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エクストラ・ロング・スケールのベースとの出会い [ベース]

90年代に入ってすぐの楽器フェアだったと記憶しているんですが、その当時ベースは多弦モノがかなりポピュラーになってきていた時期でもあったんですが、34インチを超える長尺のエレキ・ベースというのは実際に弾いたコトはなかった左近治でありました。90年暮れか91年頭辺りだったと思ったんですが。

この時の楽器フェアでの左近治の目的は、Mac関連のソフトやハードを見るため(笑)。その頃猛烈に欲しかったので(笑)。んで、FinaleとPerformerとIIci手にしたんですね。

ベース小僧だった私は多くのベースを手にして満足していたのか、ただ単に新しい多弦モデルが出た程度では魅力を感じなくなっていたんですね(笑)。私のフォデラは弦間ピッチが20ミリ(ブリッジサドル部)。「18ミリじゃ弾けない!」とばかりにワイドで、ネックはケン・スミスやアレンビックのようにthickなモノが理想(フォデラは薄いんですけどね)という信念を抱いていた時代でした。

その信念とやらも実は自分なりの根拠を持っていて、ボルトオンの場合だとジョイントの組み込みひとつでもLow-Bのサステインは変わるし、概ね相殺されて鳴らないタイプのモノが多かった。さらにはある程度鳴ってもヘッドからの跳ね返り振動でLow-B本来のサステインが死ぬ、と。つまり「弦負け」するネックのベースがボルトオン、スルーネック問わずそういうベースが多かったんですな。だからこそネックの体積を稼いだワイド幅のネック、あるいはヘッド角部(ヘッド裏)にオーバーハングでネックをシェイプさせて(ここは結構キモらしい)、弦負けしないようにネックをスタビライズさせたり強度を持たせたベースにしか興味が涌かなかったんですね。つまる所、ピアノのようにふくよかなサステインを持つ「鳴ってくれる」Low-Bのベースって本当に少なかったんです。

んで、Mac関連に夢中になっているその楽器フェアで、本来ならLet it Goしちゃってた筈なんですが、遠目から見てもどこか尺が長く見えるベースが一本あったんですな。5減ベースで。計測はしなかったものの、弦間は17ミリくらいのもの。

ブースもどこだったかよく判らない(たしか日本の東海・関西方面の輸入代理店)、あまりに興味を引くそのベースを弾かせてもらうことに。

話を訊くと、そのベースは36インチスケールだとか。ドイツのメーカー「Schack」。

ナローな弦間でスケールが長いだけでどれだけ鳴るものか!?と鳴らしてみた所、そのふくよかなサステインに左近治はびっくり仰天。これほどまでにスケールを延長することで音が良くなるのかと実感。

その頃、著名なフォデラやケン・スミスだって皆34インチの多弦ばかりを出品。長尺など私の見た限り、当時はそのベースだけでした。

それから1年、2年経過してあちらこちらでエクストラ・ロング・スケールのベースが発売されたワケでしたが、Schackの与えた影響は大きかったのではないかと今更ながら思います。

それまでは、アトランシアで特注するか、ジミー・ジョンソンのようにアレンビックで長尺特注するか、またはどこで取り扱っているのかも判らなかったカール・トンプソン位しか選択肢は無かったくらい、実際に長尺モノをお目にするのは無かったんですね(アコベは別)。

フィリップ・クビキのマイナス2フレットの発想でLow-Dの音をテンションの大きな変動もなくE弦に通常は0フレットポイントにカポタストの要領で長尺を実現していた特別なものはありましたけどね(笑)。マイナス2フレットとなると、実際に拡張部は36インチよりも長くなると思いますが。

仮にマイナス1フレットやマイナス2フレットの要領でネックを加工してベースを作って、一番端を「ナット」にしてしまえば、チューニングを上げることになるので、弦のテンションは自ずと高まって「鳴る」ワケですな。フィル・クビキのマイナス2フレットが4本の弦に全部あるとして、マイナス2フレットでの演奏を標準として全音上げチューニングしてしまうというような発想です。

アラン・ホールズワースが使っていた不思議な長尺ギターというのもありましたけどね(笑)。

まあ、その後数年が経過して某歌番組でドリカムの人がSchackを使っていたのをたまたま見かけたことがありましたけど。

その後、魅力あるベースというのはあまり無かったんですが、F-Bassの弦負けしない鳴りと若干の長尺を利用した組み込みに基づいた音には驚いたモノですけどね(笑)。

全く同じモデルのベースでも弦負けして鳴らない音など弾いてすぐに判ります(笑)。弦が死んでたりとかそういうレベルじゃない(笑)。4弦のベースでも普通に有り得ることですからね。こういうのを掴まされないように楽器選びは慎重に(笑)。