SSブログ

教授 [YMO関連]

先週、今週と「戦メリ」のサントラに含まれる佳曲「Last Regrets」をリリースしているのでありますが、時期を考えれば「Merry Christmas Mr. Lawrenceの方じゃないの?」とお叱りを受けるかもしれませんけどね(笑)、そっちの方は着メロ時代に「着メロとしての在り方」としてやるだけのことはやったという充足感がありまして、今ここで「戦メリ」を着うたアレンジでリメイクしても、リメイクするほどのアイデアが浮かばないのであります。

ただ、戦メリのサントラの含まれる曲の数々はサントラとしての小曲にしてしまうのは勿体ないようなものもあって、今回選んだのが「Last Regrets」なのであります。

坂本龍一らしさのある和声の平行移動。古くは「Plastic Bamboo」にも通じるといいますか。別にマイナー・コードのパラレル・モーションなんて珍しいワケでもなく、坂本龍一らしさの旋律の運びこそあっても特別なものではありません。しかしこの曲の6拍子のノリ方は、ジェントル・ジャイアントのケリー・ミネアーを彷彿させる似たフェーズに位置するモノ。左近治としてはLet it goできないんですなあ。どうしても作りたくなってしまったというワケです。

この曲は単独でたま~にテレビのBGMに使われていたりするのを耳にしますけどね。

プロフェットのポリモジュレートを使っているであろう、バックの少々変調の強いパッドと、ショート・ディケイのメロディのパッド音はまさにプロフェット・サウンドだと思います。その辺をどうにか似るように作った左近治でありました。

とはいえ「戦メリ」をいつでも作れるようにLogic ProのES2を使って、ガムラン・サウンドにピッタリの音は作ってあったんですけどね、実は(笑)。この音を違う形で他の曲で使うか、パラメータを公表するかどうかは今後の左近治の気分次第ということで(笑)。

私の近い所からは、Elastic Dummyのキーボードソロの譜面でも公表してみろ!という声もありますが、許諾もらって公表する分には構わないんですけど、ソロの音くらいは誰でも追えるし、そういう譜面程度じゃ公表したところで誰も満足しないでしょ!?と私は一蹴してしまいました(笑)。

YMO関連をリリースするとなると、なぜだか坂本龍一の作品が多くなってしまう左近治。耳の肥えた坂本龍一ファンの方を裏切らないように、少々坂本龍一関連曲のリリースが続きそうな気配です(笑)。

理想は、セニョール・ココナッツ [YMO関連]

扨て扨て、明日8月3日はリリース日じゃないでゲスか!1週間は早いモノだなあと痛感しつつ、とりあえずお知らせしておかねばなりませんね。

明日は悟生楽横町の方で2曲リリースの予定でして、

・千のナイフ(Electro Mix)/YMO
・味楽る!ミミカNo.1(Electro Latin Mix)※サビ部分

という内容にしております。

味楽るミミカは、キッズ向けというかお子様好きの方にもオススメというか、セニョール・ココナッツを少々チープにして児童向けにした可愛い感じをイメージして作ってみました(笑)。夏休みだし、そういうのもあってイイかな、と。

セニョール・ココナッツ(=ウーベ・シュミット)のPLAYS YMOの世界観というのは本当に素晴らしいなあ、と思うわけでありますが、正直言ってこういう世界観というのはYMO結成以前の細野晴臣氏のスタンスそのもの!という事実をあらためて感じてしまうんですな。

それらの音楽と電子楽器を色々融合させたイメージは既に70年代半ばには有していたという感性にあらためて驚いてしまうワケでありますよ。

YMOの解散以降、細野氏がリリースしたアルバム「S-F-X」収録の『Alternative 3』という曲は、909キックにイミュレータIIとおぼしきサンプリングのコラージュなんですが、音は今でも十分通じるエレクトロニカやエレクトロ系の音なんですね。フレーズの組み立てやリズムのリフの使い方など、あの時代からこういう世界観を構築できる感覚に本当に驚いてしまうワケですね。

まあ、細野氏を「テクノの権化」と感じてしまうのは、「コチンの月」で、これこそがテクノだろ!と思わんばかりの、シラフじゃ聴けない(笑)、ハードでドップリDope、ドラッグ満喫という方には恐らくマストアイテムになってしまうのではないかという程の世界観。音楽を器楽的にしか聴くことができない(メロディ探しみたいな)人々には理解のできない世界かもしれませんが、ドラッグ・アルバムとして十分通用してしまうパワーがあるのがコチンの月。

21世紀にもなって環境に恵まれた時代になっているのに、四半世紀以上も前の音楽に容易くいなされてしまうような私の「感性」の乏しさに、あらためて左近治、むせび泣きッス(笑)。


でもですね、トコトンプラス志向のトリ頭左近治はですね、3秒するとそんなこたぁ忘却の彼方(笑)。

先日も、味楽るミミカの存在を教えてくれた後輩と酒を浴びてきてですね、盛り上がった所で味楽るミミカのサビを合唱していたという、子供には決して見せることのできない無様な酒宴を満喫していた、そういう中年男なんですな(笑)。


「Come inね~♪ Come inね~♪  ミラクルCome inね~♪」


エロ親父御用達のタブロイド雑誌記事のクダリになりそうな、味楽るミミカの替え歌を大の大人が酔っ払って歌っているという、こんなおバカパパが左近治の真相です(笑)。

カタコト日本語の外国人女性を相手にしても、実際には「Come inね~♪」なんてヘッポコ日本語つかわねーだろ!と横ヤリ入れつつ、「ミラクルcome inしてやるぜ!」などと絶叫するアホなオトナ数人(笑)。家族には決して見せるコトのできない側面なんですな(笑)。

そんな宴の場所にて、ふと思い付いたアレンジが明日の味楽るミミカですか(笑)。

廉恥心の欠片も無い、本能の赴くままに浮かんだアレンジを、易々と提供してしまおうとするアホな左近治(笑)。でもですね、制作舞台裏を正直にお伝えしているんで仕方ないんです(笑)。

とはいえ、こういうキャッチーなアレンジは子供でなくとも気に入ってくれるのではないかと思いまして、童心に戻るような感覚でお聴きになっていただければと思う次第でございます。


マグロ女房が渡哲也風に


「マグロ、ご期待ください」


とでも言われれば、この左近治いつでもミラクルCome inさせたろと奮起するのでありますが(笑)。

七夕にYMOネタでも [YMO関連]

久しぶりにYMOネタでも語るとします(笑)。

昨日のNHK、先のMM、パシフィコ横浜での模様を中心に放送されておりましたね。見逃した方は、とりあえずNHKさんですので再放送があると思います(笑)。それと、本日はスカパー721chでYMOを見ることができますぞ、と。老婆心ながらお知らせしておきますね(笑)。

そういや左近治のTBA Songs(to be announced songsってコトです)のYMO関連、待てど暮らせど最近全然リリースしていないのでは!?と思われるかもしれないんですが、まさにそのとーり!

すっかり手を付けておらずに、志半ばで頓挫している模様です(笑)。

別にYMOに限らず進捗状況が芳しくない左近治の手掛ける曲の原因としては、


・作りたい曲が他に見つかった
・時間がない
・すっかり忘れていた


とまあ、こんな感じですな(笑)。エクスキューズにしか過ぎないのでありますが、いざ手ェ付けてもですね、制作課程でなかなか思った音に仕上がらなかったりすると、そこでやる気が失せてしまう曲も多くてですね(笑)、左近治の悪いクセですな。

しかし、中には数小節しか出来上がっていないのに、その局面だけの音に酔いしれてしまって、その部分の音の出来に満足してしまって、他の部分に及び腰になってしまうということもしばしばです(笑)。


YMO関連なら左近治がリリースせずとも他のショップさんがリリースしてくれると思いますし(笑)、私としてはあまり急ぐ理由がないのでマイペースにやっている次第です(笑)。


で、ロングバージョンならいざ知らず、着メロであろうと着うたであろうととりあえずリリースできる「尺」の制限は「45秒以内」というモノがあるのは、利用者の方々もご存知とは思うんですけど、正直なところ、着うたでも45秒制限ではなくロングバージョンを採用してもらいたいと切に願っている左近治であります(笑)。


Kクリにおいて着うたが開始される前から、関係諸氏の方々とリレーションを持って意見交換していたりもしていたんですが、いずれKクリにおける着うたというのは、「着うたフル」的なコトを視野に入れた上で、ある意味「レーベル化」した方がイイのではないかというビジョンを個人的に持っています。とはいえ運営サイドの方々がどう判断するかは私には全く分かりませんけどね。

仮にレーベル化のようなことをするとどういう違いがあるのか、というとですね例えば


●「Kクリレーベル」をiTunes Storeなどで販売する(他の音楽配信レーベルも含)
●着信音限定ではなく、「曲」としてのフル・レングスを巧みに制作できるスキルを発揮する


とまあ、こういう可能性が見えてくるワケです。着信音としてではなく、これはもう曲としてリリースすることになるんだぞ、と。


そうなるとですね、一般曲と同じ土俵でリリースすることになるんで、例えばある曲をカヴァーするとなると、着信音では許容されていたカヴァー形式が、同じ土俵だと著作者から制限される可能性が高まり、自由度が制限される可能性があります。闇雲に「○○アレンジ」という風にできなくなる可能性が高まります。

そうなると、オリジナルでリリースせざるを得なくなります。とすると、一般の作品と同じ土俵のため、いっぱしの着信音制作者ごときが(笑)、一般の作品と同じような魅力を備える必要が出てきます(笑)。

こうなるとすると殆どの着信音声作者は淘汰されていってしまうと思うんですね。左近治ももちろん例外無く(笑)。


着信音のスタイルがiPhoneの出現によって変わるというのは、以前のブログでも少し述べたことですが、今後iPhoneが日本でリリースされた場合、そういう面での変化が訪れる可能性があるというワケです。


iTunes Storeから購入したある曲の部分を、利用者が任意に区間選択をして着信音に設定可能、と。

無料曲をポッドキャスト化する、というコトも視野に入ります。他の事業者ならば、もしかすると、タレントを起用して、独自のポッドキャストをタレントの声やら演奏などを使って有料ポッドキャスト化する、というビジネスも考えられるでしょう。

ここでの変化のポイントは、「ユーザが任意に曲範囲を指定して着信音にできる」という点です。

Appleがそれを採用するかどうかは別として、制限を加えない限り、Macユーザなら容易に推察できることなワケですね。

iTunes StoreがMIDIファイルやSMAFファイルを販売するというのは現実的ではありませんし(笑)、iPhoneならMIDIファイル程度の再生ならすんなり可能だと思います(制限をせずにサポートさせてしまえば)。

SMAF再生のチップを採用することもないだろうし、SMAF制作アプリをソフトウェアシンセサイザーのようにiPhone上で動作させることの方が現実的でしょうが、AppleがそういうWebアプリに対して寛容かどうかは未知の部分です。


おそらくは24ヶ月以内に、携帯コンテンツは大幅に変化するだろうなと思うワケです。別に着メロ・着うた事業が商売あがったりになるのではなくてですね(笑)。


YouTubeコンテンツが着信と同時に利用者が自由に設定できるとしたら?


YouTubeは無料コンテンツなのですね。違法な作品も合法な作品も。


著作権を監視する機関は、YouTubeに対してテラ銭をさらに要求するかもしれませんし(笑)、Kクリに参加せずともYouTubeにアップロードすれば、誰もが着うたやら着ムービーを作れる可能性すら秘めている土俵で、着信音という根幹たる部分を再び問われるワケですよ。

それを加味した上で、現在の制作においてアイデアを小出しにしつつ(笑)、まだ見ぬ近未来の着うた世界でアイデアを出さないといけなくなるワケですな。面白くなってきたワケでありますが、ここで及び腰になるようなら正直手ェ引いた方がイイんです(笑)。そうして淘汰されていくワケですが、こればかりは顧客のニーズによるものですからね。

アイデアの「質」。

取り上げる曲の質とそのカヴァーのアイデア。


そういうモノが問われるんだぞ、と。


今まで活躍されてきた制作者の人たちがですね、例えば、ウチの娘がGaragebandで作った曲を着うたリリースしてみましたよ、と。そういう作品に敢え無く撃沈してしまうようじゃマズイだろ、と(笑)。

まあ、私の場合着うたでメシ食ってるワケじゃないですからその辺心配しなくても済むんですけどね(笑)。

坂本龍一を徹底分析 ~Elastic Dummy編~ [YMO関連]

先ほど録画していたなでしこジャパンのアウェーでのメキシコ戦を見終えたばかりの左近治です。こんなにめでたい試合をリアルタイムで観なかったのは惜しいモノですが、トシ取るとですね、新聞配達屋さんが動き出しそうな時間帯まで起きているってェのは結構ツライものでして(笑)。釣りとなるとそんなコトないんですけどね(笑)。

まあ、昔は60時間くらい一睡もせずに、目をつぶったのはまばたき以外無い!という生活が日常茶飯事で夜な夜な遊び歩いた時期もあったワケですが(笑)、やはり快適な睡眠を得るにはですね、早起きが必要なんですよ。若い頃など夜の9時10時に寝るなんて考えられませんでしたが(笑)、それに慣れると夜グッスリ眠ることが出来るようになるんですね。最近じゃあ、睡眠時間が短くなったのもあり、夜11時頃寝ても翌朝5時には目ェ覚めるようになっちゃいましたけど(笑)。

さて、そんなハナシはさておき、左近治が制作を終えたばかりのYMO関連曲で坂本龍一作曲の「Elastic Dummy」があります。着メロ時代から着うたまで現在でもリリースしているワケですが、今回はこの曲のイントロ部分をハードなテクノアレンジにして作りました(笑)。この曲の和声構造は非常に好きでしてですね、どうしても作りたくなってしまうんですよ。今回は徹底的に楽理的な話題にしてみようかと(笑)。


長七度の重畳和声


Elastic Dummyのイントロ部のコード進行は下記の通りとなりますね。

CM7(-13) (onDb)→BbM7(+11) (onC)→DM7(-13) (onEb)→CM7(+11) (onD)


なにやら見慣れないメジャー7thの(♭13)。これはモード上仕方の無い表記ですね。コードチェンジは4回。偶数小節は8分食っていて(シンコペーション)、各小節に1つのコードという風になっていますが、1小節目と2小節目をひとつのグループと考えると、3小節目と4小節目は、最初のグループの全音上にパラレル・モーションとして動いたコード進行と捕えるコトができますね。

また、各コードでモード・チェンジが行われるため、コードが変わると調性もその都度変化しているワケなので、長七の音に耳の慣れていないいない人などが聴いてしまうと、曲の変化に付いていけずに曲の良さを理解できぬままとなってしまいかねません(笑)。しかしながらこの曲というのは、これほど複雑な和声にも関わらず、実に器楽的に響かせているのが実に巧みな演出だと痛感させられてしまうワケですね。

最初のコードであるCM7(-13) (onDb)。通常、ごく一般的な曲におけるCから見た2nd音をベースに置く(セカンド・ベースor2ndベース)は「D音」になると思いますが、この曲は、形成しているモードが普通じゃないので(笑)、「D♭音」を置いているワケです。

D♭音から長七度セパレートした、アッパー部のコードがさらにCメジャー7th、と。まあ、ジャズにおいては長七度によるハイブリッド・コードも珍しいワケでもありませんが、このハイブリッドな響きをトータルに演出しつつ器楽的にフレージングするというのは意外と難しいのではないかと思うワケですね。

特に、音大などの作曲テストなどで「七度を使って作曲しろ」なんて課題を出されたら、この曲は見事な模範的な作品だと思うワケですね。

馴染み深いチャーチモード(教会旋法)に合致しないので、コードネーム表記となると見慣れない小難しい表現となってしまいますが、モードという視点で捕えるとそんなに難しくありません。とりあえずは下記の画像をクリックして拡大表示させてみてくださいな、と。

elasticdummy.jpg

上から順にElastic Dummyのコード進行をモードで捕えた譜例になっているワケですが、注意してほしいのは、1小節目と3小節目の「Hungarian Minor」は実際には、このハンガリアン・マイナーの5番目の音から始まる音をアッパー部として用いていて、ベース音がこのモードの6番目の音、というコトなので、1番目のコードは「センター・トーナルがFハンガリアン・マイナーのモード」というコトであり、3番目のコードは「センター・トーナルがGハンガリアン・マイナーのモード」というコトになりますので、その辺だけご注意を。


ハンガリアン・マイナーという音階の魅力とは!?


自然短音階(ナチュラル・マイナー・スケール)の階名で言えば「ファ、シ」部分をシャープさせたのがハンガリアン・マイナー・スケール(別名:ジブシー・スケール)という音階です。ただ、階名はモードの構造を捕えていないので誤解を招きやすい表現でもあるんで私はあまり使いたくないんですけどね(笑)。

階名で言えば、ファがファ#に変化したことで、ファ、ソ、ラが半音が2回続きます。7音で構成される音階で、半音が2回続く音階というのはかなり珍しい音階です。

これほど特徴的な構造を持っているにも関わらず、この音階というのは極めて叙情性が強く表現される音階でもあり、和声的短音階よりもさらに叙情性の色濃い、短音階の経過的な変化形(臨時記号)の音で支配したような強固な強さが滲み出ます。

他にもシの部分もシャープになり半音上がるため、トニックと半音の隔たりとなるワケです。これだけ多くの半音の音程を備えているとですね、このモードで構成したダイアトニック・コードは、長七度音程を含むコードが数多く存在することを意味します。

さらに、この長七度の重畳的和声(メジャー7th音程によるハイブリッド・コード)は、便宜上CM7(-13) (onDb)と表記していますが、アッパー部がCM7、ローワー部がD♭メジャー・トライアドという、上声部と下声部とで別の和声構造を持つハイブリッド・コードとして見ることもできます(実態はコレ)。

つまり、ハイブリッド・コード的な表記をすればCM7/D♭△という風に表すことができるというワケですね。

分数コード表記において通常、分母の部分は単音を付加させればイイのですが(on表記も然り)、ハイブリッド構造すなわち下声部も和声を提示したい場合、下声部にコード表記ということを示すために、この場合「メジャー」を表す「△」を用いるワケです。因みに下声部の部分を「マイナー」を示すようなコトはほとんどお目にかかりません。概ね下声部はメジャー・トライアドで表すので、こういう表記になるというワケですね。


さて、偶数小節(2小節目と4小節目)の

BbM7(+11) (onC)
CM7(+11) (onD)

こちらは2ndベースで、先ほどのフラット2ndとは違う、比較的よく見かけるonコードです。こちらの下声部は単音でイイわけですね。シャープ11th音のメジャー7thコードというコトは、リディアンを提示しているというワケです。もちろん他にもリディアン・オーギュメントやら、他のモードの解釈でより複雑怪奇なモード解釈も出来ますが(笑)、そのような特徴的な音が無ければこういう解釈をしないと成立しないので注意が必要ですね。


ハイブリッド・コードの重要性


以前にもディミニッシュ関連で語ったコトがありますが、メジャー・トライアドを分子と分母で鳴らすようなハイブリッド・コードは、発展させると9音音階のモードを提示したり、あるいは通常オルタード・テンションとして経過的な変化をさせる音を調性の支配感として曲構造の根幹部をより強くするために用いたり、あるいは短音階の曲中での経過的な変化を経過的にではなく支配的に使うという積極的な利用することが可能になります。

特に、ハーモニーの拡大感、調性の多調性、複調製を生み出すことに繋がります。

例えば、ハ長調においてF△/C△とやってしまっても、これはF音が邪魔になるような響きになってしまいかねず、愚の骨頂です(笑)。

ハ長調における通常の音階では表れない音、すなわち経過音を曲を終始支配するような音として使うような場合、こういったハイブリッド構造の解釈などが実に役立つワケです。

ハイブリッド・コードで一番手っ取り早い用法としては、短調の曲の方が最も使いやすい初歩的な例があります。

自然短音階(ナチュラル・マイナー・スケール)という音階は

I II III♭ IV V VI♭ VII♭というテトラコルドの並びなワケですが、短調の終止感を少しオシャレに偽終止させる時などが効果的です。

例えば、短調の曲の終わりにトニック・マイナーすなわちImの局面において、そこで

VII♭△ / VI♭△というハイブリッド・コードを使って偽終止感を演出するコトが可能です。

例えば、ホ短調(Em)を例に挙げれば、アッパー部に7番目のメジャー・トライアド(すなわちDメジャー)、ローワー部に6番目のCメジャー・トライアドを使うというコトですね。すなわち

Key=Em
D△/C△

という風に曲の最後などで使うと結構幅が広がります(笑)。アレンジに困った時など手軽に使えます(笑)。


ハイブリッド・コードの解釈は、通常のやり取りではなかなか得られない音楽の進行感を演出することができる早道なのですが、コード表記にこだわるあまりに、曲全体がその都度支配している調性を部分的にしか捕えられなくなってしまいかねないという要素も含んでおります。すなわち、コード表記だけに頼ってしまうと(例えば上声部だけのコードとか)ダメだというコトですね。すなわち、「モード」を捕えろ、と。

そーゆーワケでElastic Dummyはモード解釈することで、モードチェンジが多いだけで、モード表記すれば簡単に表せるものの、その和声を表記した場合、実に複雑になってしまう(実際、和声構造も複雑でありますが)というワケですね。

複雑な楽曲をどうにか分かりやすく解釈したい、そういう場面でモードを捉えるというのは大事なことで、チャーチ・モード(教会旋法)だけでは合致しない曲でもそのように対応できる理解力が必要なワケですね。無論、複雑な和声構造をアタマで理解する前に、耳(脳)が受容できなければハナシにならんのですが(笑)。


坂本龍一のソロ・アルバム「BTTB」に収録される「Lorenz and Watson」も、長調と短調を一緒に弾いたように聴こえるかもしれませんが、あれとて和声的短音階すなわちハーモニック・マイナーのモードを使っているから、というコトは以前のブログでも述べたことがありましたが、実際には短調と長調を一緒に弾いたように聞かせているだけで、モード構造を読み取らなければ曲の根幹を理解していない(できない)というコトになるんで細心の注意を払って音楽を聴かねばならないんですね(笑)。

ただ、殆どの人は楽理的な部分をこのように理解しても、複雑な音階を用いたモードで音楽を構築させて、それを美しく「器楽的」に作曲したりアレンジしたりするというコトは並大抵では出来ません(笑)。

坂本龍一のこのような嗜好性は、ハービー・ハンコック、スティーリー・ダン、バド・パウエル、バルトークという方々のフェーズと似たモノがあると私は感じておりまして、およそ30年も前になろうという、高橋ユキヒロのソロ・アルバムに収録されている「Elastic Dummy」という作品の、イントロのたった4つのコードだけでもコレだけ語れてしまう作品のパワーにあらためて驚きを禁じ得ない左近治なのでありました(笑)。

普段、おバカな話題ばっかりってェのもなんなんで、たまにはこーゆーのもイイんじゃないかと思いましてですね、ハイ(笑)。

不定期ながらYMOネタでも [YMO関連]

コツコツと時間をかけながらリリースを急いでいるワケでもなく着うた用としてリリースを予定しているYMO関連作品はありましてですね、まあそのままお蔵入りしてしまう可能性があるのは否めませんが(笑)、一応、こーゆーのを裏舞台では手がけていますってェのをハナシの種として語っておこうかな、と。

左近治はスティック中毒でもあるんで、まんまYMOアレンジでリリースするのも面白味に欠けるんでどうにかスティック(チャップマン・スティックのコトですね)を活かせないモノかと思ってですね、スティックの合いそうなYMO周辺の曲を探ってみたワケですよ、コレが。

まず、今手がけているのが「マッド・ピエロ」。スティックと相性のイイ筆頭候補なんですな。おそらくこれ以上マッチするYMO関連作品は他にはそうないと勝手に思っているワケですが、スティックなんてベーシストが使えば低音域をスティックで使ってるだけだろ!?とお思いの方もおられると思いますが、それはなんでか!?とゆーコトを語ってみようかと思います。

スティックはですね、ただ単にエレキギターとエレキベースが一緒になったような音とは違うんですね。五寸釘並みの太さの鉄芯を半分にしたようなゴッツイ金属がフレットとして埋め込まれていて、このフレットが独特の硬度(軟度と言ってもイイかも)でして、昔から使われている「フレット・ロッド」というこのフレットは結構柔らか目なんですね。裏を返せばすぐ磨耗して減る、と(笑)。

で、弦のテンションはユルユル。で、タッピングをするとですね、押弦した所からナット側も振動しちゃうんですよ。タッピング以外でピッキングをすれば明確にその逆方向であるピックアップ側を弾いているんで、ナット側の弦の振動など殆どなく、それによって弦振動が相殺されるという要素は極めて少ないんですが、スティックの場合だと、ナット側と押弦したポイントの弦長が長くなるほど、その部分を上手くミュートしてあげないと途端に音色が変化して「エグみ」が死んでいってしまうのです(泣)。

あと、指先に固いタコを作っていないと弦振動がすぐ減衰しちゃいます。まあ、コレに関してはスティックに限らず弦楽器なら当てはまるコトですけれど。

スティックの音というのがクラビネットにも似た独特のエンベロープと周波数特性があって、それをフェイズがかったピックアップで拾うというモノなんで、エグさ極まりないほどなんですね。

この独特の音を最大限に活かすとなると、ナット側のミュートに細心の注意を払わなければならなくなるんで、運指の激しいフレーズだと相当の鍛錬が必要になるか、熟練度はさておいても、音の不揃い感を演出してしまうかどちらかになってしまいかねないんです。

で、音色のメリットを最大限に活かすと概ね、コードの一発モノとかモーダルな、コード進行の激しくないタイプの曲調がフィットしてくるんであります。仮にコード進行が激しくても、ベースの音自体の音価が長いフレーズが功を奏したりするんですね。

クラビネットをエレピを弾くかのような白玉で攻めるようなコトってあんまりしませんよね!?スティーリー・ダンの「Black Cow」みたいな例もありますけど、あんまり無いと思います。

そーゆーワケで、「マッド・ピエロ」は結構スティック向きな曲だなあと思いセコセコ作っているワケでありますね。アレンジがまんまだとアレなんで、アリスタ・オールスターズ風とでもいうかステップス・アヘッドっぽくして制作中なんです。

他にスティックが合いそうなのは「Elastic Dummy」。まあこの曲は左近治は今までに着メロから着うたとリリースしているワケでありますが、この曲も結構スティック向きかなぁと思って手がけているんでありますが、この曲の酔えるのは絶妙な長七の重畳による和声部分なんで、スティックが合う合わないではない魅力があるんですが、結構スティックの音がマッチする曲でございます、ハイ(笑)。

あとは「Shadows on the Ground」ですか。今まで手がけた曲ばっかりやん(笑)。まあ、制作がラクな部分も大いに関与しているとは思うんですが(笑)。「Light in the Darkness」とかもやってみたい曲ではありますね。まあ、この曲自体はスティックが合う合わない以前にブランドXっぽい曲だなあと思っているんで、どちらかというとスティックじゃなくてパーシー・ジョーンズばりのベースフレーズにしてみたいと思う曲なんですけど。

「Limbo」とかもスティックに合うかもしれませんが、この曲のメロ部分のドミナント・モーションはあんまりスティック向きじゃないかも(笑)。とゆーよりこの曲のイントロからメロ部分はブラッド、スウェット&ティアーズやん!と思わせる曲なんですけどね(笑)。
「God Bless the Child」のAテーマ直前のあのコードがイントロだとすると「Spinning Wheel」のAメロ部分がLimboのAメロ、と。ま、いずれにせよBS&Tの名曲ですよね。アルバムでも前後の曲というのが何とも(笑)。

私がYMOに親しみを覚えるのはこれらの曲との共通点があるからなのかもしれません。

YMOを語ってみまひょ(3) [YMO関連]

YMOシリーズは2で終わるはずだったのに、やっちまいました!左近治。訂正しなければならないというか、加筆しなければならないことがありんす。

え~、坂本龍一の「lorenz and watson」についてですね。Bメロディック・マイナーを思わせる~というクダリの部分。

もっと親和性の高い音階があるぢゃないかッ!

Bハーモニック・マイナーでしたね。こりゃスマンってな。

まあBメロディック・マイナーでも幻の音を想定できるんですが、ハーモニック・マイナーよりチト遠いかな、と。「Castalia」のメロディック・マイナー・モードを一緒に語りたくなってメロディック・マイナーで繋げちまいましたよ、コレが。

まあ、いずれにしても「チャーチ・モード」と称される「ドレミファソラシド」の音並びによる7つの音階以外の音階で曲を構成することが彩りを与えるということが分かっていただければまずはそれでオッケーかな、と。

ただ、ハーモニック・マイナーの場合それ単体で音階としての叙情性が高い(つまり音階だけで酔える)ので、いかにもハーモニック・マイナー的な使い方をしてしまうとバレバレになるんで坂本龍一の「lorenz and watson」の場合は、それを巧みに希薄にしつつ、GメジャーとGマイナーの相互交換っぽい雰囲気を出している所が絶妙なんですな。

坂本龍一とはシンセサイザーの代名詞的なイメージがありますが、実は知られざるところでハモンドB-3やローズのプレイが際立った作品を残しているんですよね。

今日のこの訂正記事を投稿するまでの間、左近治は「あー、やってしまった!」という気持ちが強くて出来るだけ早く加筆したかったのもあって、今日は1日中坂本龍一関連のことが頭から離れなかったんですよ。

そしたらiPodを聴いている間(ランダム選曲)にかかってしまいましたよ。高橋ユキヒロのソロ・アルバム「Saravah!」に収録されている坂本龍一のハモンドの名演「La Rosa」が。

曲そのものは加藤和彦の作曲。耳にこびりつくほどのハモンド・ソロの名演。久方ぶりに耳にしたとはいえ、ここまで耳にこびりつかれてしまうと着うたで作りたくなっちゃうんですよねー(笑)。打ち込み絶対難しいのに、あー聴かなければ良かった(笑)。

坂本龍一のローズの名演といえば、山下達郎とのコラボによる「Kiska」ですか。これは昔から作ろう作ろうと思ってなかなか手掛けられない名曲。まあ、この曲は土岐さんも実にイイプレイしていますが、一番良いプレイをしているのは故大村憲司氏のイナタいギター・ソロでしょうなあ。その昔、スパイロ・ジャイラとデイヴ・ヴァレンティンが大好きなプエルトリコから帰化した某米国人にこの曲聴かせたら相当気に入ってましたよ。この方結構有名な方なんですが諸事情により名前は伏せておきます。ラスト・ネームは「フィゲロア」さんです(笑)。パーカッショニストですが。

YMO関連の曲を今までリリースしてきて一番難しかったのは「Elastic Dummy」のシンセ・ソロ部分ですかねー。1拍5連の6フィギュアフレーズから入るヤツ。6フィギュアが半音下降したまま大局的には16分音符のリズムを意識しつつも、実際には5連や6連やら32分音符による「くだけた」感じのソロ。まあ、勢いで左手で3連刻みながら右手で16やらをハモンドで弾いたりするような感覚のようなモノと形容すればイイでしょうかね!?幻想即興曲とはまたチョット違ったタイム感。まあ、勢いですよ、勢い。

このソロの耳コピはアラン・ホールズワースのギター・ソロと同じくらい難しかったんです。私のリリースしている「Elastic Dummy」のソロの最後はリズムが若干違いますが(笑)、音は合ってます(笑)。同じ感覚で弾けなかったのでああいう風にしてしまいました。着メロ制作当時だと打ち込みの分解能による問題もあって。着うたなら修正利かせられますが、左近治流で弾くことで原曲との差異感を出したかったというのもあるんですな。原曲の凄さが伝われば良いかな、と。

5連符というリズムは左近治は結構好きでして、今後リリースするKYLYNの某曲でも散々活用しました。5連符の中抜き「そこんとこ」フレーズやら、2個目の音抜きの「ちょっと待て」フレーズ(勝手に命名しています)を使うのが左近治流。

16分音符の5フィギュアでこれらの「そこんとこ」や「ちょっと待て」フレーズを使うのも実にオツなモノがあるんですが、シャッフルの曲にもバッチリ合うのが5連符の面白いところなんです。5連符で一番難しいのは5個目のケツの音だけ休符のリズム。これの1拍5連は未だに体得出来ない超難易度の高いリズムなんですよ。

KYLYNの某曲においては1拍5連をベースとした1拍10連による「そこんとこ」フレーズのパーミュテイション・フレーズやらをドラムに使ってますんでお楽しみに。まあ、リリース時に合わせてその件はまた詳しく語ろうかな、と。

YMOを語ってみまひょ(2) [YMO関連]

過去に自分がリリースした曲についても語ればいいモノを左近治と来たら、ついついハナシが飛躍してしまうのがいけませんな。

YMOのお三方のソロ作品ではなくYMO名義でのリリースとなると、昨年の「Shadows on the Ground」や「Limbo」になるのかな、と。「M-16」もありますが、コレは16和音の着メロ時代でもリリースしていたモノなので、左近治自身からすると着うた用に新たにリリースしたモノがやはり記憶に新しいんです。

「Shadows on the Ground」のDM9→Dm9のコード進行が好きな左近治ですが、Gentle Giantの「On Reflection」を彷彿とさせてくれる曲なので好きなんですな。

坂本龍一といえばメジャーとマイナーの相互交換とでもいうか、そういうハーモニーを前面に押し出すコンポージングをする人で、自身もそう語っているようです。テクノポリスなんかも好例ですよね。

でも、メジャーとマイナーのハーモニーの相互交換という表現は、ある意味坂本龍一自身が「咀嚼」した表現であって、実はもっと多様性に富んでいるということに気付いてあげなくてはならないと思うのであります。

2020年6月11日追記


 次の画像は「Shadows on the Ground」に用いられるヴィブラフォン風の音を模して作ったLogic Pro内蔵音源ES2を用いた物です。私が嘗て商用着信音を制作した時にはES2とNIのAbsynth2を混ぜて作っていた物でしたが、当時のAbsynthの音色パラメータを紛失した為ES2のみのパラメータとなってしまいますが、一応ES2単体でもある程度は似ているかと思いますので掲載しておきます。

Shadows on the Ground Vibes.jpg

Shadows_on_the_Ground_Prm01.jpg

Shadows_on_the_Ground_Prm02.jpg

Shadows_on_the_Ground_Prm03.jpg






メジャーとマイナーで決定的に変わる音は3度と7度。3度は当たり前田のクラッカーですな。まあ、7度はとりあえず置いておいて、メジャーもマイナーも一緒にしたモードを導入するだけで、音階的には1音増えるので9音音階的な発想を導入できます。

通常の「ドレミファソラシド」の音階は、その並び方がどこから始めようと全音と半音のバランスが取れているため馴染みやすい音階なワケですが、そのどこかに半音を埋め込むことになるワケです。そうなると和声的に見てもメジャーかマイナーか、あるいは5度が変化するのか、7度が変化するのかetc新たなモードを導入することでダイアトニック・コードの構造が変化するため選択肢が増すことにより、多様性が増すワケですな。

で、バランスの良い「9音音階」という視点で見ると、全音→半音→全音の順番で構成されるDiminished Scaleか半音→全音→半音という順番で構成されるCombination of Diminish Scaleに大別されるようになります。まあ、他にもSpanish Scaleやら他にも多くの9音音階は存在しますが、「安定的」な9音音階となると上記の2つになるでしょう。

これらの音階で和声を作ると(ダイアトニック・コード)、メジャーを選んでいいのかマイナーを選んでいいのかという個所が必ずあります。強制的にメジャーかマイナーのどちらかを固定化させてルール作りしない限りはかなり自由度が増すというワケですが、究極的なのは、4種類のメジャー・トライアドで構成できてしまうんですな。

通常の音階で構成されたいわゆる「スリー・コード」というのは、スリー・コードの構成音がその音階の音全てを内包しているため調性が成立するワケですが、4種類のメジャー・トライアドという発想に行き着けるところがディミニッシュ系の9音音階の面白いところです。しかもそれらの各コードの隔たりは短3度。Cを基準にすれば、Cメジャー、E♭メジャー、F#メジャーとAメジャー。これらのトライアドで「C Combination of Diminish Scale」になるワケです。

わざわざこういう音階の導入をしなくとも、曲中において半音の変化をさせることで、局所的な調性の変化や解釈を変えることができるワケです。つまりは、一瞬でもこれらの9音音階の発想を導入でき、メジャー・トライアドの短3度の隔たりによるパラレル・モーションを示唆する可能性をも見出せるので、多様性に富むというのはこういった理由からなんです。

通常の音階においてどこかの音の半音の上げ下げによって生まれる解釈で曲の多様性が増す、ゆえにマイナーとメジャーを相互交換させて調性の多様性を増大させる。坂本龍一は、それらを噛み砕いて「メジャーとマイナーの相互交換」と表現しているのですが、実際にはこういう多様性がある、というワケなのであります。

もっと分かりやすく言えば、「ドレミファソラシド」の音階に「ミ♭」を加える、と。「ラ」から見た「ミ♭」はミの完全5度から減5度として、「ミ」から見れば長7度というように、「ミ」の半音の変化形としてではなく、あくまでも1音を加えることで経過音として用いずに音階を拡張するために音を導入(増やす)、と。

そうすることで、ディミニッシュ系の9音音階と共通項(コード)を見出したら、その音階が持つ4種類のメジャー・トライアドという解釈を利用して、短3度でフレーズを発展させ(パラレル・モーション)フレージングを拡大させることができる、というワケです。

まあ、こういった発想は結局はコード・トーンの重畳化に伴う非ドミナント・コードでのトライトーンの扱いや、ひいてはドミナント・コードにおけるオルタード・テンションの「オルタードではない独立的なテンションの用い方」など、或いは経過音を経過音として使用せずにフレーズを発展させるバップ・フレーズなど今に始まったことではないのであります。

こうしたことをポピュラー音楽に代用することでもっと分かりやすく美しく採り入れるという作業が坂本龍一の最たるものでありますが、こういう技法は坂本龍一に限ったことではなくて、実際にはこの手の響きが好きな作家は似たフェーズに位置し、それを具現化しているのであります。

ドミナント・コードをドミナントとして扱わなかったり、オルタード・テンションやトライトーンが現れても古典的な楽典のルールとは違う進行をさせることができたりと、古典的な調律を使用していないのだから、そんなことは実は当たり前のように使えるワケなのですが、一般的な人々が過剰なほどに「ドレミファソラシド」の音並びに呼応してしまうからこそ、こういう響きが特異なままに位置付けされてしまうのも事実。

ディミニッシュ系の9音音階が4種類のメジャー・トライアドに分けられることもできるというシンプルな発想なんて実に夢があるではないですか(笑)。ジェフ・ベックの「Scatterbrain」の6/8拍子の7thベースのメジャー・トライアドのパラレル・モーションなんかまさにそうですね。

「ドレミファソラシド」の音列を利用したダイアトニック・コードにはメジャー・トライアドが存在しますが、その内ひとつはドミナント。それを除けば長七(メジャー・セブンス)を使えるコードはCとFだけ。

メジャー・セブンスは根音と半音関係にあるとも言え、この響きに病みつきになったらもう元には戻れないほどの魅力があります(笑)。長七の母体となるトライアドはメジャーが主ですが、マイナーのメジャー・セブンスももちろんあります。

長七を持つダイアトニック・コードが4つも現れてくれる音階がありますが、これは9音音階でもなんでもなく、通常の音階と数は一緒です。並び方が少し違うだけで。それがジプシー・スケール(別名ハンガリアン・マイナー)。このジプシーの音階をモードにして曲作っちゃったのが坂本龍一の「Elastic Dummy」。高橋ユキヒロのソロ・アルバム「Saravah!」で聴くことができる名曲ですな。

音大で作曲技法を学ぶ時など「7度を使った技法」とかテーマが与えられると思うんですが、「Elastic Dummy」のような素晴らしい和声の響きをモノにする生徒さん、一体どれだけの数がいるんでしょう!?

坂本龍一の「lorenz and watson」という曲を例に挙げると、曲中には現れてきませんがD♭音が幻のように音が見えてきます。

そうすると実はGメジャーとGマイナーを行ったり来たりしているのではなく、Bメロディック・マイナーのモードを示唆してくれるように響くんですね。余談ですが、YMOの「Castalia」におけるドラムが無くなる中盤がメロディック・マイナー・モードを使用する好例です。あの響きですね。

バド・パウエル、ハービー・ハンコック、スティーリー・ダン、ケリー・ミネアー(Gentle Giantのキーボード)、坂本龍一、トム・シューマンなどの人達を追いかけていると、この手のハーモニーに出会うことが多いので、参考まで。

YMOの「ライディーン」では知ることのできない、音楽の深みとやらは色んな所に隠されているので興味のある方は研究されてみては!?(笑)。

違った曲で例を挙げるなら、ポピュラーな「たらこ・たらこ・たらこ」。これも半音の増減による変化を経過音として用いずに色んな音階の解釈を曲中で彩ることによって、ディミニッシュ(トライトーン)を増やすことでジャズとは違ったモーダルなハーモニーを維持して、ああいうショスタコービチのチェンバロが似合うような音階になったり、バルトークっぽくなったりするんですよ、実は。

着メロや着うたで耳コピをしていると、別にYMOに限ったことではなく、左近治が好きなタイプの曲をあらためて分析できて再発見があるのですね。私自身がこうした作業が好きなので、分析がてらにトラックを作っていくと結果的に着メロや着うたをリリースできるというワケなんです(笑)。まあ、言い換えると、自分の好きなタイプの曲ではない場合、途端にリリースが滞るという(笑)。

左近治の制作基準は特異で美しいハーモニーなんです(笑)。

そうじゃないのもリリースしてますけど。

YMOを語ってみまひょ [YMO関連]

キリンラガービール用に再結成ですか。先週木曜日朝、仕事に行く前にめざましテレビでメイキング映像流してました(笑)。テクノなオジサン達の影響は計り知れなかったのだなあとあらためて実感。当時こどもだった左近治もすっかりオジサン(笑)。酒の呑み過ぎで肝が弱って眼球黄色くするようじゃ世も末(笑)。それでもDAWに勤しむのはもはや黄疸魔術楽団と呼んでもよいでしょう。

今でもムーグのキーボードを置くのは坂本龍一本人の好みなのか、それとも設定上なのかは分かりません。YMOというとモジュラーシンセやプロフェット5というイメージで語られますが、左近治の思う坂本龍一ってポリムーグのイメージなんですよ。実際ムーグの音はB-2 UNITでも結構耳にしますしね。ローズのstage mkIとpolymoog。これが坂本龍一がKYLYNで披露していたセット。

そういや左近治が所有するKYLYN LIVE2枚組のレコードジャケットには矢野顕子さんのサインが入っておりまして、実に思いで深いものがあります。ライヴ前、楽屋でメイクの途中だというのに友達と押しかけてしまった左近治(苦笑)。

そんな非礼な私達をとっても温かく迎えてくれた矢野さん。あの時のやさしさに包まれたような空気は、他に形容し難いすごいオーラを放つとでもいうか。いや、オーラなんてモノじゃない。輻射ですね。輻射。宇宙のどこへ居ても1プランク時間で量子テレポーテーションで輻射が伝播されるような。そういうエネルギーを感じる凄い人でした。

人徳や相、オーラを放つような人には出会いますけど、矢野顕子さんのような輻射と形容できる人にはそうそうお目にかかれません。あの時「Water ways Flow Backward Again」
を披露していただき、なぜか左近治は矢野さんを独り占めしたような気持ちになりました。

KYLYN時代のある曲はもう納品を済ませ、ドリフ関連の納品も済ませた左近治(笑)。四半世紀も前の音楽であってもイイものはイイんですよ、コレが。

昨今の目まぐるしい音楽制作環境の発展によって自身の能力が向上したとばかりに錯覚に陥りかねない中、そんな恩恵を忘れて2007年にもなってようやく四半世紀以上も前の音楽やらにミソ付けたがる輩達は必ず生産されてしまう(笑)。そうありたくないモンですな。

考えてもみてくださいな。

DAWアプリケーションには色んな機能やプラグインがありますが、現代でなければ実現不可能な技術によって音色変化させるものなんてごく僅かで、ほとんどのエフェクトや技術など四半世紀以上前からアナログとして実在してきたモノを模倣しているだけで、実はDAW使用者はそれに心満たされている(満たさざるを得ない)のが現実なんですよ。

こちとらビートルズのCome Togetherのドラムの音ですら、未だに驚きを禁じ得ないほどのミックスの妙を思い知らされますがな(笑)。古き良きモノのリスペクトは忘れずに。去年の今頃だってPSE関連法案で騒いでたばかりでしょ(笑)。

ちなみに左近治はYMOのお三方のソロ作品にはものすごい形相で飛び付いていたと言っていますが、YMOがキライってワケじゃないですからね(笑)。その辺誤解のなきようお願いします(笑)。つーか、左近治のリリースするYMO関連の曲をみれば分かってくれそうなモンだけどなあ(笑)。ネット上でもヒネりの通用しない人って本能と欲求ムキ出しなのかしらん。

「Kid-Nap, the Dreamer」/高橋ユキヒロ [YMO関連]

 現在制作中の曲です。裏舞台の話題などを。

 8月に入って私が愛用するオーディオインターフェイスが不調に陥り、新しく買い足すことになりました。お盆の時期を挟んでしまうようなこの時期に何も壊れなくていいじゃないか・・・と思いつつ海外製品だから日本の代理店が休みじゃなければ大丈夫かと思いつつ修理に出すことに。

 思いがけないアクシデントに出くわした左近治は、タイトルにあるように、現在はこの曲を手がけております。

 当初はBare Naked Ladies風なオルタナ系の音にしようと計画していたのでありますが、作っていく内に予定を変更!Basement Jaxxの「Remedy」時代の某曲のように仕上げてしまいました(笑)。

 Bare Naked Ladiesの「Alcohol」は私のお気に入りソング。iPodのCMに起用されていた頃のCaesarsと一緒にリリースを試みていたことがあったのですが、時期を完全に逸したため(笑)、そろそろ作ろうかなあと思っているというワケです。

 クリス・モスデルが作詞を手がける「Kid-Nap, the Dreamer」ですが、Bパターン部の歌詞の語句選びが実に絶妙!

 鼻の先っぽ辺りで音を作るというか、発声する(せざるを得ない)独特の語句選びが実にエグいというか。どことなくベッカムの喋り方になるような語句選びで、実になんとも背中がムズ痒くなるチョイ不良ならぬチョイキザな発声になるのがこの曲のグッドな所。ところが私はちょっとヴォコーダー風な声で勝負しているので仕上がりがどうなることやら(笑)。声の主は私じゃありませんよ!エマニエル坊やの方も。

 あ、そうだ。エマニエル坊やのメイン部も早く着手せねば・・・。ちなみにエマニエル坊やの「シティ・コネクション」は誰が聴いても分かるリスペクト・アレンジにしましたが(笑)、ダ●ト・パンクのアレですね(笑)。余談ですが、私がDaft Punkで一番好きな曲は「Face to Face」ですが、これに触発されて昨年から制作しているにも関わらず未だに頓挫している曲が、Gazeboの「Midnight Cocktail」なのです。

 私の悪い癖は、自分自身が特に思い入れの強いお気に入りの曲を制作するとなると、その曲の和声の構造や使用されている楽器の音色、ミキシング具合などを追究すると、そこで自分自身が満足してしまって思うように制作が進まないという所があるのです(笑)。

 というのも、思い入れのある曲を全く違った解釈でリアレンジするようなアイデアがかき消されてしまうほど、原曲のイメージが強いためにイマジネーションが働かなくなってしまうのです。好きな曲を取り上げていきたいものの、違ったアイデアで作るというのは結構難しいというのを実感しています。

 着メロならば、音色がチープであるためその時点でデフォルメさせることができる。さらにその上で原曲のイメージに近付ける難しさ(音色作りなど)があっても、着メロだとデフォルメが先にあるので、MIDIデータレベルで原曲通りに編集しても出音は『着メロチック』になるので楽といえばラクなんですね。

 着うたが解禁になった時、最初にやろうとしたのはSMAFで用いるFM音源をトラック別にオーディオファイルとしてインポートして、それにリバーブやエフェクトを付随させようとしたこともあります。ゴージャスな着メロの音になるのは確かなんですが、着メロ用に平均化させたMIDIデータ(データ容量を減らすための必要な措置)をゴージャス版着メロサウンドにした所で、それほど面白くないのがすぐに分かってしまったわけです。

 FM音源だけで見ればTX81Zよりも凌駕している部分もあるFM部。たかがエフェクト付加のためにファイルサイズは大幅に上がりつつも着メロサウンドを踏襲してしまうのは余りにも面白味に欠けるため、着うたをやる場合は、原曲通りの音を目指すならまだしも、リアレンジのためのアイデアのハードルは着メロよりも高くならざるを得ないので、アイデアに乏しくなると週次リリースに支障をきたすのが難点でもありますね(笑)。