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エレクトリック・ベース考察 [ベース]

今や忘れ去られた感も否めないスラップ・サウンドでありますが(笑)、要所々々に於いてはまだまだ必要とされるシーンもあり捨て難いものですね。

現在なら「スラップ王子」とでも名付けられてしまいそうな勢いのあったのが当時のマーカス・ミラー。70年代のJBの価値を一気に高めたベーシストのひとりですな。左近治はどうも3点止めのジョイントが好きではなくて、ズレちゃうんですよね、アレ。ヘッドの脇をコツンと叩いてきしむ音が、黒板引っ掻いたような実にエグい音出してくれちゃうんですな(笑)。

まあ、あのベース・サウンドのキモはやはりオーバーシュート特性を持ったEQで演出してナンボというイメージがあるんですが、3~4バンド位の帯域だと的が絞りづらいというか、オーバーシュートの特性のためにブーストとカットの特性が違うようなEQで、且つ5バンド以上あった方が望ましいといいますか、そういう風に感じている左近治であります。

ベースアンプに限らずギターアンプなどのスピーカーの特性はもはやオーディオ的には有り得ない位偏った特性で、ショボイエレクトリックの音に太さを演出させているワケですな。ところがベースはどちらかというとライン録りの方が多く、アンプ音をミックスすることはあってもアンプの音をマイクで拾うだけのシーンは現実的には少ないのではないかと。

基から偏った特性にされて、モコモコ感やらポコポコ感が演出されていて、その音が「スタンダード」という発想で音作りをするのが日常的なことだと思うんですな。

スティングレイの初期はポコポコ感のある帯域を演出しながら相対的にはミドルカットになってトレブルはスルーになる特性ですが、広いレンジで少ないバンド数のオーバーシュートの演出がされているハイブリッドな回路だったワケなんですな。

古いバルトリーニのTCTはミドルカットが400Hzに固定されているんですが、この周波数ポイントは結構絶妙で、アンプに通した際の、やたらと偏ったブーミーさを抑えられる帯域でもあります。

とはいえ、音程感もありながらコンプのノリが良くなるであろうEQポイントはシェルビングでの中心周波数が180Hz~200Hz付近がオイシイポイントで、4弦で最低音Eなら40Hzから思いっきりHPFで切ったりとか。

さらにはブリブリ感が演出できるのは350Hzを中心とした場合、オクターブ上の700Hzもブーストするとイイんですが双方ともQ幅はかなり狭く、350~700の間の丁度中間辺りの周波数は相対的にカットされていることが望ましい。


今度は「ベチベチ感」。粘りを演出できるポイントは指板にもよりますが、メイプル指板なら1.7kHz辺りがオイシイ部分。但し、700Hzから1.7kHzの間の中間辺りはコレもやはり相対的にカットされていることが望ましい(笑)。

さらには3.5kHzをそれらのポイントよりも更に狭いQ幅でカットして、余計なギラつきをほどよく抑え、5.5kHzもしくは7kHzから上をシャープにしたいならお好みでブーストする、と。


音程感をキープしつつクリアで「よくある」タイプのスラップ・サウンドはこの辺弄ると面白いと思うんですが、フレットの幅や山の高さでも音はかなり違いますし、ましてや弦の張力に耐えきれないでネック側の二次振動が弦振動に悪影響を及ぼして「鳴らない」ベースもよく存在しますし(笑)、ベースによってセッティングは様々です。

ただ、ブリブリ感やポコポコ感やらベチベチ感というのは概ね先述にある通りではないかと(笑)。


周波数ポイントを列挙しただけでも、各周波数ポイント間は結構狭く、もはやこういうセッティングだとワイドなQ幅を持つEQ程度じゃ演出できません(笑)。だからこそパラメトリックEQが必要なのは勿論の事、オーバーシュート特性に注力されているタイプのEQや場合によっては固定フィルターバンクの方が功を奏する時だってあるんですな。


とはいえ、ニッケルとステンレス弦でも音は全く違ってくるのでこれがまた難しい所です(笑)。ニッケルの方がベチベチ感が強く出ますけどね(笑)。

最近はとにかくプレベの音に酔いしれている左近治なので(笑)、ジャズベ・サウンド追究はしばらく冬眠するかもしれません(笑)。