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God’s Eye View - ウォルター・ベッカー Circus Money Analysis [スティーリー・ダン]

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ベッカー先生のkinky魂が炸裂している曲ですね。

ヘタにジャズっぽい志向で振るよりも、こういうリフにおいて遊んでいた方が、ジャズ方面の器楽的な部分に弱い人達にも巧いことアピール出来るんではないでしょうか。

スネアのマット感とファット加減が非常に好ましいのですが、おそらくふたつのスネア使い分けていると思います(笑)。

オルガンとバリサクの薄くかけられているのか、まんまルーム感なのか判りませんが、残響具合が絶妙なんですね。
余談ですが、出だしのベッカーの歌詞は「Could you rape?」に聴こえてしまっていた左近治です(笑)。

「Selfish Gene」方の「wig head」も「dickhead」に聴こえていた左近治なんで、まさに我が身を振り返っております。

扨て、この曲において楽理面では語るところはありません。ある意味そういう曲はミックス面やらに注視して解説していたわけですが、例えばこの曲のキックの音。結構倍音豊かです。

この手の音というのは他のアンサンブルの倍音成分が強調されていると意外に埋もれやすくもあるんですが、結構生き生きしているんですな。ルーム感が巧いこと分離しているからでありましょうが、もしかするとオーバーヘッドのチャンネルを少し多めにミックスしているのかもしれません。

そういうミックスをするにしても概ね金物がカブって来たりして実際は厄介だったりするんですが、スネアとハット周りの収音の絶妙さはこの曲に限らず凄い部分だと思います。

スナッピーのシズル感を残しつつ、やや金属的な共鳴の部分音、スティックのチップ音も判るくらいに、全ての帯域においてデッドな部分は少なく且つ音作りされている。再度チェインのトリガー帯域選択とリリースタイム具合も絶妙だと思います。

個人的に一番参考になったのは「Upside Looking Down」ですが。


SDサウンドを聴こうとするのではなく、もっと肩の力を抜いてノれる曲というのは「Somebody’s Saturday Night」「Darkling Down」とこの曲だと思いますな。

アルバムの序盤では陰鬱に攻めておいて、終盤でこういうSDファン受けするような曲を選んでいるのは、やはり計算しているんでしょうな。それにしても歌詞が「Cousin Dupree」をも連想してしまうほどエグい(笑)。