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マーカス・ミラーの音について [ベース]

 マーカス・ミラーといえば、80年代前半にスラップの音がもはや神格化されるほど影響力がありました。特に81~84年くらいは独壇場といっても過言ではなかったでしょう。

 私が好きなベーシストは

エイブラハム・ラボリエル
レイ・シャルマン(Gentle Giant)
ジーン・シモンズ(Kiss)
トニー・レヴィン
ニール・ステューベンハウス
アンソニー・ジャクソン

という人達。比較的新しいところでは

ランディ・ホープ・テイラー
Fieldy(Korn)
とまあ、こんな感じでしょうか。

 蚊とんぼマーカス君の音というのも、実は参加アルバムなどでも結構違っているので一概には言えないのですが、私が好きなマーカス・サウンドというのは

Neither One of Us / David Sanborn アルバム:「Backstreet」
アルバム「As We Speak」 / David Sanborn
Thankful N’ Thoghtful / Dave Grusin アルバム:「Night-Lines」

 マーカス・サウンドに欠かせないものは何と言っても70年代のジャズ・ベース。リア・ピックアップの場所が違うところにマウントされているので、これだけでも全然違いますが、上記の曲が明らかにマーカス・サウンドの代表格と位置付けるのはワケがあって、これらの音はただ単にパラメトリックEQやグラフィックEQでは得られない工夫が施されているからです。

 その特徴というのが、フィルターバンクをかませて音を作るということです。バンド数が多くバンド幅が狭く、且つバンド数の多いフィルターバンクを通すのはBusトラック。それを原音とブレンドしたり、低域をそのまま通過させて他の帯域をBusで送ってフィルターバンクに通したような音だからです。

 フィルターバンクを通して音作りを行った場合、イコライジングでは得られない際立った音のレスポンスと独特の周波数カーブによって、普通のEQならドンシャリにしかならないような音にも生きた帯域があって、埋もれない音になるのです。

 特にフィービー・スノウが歌うデイヴ・グルーシンの「Thankful N’ Thoughtful」では、原音トラックとBusトラックをパターンごとに分けたりしてミックスしている顕著な例です。フィルターバンク側にコーラスを薄くかけたりすればこれもまたオツなものとなるわけです。

 ラックマウントタイプのエフェクターがブームになっていた80年代中期頃となると、エフェクトの数が増えるほどルーティングに頭を悩ませます。アースをしっかり取っていないとノイズもひたすら乗って迷走状態に陥ります。直結させていくだけでは得られないエフェクトもあり、それらのルーティングをパラレルに使いながら、プレイヤー・ドメインで音色を操るというのがブームになったわけです。

 幾多にも並列ルーティングをしてもそれをまたまとめるという意味で、RANEのSM-26やAKAIのMB-76というのは非常に良い出来でした。マルチエフェクター・ブームの火付け役ともなったYAMAHAのSPX-90など、こうなると色々な音色の種類を瞬時に呼び出すという、プレイヤーの欲求が高まっていた時代ですね。ライヴステージでのトレヴァー・ラビン(90125Yes)のエフェクト操作や演奏は素晴らしかったです、ハイ。

 近々、マーカス系でルーサー・ヴァンドロスの「See Me」という曲をリリースするので、それについてはまた後日ということで。