ねリディアン・メジャー7th上で気軽に使えるくらいにはなるでしょうが、だからと言ってこのモードを導入した時の調性の移ろい感を演出するにはかなり難しいモノでありまして、いずれKクリでリリース予定の、誰もが知っている某曲をアレンジする際に用いてみたので今回はチェレプニンの音階についてチラッと語ってみたというワケです。いずれ某曲がリリースされた時にでも詳しく解説する予定です。SDファンやらベッカー狂いの方やら、和声にはチトうるさい方に向けて作っていたというワケです。

こういう音階をとりあえずは使えるようになったのも正直、ベッカー先生のお陰なんですなあ。「Circus Money」を買って和声に酔っている方は今一度「11の心象」も聴いてもらいたいと願うばかりです(笑)。

チェレプニンを題材にしているのに全く無関係な本日のデモは、コレ。



冒頭のSEとギターのフレーズはApple Loopを加工したものですが、他はApple Loopではありません。それにしてもこの私のアンサンブルはズレズレでヘタですね(笑)。ドラム音源はBattery3のTight Kitを加工しただけです。いっつも左近治のアタマん中はこーゆークリムゾン風な精神で狂気に満ちているkinkyなアラフォーだと思っていただければ幸いです(笑)。