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戸田誠司氏に敬意を表して [サウンド解析]

元SHI-SHONENやら、タレントとしてすっかり有名になったYOUが在籍していたバンド、フェアチャイルドにて活躍されていた方戸田氏。サンレコ最新号を読んでいて、最後のクダリに妙に頷いてしまった左近治。

SHI-SHONENが活躍されていた頃というと83、4年ごろでしょうかね。その頃の左近治はとってもkinkyでパンクスでありながらもどこか音楽的には理知的な部分を備えたいという、ジャズのアプローチはもちろん、容姿は異端でしたが音楽面においては純朴でしたよ(笑)。

で、その当時を思い起こすと、立花ハジメやらイコシン、近藤等則、梅津和時、渡辺香津美など奇異で特異で素晴らしい人たちを観たり聴いたりしていたモンですよ。YMOに少なからず影響されて、発売されたスネークマンショーのアルバム『ピテカントロプスの逆襲』のアナログB面の一番最後、レーベル面に針が行ってしまう部分でもですね、音がカッティングされているんですよ。それもプチプチとノイズが巧いコト消えるように、トラック部のSE音がループするんですね。

今やサンレコ誌上でもよく見かけるDUB MASTER-Xやら後の屋敷豪太という人達が絡んでいたそのスネークマンショーのアルバム、やはり一筋縄ではいきません。しかし、左近治が屋敷豪太を本当に認識するのは、それから数年してファミマのCMでMUTE BEATが使用された時で、あの当時はまだまだハイピッチ・スネアの音なんてぇのはポピュラーではなく、ProToolsもまだ導入されていないような時代で、多くの音楽ジャンルもアコースティックでありながらもグランジっぽいサウンドを一方では模索していたり、打ち込み系ではユーロビートがまだまだ席巻していたワケでして、その後にニュー・ジャック・スウィングが短命でしたがポピュラーになって、ローピッチ・スネアのサウンドは完全に駆逐された時代へと移行して、グラウンド・ビートが生まれた、と。そういう流れがありました。

で、左近治のベース弾き生活の当時とそれらの時代背景をリンクさせるとですね、当時左近治自身がジャズ・フュージョン界隈の世界へとかなりジャイロをシフトさせていたコトもあってですね、多くの他のベース弾きに出会うとマーカス・ミラーの音を追究している人達が実に多いコト(笑)。

かくいう左近治もですね、マーカス・ミラーのファンですらなかなか持っていないようなレコードを収集したりして研究したコトもあったんですが、私の好きなジャズ・ベースの音というのは、山下達郎のアルバム『RIDE ON TIME』収録の「Someday」。これがマスターピースなんですね。マーカス・ミラーの音とはかなり異質なワケですよ(笑)。

とゆーか、マーカス・ミラー好きな人が嫌いそうな音の帯域をふんだんに聴かせてくれるワケですよ(笑)。

その頃左近治が好きなベースはBCリッチのイーグル・ベースとプレシジョン・ベース(笑)。まあ、ウィル・リー大好き、渡辺直樹やエイブラム・ラボリエルに心酔していたワケですよ。

そうはいってもマーカス・ミラーの音の秘密はEQそのものよりもジャズベースのピックアップの搭載されている位置こそが重要なポイントだというコトを追究している人は意外にも少なく、マーカス・ミラー関連のアルバム集めても、どう聴いてもジャズ・ベースの音ではないのに、いわゆる中抜けの音と8分付点を活かしたフレージングによって許容しているだけのような方々の方が多くてですね、本当の意味で色んなベースを触って試した上でマーカス・ミラーの音を追究している(知っている)という人は少なかったですね。

とはいえ、どんなヘッポコラジカセだろうがステレオだろうが、車ン中だろうが、マーカス・ミラー自身が実際にジャズ・ベースではない他のベースを弾いてようが、確実にそれは「マーカス・ミラー」というコトは判るんですね(笑)。メゾフォルテ聴いても故青木智仁氏を聴いてもダマされないワケでして(笑)、マーカスのそれ、と確実に判る部分は確かにあるんですよ。

着メロ・着うた制作だと、携帯端末のスピーカーで鳴らすことを前提としているため、よくあるオーディオ的な視点で音をミキシングしていくと返って携帯では鳴ってくれないというか、引っ込んでしまうコトもあるんですが、ただ、どんなモニター環境であってもソコソコの音で鳴っているというレベルに最低限でもしないとですね、携帯端末搭載の個々の製品の違いで変容してしまう要素の方が高くなってしまって、結局思い通りの音にならない、或いは端末によっては不利益が生じるほどの再生音になりかねないワケなんですよ。

結局のところ、携帯端末用として音作りをシフトさせてもですね、あまりに大胆に、時には無頓着過ぎてしまうと携帯端末上ですらも鳴ってくれない音になっちゃうんです(笑)。どんな対象物でもミキシングはこだわれ、と。そうすることで次なるフェーズが見えてくるワケなんですよ。

当時の時代背景ですと、私の好きなレコーディング・エンジニアはダグ・エプスタイン。この方のミックスはとにかくシンバル類のゲートの使い方やら、空間演出が勉強になります。

レコーディングの現場で多用されるダッキング、すなわちサイド・チェインやらゲートやコンプ関連の巧みな使い方はダグ・エプスタインがお手本になったからこそ、と思えるほどなんですね、左近治にとっては。

例えばキング・クリムゾンの「Sleepless」。トニー・レヴィンがスティングレイでスラップ演ってるアレですが(笑)、低音弦には16分音符のシングルディレイかかってるのに、プルの高音弦にはディレイがかかっていないというワザありますよね。

ピックアップがポリ出力だからではありません(笑)。あれこそがフィルターとサイド・チェインとゲートとディレイを巧みにルーティングさせたダッキングの手法で構築した音なワケですよ。賢明な方でしたら、ゲートのセッティングやらどういうルーティングをすればいいか、このヒントだけでお判りになってくれるコトでありましょう(笑)。

ただ、これらのヒントを得たとしてもあらゆる再生装置でそれなりに「鳴って」くれる音を構築するのはホントに難しいモンですよ、ハイ。