SSブログ
サウンド解析 ブログトップ
- | 次の30件

EQでイク!? [サウンド解析]



奥深いEQセッティング。サンレコの先月号でも特集やってましたっけ。ただ、EQというのもそれ自体のツマミ類がフラットであっても、自身が音のクセを持っているというタイプも結構あるもので、そういうキャラクターがもてはやされるシーンにおいては最早EQ的な考えだけでは済まされないという側面もあります。

LogicPro8のEQパラメータで付加されたベルカーブの対称/非対称のパラメータ。これは結構活用できるのでありますが、バンド毎に独立した設定というのはできないので多段挿しするしか現在では手はないのでありますが、そもそもブースト&カット量とQ幅は反比例的にカーブを保つような設計になっているというのがEQの基本的な設計と思ってもらって差し支えないでしょう。

EQを富士山に例えれば、Q幅というのは裾野までの幅ということになりますな(笑)。LogicPro8の対称/非対称パラメータは、富士山の地下に同等の「谷」を作り出す際、山と同じカーブではない対称的ではないカーブで谷を作る、ってぇコトなワケですな。

EQのベルカーブというのは面白いもので、ブースト&カット量に応じてQ幅が変化するような、概ねベル内の面積を極力一定に保つようなものがあったり、或いは裾野の領域がブースト&カット量に応じて拡大するようなものとか、色々あるワケですね。

SSLやニーヴ、GMLのEQがもてはやされるのも、単純なベルカーブではない独特のクセを持っているからこそ受け入れられているのも理由のひとつではないかと思います。

まあEQの特性にも色々あるわけでございますが、話を戻して先月号のサンレコのEQ特集。例えばギターとベースを混ぜた時のピークの均し方について。

視覚的にEQポイントを探りつつ、不要なピーク均しの重要性を声高に唱えるのはイイんですが、そこまでして原点に戻ったかのようにEQについて述べるのであれば、視覚的に確認できるピークとやらをピーキングの特性なのか或いはRMS/VUなどで視覚的に確認すべきなのか、ということまでは言及していないところが残念な点でしょうな。

もちろん音作りに関してピーキングorRMSで確認するかは要所要所で異なりますが、例えばピーキングメーターで市販のCDなどを確認した場合、一部にはスネアの音がピーキングに現れないようなアンサンブルもあるワケですね。ピーキングには出ないのにRMS / VUなどでは現れたりするメーターの動きやらその逆も然り。ギターやベースというのは中低域にエネルギーが密集しているためQ幅の狭いピーキングで均そうとしても音のキャラクターを変えるだけにしかならない。つまるところ、サンレコのあの記事においてはRMS / VUで均した方が功を奏すると思えますが、他のアンサンブルが入った場合その限りではありません。普通ならキックも入ってきますしね。100〜460Hz辺りはキックのキモの周波数は少なくとも3つあります。たったこれだけの狭い帯域と思えるでしょうが、100Hzを基準にすれば2オクターブ以上の帯域なワケでして。

視覚的にピークを確認するにはその応答特性も重要であるし、整えるアンサンブルの占めている帯域にもよりますが、たった2つのアンサンブルで低域のピークを均すのであれば、RMSで確認しながら広めのQ幅でやってあげた方が無難ではないかと思いますが、こういう部分には言及していないのが残念。そもそもあの説明では視覚的にこだわりすぎる向きすらあって、色んな特性のあるモニタ環境の前段で視覚的に確認しようとする基準作りを全くの素人から構築させるのは少々難しいと思うんですな。ある程度の経験を備えた上での基準を構築した人ならいくらでも視覚的なイメージが湧くものでありますが、誌面を割く必要のないほどの解説で済むような注意点であるにもかかわらず、こういう点がおざなりになるのが最近の雑誌には多く見受けられるんですなあ。サンレコに限らず。

但し、答えがひとつしかないのではなく色々なケースが考えられるため、記事をどのような方向性に導きたいのかが結局曖昧になり、万能調味料的な解を導いているだけではダメだと思うんですな。

例えば、マハビシュヌ・オーケストラの「Miles Beyond」。今私が手掛けている最中で手前味噌ではありますが(笑)、ビリー・コブハムのキックはセンターではなく11時30分くらいの所にあるワケですよ。ベースはしっかりセンターで。

だからといって、両者の低域ソースの音像が完全に分離したようなものではなくて、アナログ時代ですらセンターのかち合いを嫌った上でこのような定位を施したと思える音像なんですな。若干片chに低域ソースを振ったことで、逆のch側の倍音成分を少々手を加えることでよりステレオ感を演出することにも繋がる、と。

このようにして低域ソース楽器を敢えて定位をずらすことによって左右のchのレベルのバラつきをどのように整えるのか!?というとこれまたサンレコのような手法だけでは通用しなくなってしまうのでありまして、そもそも低域ソースの定位には触れずに、さらにはレベルメーターの応答レスポンス特性にも言及せずに視覚的な部分だけでのEQエディットの解説は少々危険だと思うんですなぁ。よいこのみんなにはぜひともマハヴィシュヌ・オーケストラのような、数少ないマルチトラック時代のレコーディングの定位作りからミックスを学ぶべきだと私は思うんですな。

耳だけでは判別しづらい定位を弄って上げるだけでも、現在のデジタル社会ではそれだけでも「かち合い」を緩和させることができるってぇモンですよ。さらにはDAWのプロジェクトを44.1kHzで制作していれば低域にはより「不必要な」エネルギーを残存させて、デジタル的な飽和状態がやってくる、と。20トラック以上のソースでもセンターに集中させれば素人でも不必要な飽和感を実感することができるってぇモンですよ(笑)。

EQだけではなく定位をずらして馴染ませる方法とか色々あるんですが、生のモノソースを数多くレコーディングするならいざ知らず、大抵のソフト音源をハナからステレオで処理しているからこそ、そのステレオ感とやらに甘んじて定位を思い切り振ることができないミックスの臆病者が素人の人達は多い実情を把握していれば、EQだけではない妙味もちりばめた上で解説することが専門誌として重要なのではないかと思うのでありますな。

まあ、どんなに文章で説明しようとも結局は音で実感しないと判らないことでもあるので、結局のところ、習うより慣れろ!の世界だとあらためて思うワケでありました(笑)。

円周率をチェレプニン音階にあてはめてみる [サウンド解析]

え〜、ちょっと今回は変わった企画を試みるコトに。

つい最近、チェレプニンの音階について色々語ってみましたが、今回はチェレプニン音階の音列を円周率にあてはめて音楽作っちまおー!ってなコトを実践してみるコトに。

まあ、ゆとり教育の代名詞とも言える円周率=およそ「3!」(←世界のナベアツ風に)なんてぇのは、例えばチョーキングなどメチャクチャ下手で調子ッ外れのクセして、「おお、チョーキングうまいね〜」とホメられるようなモンで(笑)、いかにヒドいものなのかということをあらためて理解できるとは思うんですが、とりあえずは9音音階であるチェレプニン音階を円周率にあてはめちまおーッ!とゆーコトで作ってみました。


ただですね、円周率というのは1〜9の数が出現してくれるのではなく、ゼロも出現します。円周率の深淵を探る人などゼロが続いた時にはさぞ大喜びしたんじゃねーかなー、と思うワケですが、今も円周率はコンピュータ駆使して探られているワケですね。

「9音音階にどないしてゼロ使うねんな?」

そうなんです。ココなんです問題は。


過去にもブログでチラッと円周率を音階にしてみたりするというネタを語ったコトがありましたけれども、その時は深く言及しませんでしたので今回はチト掘り下げてみることに。月イチくらいには大脳新皮質使ってやらないと「おバカ」になっちゃうので、涼しくなってきたこともありヒマなんで今回は少々マジモードで。


円周率を音列に置換するってぇコトは、ある意味では、そのランダム性により「セリー」を構築することも可能なんですな。セリー音楽のセリーです。

ま、ここではセリーについて深く言及しませんが、ある一定のモチーフを定義付けしたら、そのモチーフを二度と使わないようにして「次の音」を構築していくような作曲法と思っていただければ判りやすいでしょうか。


んで、肝心のゼロの扱いですが、今回左近治はゼロ出現時において、それは「休符」且つゼロを調性変更のフラグとして扱っています。

更に、ゼロの前後の3つの数をそれぞれ加算して、3種類の調性を後述のように定義付けしております。


例えば、「1230987」という数列があったとしたら、ゼロの前の3つの数字とゼロの後の3つの数字をそれぞれ足してみます。
そうすると・・・

「6」という数と「24」という数字を得ることができます。で、さらにこのふたつの数字の差を絶対値で求めます。すると絶対値は「18」というコトになるので、これを3で割ります(絶対値というコトバに拘っている理由が判らない小6、中1の人は先生に訊ねてみてね!)。

割り切れた数を・・・Cチェレプニン・スケール
余り1・・・Dbチェレプニン・スケール
余り2・・・Ebチェレプニン・スケール


という風にしております。ゼロが複数続けば休符も続くし、音も無いのに調性が変更される可能性があります(調性が維持されることもあります)。

Cチェレプニン音階というのは、Eチェレプニン、Abチェレプニンも構成音は同じです。ってなワケで3種類用意すれば12音全てを満たす調性が得られるワケですね。あてずっぽうにアレコレ転調させる定義付けをするよりも、3つの定義付けで間に合うことも理由のひとつ。

なんで前後の3つの数字に拘ったのかというと、左近治の趣味の領域ですが、魔法陣(奇数方陣)の発想を3声のセリーを使って導入してみよっかな、というアホなコトを趣味でやっていたので、大きな理由は特にありません(ホントはあるんですが小せぇコトなのでココでは割愛)。

魔法陣ってェこたぁ、縦、横、ななめ、合計しても等しい和を生じるワケですが、チェレプニン音階を導入しつつ、3声部&3音ずつのセリーを魔法陣にみたてて9種類のセリーを導いて作った音楽というのを楽しんでいたという、ただそれだけの理由です(笑)。故武満徹の立体楽譜がどういうモノだったのかは詳しくは知らないんですが、魔法陣導入した楽譜(アンサンブル)って面白そうだな、と考えていた左近治だったワケです。


ある意味、この手の音楽となるとアイデア勝負ともなりますが、よいこのみんなはマネしないでね!(笑)円周率およそ3のままでイイっすかから。悪い子はトコトン学んでください(笑)。


それと、ゼロ以外で同じ数字が連続した時はオクターブ変更を行いますが、前後の音との音程差が著しく極端にならないように、これは左近治が勝手に行っています(笑)。この辺の定義付けも可能ではありますが、あざとい人だとこのアイデアでメシのタネにしてもらっても困るので、こちとら無償で提示しているワケですから、もっと深く追究したい方はそれなりにご自身で進めてくださいね(笑)。とはいえこの手の題材なら誰でも一度は用いたコトがあると思うんですけどね。現代音楽やらに興味を抱いている人は。



算数&数学の初歩程度でも、こういう音楽を生み出せるということが判っていただければな、と。ちなみに音波とは耳に届いた時こそが情報が届いた証ではあるんですが、途中でロスしている音だってありますし、それはどうやっても音波として現れないのは判りますよね。

現存する万物というのは、ある一定の「波動」に相殺されずに調和しているという証ですので(原子だろうが太陽系だろうが宇宙だろうが)、10進数を用いて求めることができないだけの現存する「円」。機械的にはどんな精度をもってしても現状では「真円」は得られないのでありますが、世の中のそんな成り立ちやらを数字に置き換えて音にする、という醍醐味を味わってもらいたいんですなあ。音楽というのも結局はソコなんで(笑)。


で、今回用意したサンプルは、それこそハモンドにでも弾かせればプログレっぽい音並びになっているのは興味深いですね(笑)。もっと追究して巧い具合にコード・プログレッションさせることも可能ですが、題材的にはもうコレで十分だろ、と思うのでこの辺でとどめておきます。

3.14・・・のアタマの3から始めて、16分音符に置き換えています。それが10小節。小数点第159位まで知ることができますんで、音覚えていただければそれくらい覚えられるってぇこってす(笑)。


底意地の悪い左近治が敢えて忠告するしますとですね、ハナからチェレプニン音階を導入していることにより、チェレプニン音階の呪縛から逃れることはできないので(笑)、十二音技法とは全然違います。ゼロ出現時にミラー・モード導入してテトラコルドの高低を入れ替えるにしてもチェレプニンは釣り合っていますし、レトログレードするなり、協和音程だけを用いてハモらせるフラグとして活用するなり、色々研究してみてください。

十二音技法とは異なるものの、釣り合いの中での不可思議な音列の魅力とでも言いましょうか。

2008年夏 Rhodes聴き比べ [サウンド解析]

今回はまたまたローズの聴き比べであります。とりあえず2種類です。



コード進行はというと、

Fm9(13) --> AbmM9 (#11,13) --> EbM9 --> Eb9 (#11) --> BbmM9 --> GmM9

というように、マイナー・メジャー・コードを今回もふんだんに使っておりますが、たぶん今回コードネーム書かなかったらマイナー・メジャー使っているとは気付かないのでは!?と思えるくらいさりげなく使ってみました。

前半はNI Elektric Piano 1.5 後半はScarbee CEPです。

間接音 [サウンド解析]

まあ、前回の続きでアレルギー面やらにも目を向けてみると例えばサンレコに寄稿している赤川新一氏の記事は、居住空間の在り方などを踏まえながら興味深い記事を読む事ができ、近年のサンレコにおいては貴重な記事のひとつになっているように思うわけですが、今月号の水道水とシックハウスの関係はかなり興味深かったのであります。

健康なんてのは自分自身が健康な時は概ね無頓着なもので(笑)、耳すらヘッポコな人が多いものだから音に関わる日常だってかなり無頓着。

突然居住空間が変わればさすがに間接音にともなう残響の違いを判別することは可能であっても、慣れが生じてしまえば無頓着になってしまうのが大半ではないでしょうか。

間接音の分布具合やら果ては空調や室内の温度変化に伴うピッチのゆらぎなど音感鈍い人なら勿論無頓着でしょう(笑)。だからこそ自分自身の血圧や心拍数の変化なども健康だからこそ無頓着になってしまって自分のみ見回りの血流すらも無頓着。これらのファクターなど無関係にブラインドテストなど容易く展開してしまうという情けない有様。

自分の声などいかに間接音に「作られたもの」なのかということは、以前に無響室について語った時でも体験談として述べましたが、間接音が作り出してしまっている音質に惑わされない目利きというより「耳利き」が重要になってくるのかなーと思います。

自分の部屋を「器楽的な」音響ルームにチューニングしたいという人は多いでしょうが、実は生活空間のキモとなる床部分に目を向ける人は少ないのが実態でしょう。

床で全てを構築するというのも「どだい」無理なハナシですけどね(笑)。

間接音を積極的に取り入れることだってあるし、実際にはこういうシーンが多いわけですね。DAWソフトで全てをバーチャルに片付けてしまうとついつい見落としてしまうシーンかもしれませんが、だからといってサンプル音源でマイク収音の間接音部分まで目を向けている人は少ないでしょう。出されたもの(リリースされたもの)をそのまま素直に受け止めて、その音にEQやらダイナミクス系で若干の編集を加える程度だったり、というレトルトカレーに一工夫!みたいな程度に済ませちゃっている人いませんか?(笑)。

たまたまアレルゲンの耐性があるからシックハウスに気付かない。それは自分の環境に只単に慣れ親しんだだけの基準で音を決めてしまっているという。今の時代音感を鍛えるどころか衰えさせかねない時代でDAW人口が増えていくという悲しい現実に目を向けざるを得ないと。気付いた時には自分自身が健康を損なう(=器楽的な意味ではこの場合、求められる「音感」が無いということとの暗喩です)ようでは時既に遅し。

これだけ暑いさなか、自分の家の周りでの温度変化には敏感でも、その慣れた場所での音響の変化に目を向けて敏感になってみれば気付くことなど沢山あるんですけどね。

聴覚について [サウンド解析]

浜崎あゆみの左耳の難聴のニュースが報じられている最中ですが、この私とて暮れにセカンド・オピニオン受診して異状なしってぇコトだったんですけどね、とりあえず聴覚について今一度お話しよっかな、と。

人間の耳ってぇのは興味深いもので、正常な人でも両耳の感度は全然違うんですな。数dB~10dBくらいあっても普通。でもそれが両耳でアンバランスに聴こえないのは脳が補完しているからなんですな。デジタルで言えば1bitから2bit分の開きがあるのだから驚きですな。その感度は全帯域トータルの感度なので、片側の耳がある特定の周波数帯の感度の鋭さ/鈍さってぇモンが実はあるんですな。

で、日常的に片側の耳が、疾患などではなく生理的な要素で一時的に「聴こえにくい」とか、騒音の激しい場所で仕事をしていたとか生活していたというシーンである周波数帯において鈍かったり聴き取りづらくなるという症状は誰にでもあってですね、あまりにアンバランスさを欠いてしまうとそれまでの両耳とは違和感を抱くので、概ね泳いだ時に耳に水が入ったくらいの違いを認識するんですが、これよりも「見逃せてしまうような違和感」程度だと、脳が徐々に補完していっちゃいます。

大音量でいつも音楽を聴いていたりすると、「見逃せてしまうような違和感」を放っておきがちになるので、実は耳にはよろしくない。それでいつの間にかその見逃せてしまう違和感が「日常」となって脳が補完してしまう、というワケです。

もちろん人間の耳には個体差もあるワケで、その個体のクセとやらを人間の脳はどうにかこうにか補完しようとしているってぇワケです。

結合差音が聴き取れないようだと(周波数の違う音叉を同時に鳴らして、それらの音叉とは違う音が内耳に生じる現象)内耳機能が損傷してしまっているのは間違いないでしょう。差音というのは例えば2つの異なる振動数(ピュアトーンで)を同時に鳴らすと、その双方の周波数の差分が聴き取れるというワケで、ほぼピュアトーンのような一昔前の携帯電話の着信音などでは、耳に近付ければ簡単に認識することができます。

左近治自身、3&4和音時代に結合差音を利用したアレンジを施して、三声や四声を超える楽曲のアレンジに挑戦したものです。対位的には美しくないけれども、差音を生じさせるためには仕方が無い!というアレンジをしていたこともありました(笑)。今ではもうそれらの楽曲を聴くことはできませんけどね。

で、後天的に視覚を失った場合概ね聴覚が鍛えられます。方向感覚を掴むのは耳や触覚なワケで耳が鍛えられるというワケですな。というよりも視覚に頼れないからこそなのでありますが、モニタリングですら照明を明るくせずに暗くした方が音を捕らえやすくなるというのも似たようなモノであります。

以前のブログでも絶対音感についてチラッと語りましたが、人の声の低い/高いがきちんと認識している人なら誰でもある能力でして(笑)、これこそが絶対音感たるものの根幹(笑)。

ある人の声がいつもより声がおかしい。

「風邪ひいた?」

これが判れば絶対音感の発揮例。何もピアノの音当てられるだけが絶対音感ではないんですな(笑)。それだけ音名当てられるほどのピアノ弾きの中にハンマーの部分音を列挙できる人にどれだけ出会ったことか(笑)。それでいて自身のピアノの調律には無頓着で調律は年に1回で十分!というトンデモない人が「ナンチャッテ絶対音感」を引き合いに出して特殊性をアピールしようとする、雑魚ピアニストやら音楽屋の悪いクセですな(笑)。

幼少の頃から音楽方面で芸達者だと日本の教育社会だと概ねチヤホヤされながら育っていき、それがピアノ主体の音楽教育(民間の)だと、週末にコンクールやら催し物で一所懸命持ち上げられ(笑)、音大卒業してプロのなるかと思いきや、町のピアノの先生とか調律師とか。これが現実。ここまでの地位になる人すら限られているのが現実で、実際にそれらの人達でも絶対音感はあるのだけれども、本当の秀でた音感を持っている人は実際には少ないでしょう。一般的に見れば、そんな方々よりも遥かに劣る音感(一般的に「音感が無い」と呼べるに相応しい)を持つ人が殆どなんですからね。

オーケストラのアンサンブルだって、同一曲内でピッチの変化していることすら聴き取れないようではいかんのですよ(笑)。器楽的な意味で絶対音感が優れている人はあらゆる部分音も可能な限り抽出できて、音名に表す場合はセント単位の増減も判り、符割の細かいフレーズやらパッセージでも記憶することが可能(つまり耳コピが可能)、自身の脳内で得意・不得意の調性感を持たないetc(←特定の調性を持ってしまう場合、概ねいっつも同じ調の曲しか作れなかったりする)

さらには、聴こえてくる音を自身のボキャブラリーに「置換」してしまうのも、音感が鈍い人の顕著な例。或いは他言語だったりとか。特に日本語の場合は「文字」から置換された「音(五十音)」に置き換えてしまうので、日本語を習得して五十音を覚えた時からデフォルメが開始されてしまうという側面も(笑)。これを意識できているのであればデメリットにはならないと思うんですけどね。

こういう中で鍛えられた人の絶対音感というのはもはや「なんちゃって~」の類の人とはもう別物なんですな。

音にうるさいスティーリー・ダンのライヴを見に来た人5000人の中で、これだけの耳を持っている人は5人居るか居ないかでしょう(笑)。もしかしたら1~2人居ればまだイイ方かもしれません(笑)。

左近治はどうなの!?と言われれば、さあ、それはご判断にお任せします(笑)。私よりも音感が鈍い人には数多く出会うのが私のこれまでの「日常」でしょうか。器楽的に。


ハナシを戻して難聴の類の場合、女性の場合は脳の構造というか神経伝達も男性と違うので、耳に障害が出ているとより一層外的要因は男性よりも特定しづらいかもしれませんね。耳の再生手術というのは現在の医療技術をもってしてもまず無理な分野じゃないでしょうかね。メスどころか針のように細いもので触れただけでも特定の細胞を損傷させてしまいかねないのが人間の耳。実に難しい部位。もしかすると、投薬治療やら向精神作用の投薬治療で効果が出るのかもしれませんし。

SMPロック [サウンド解析]

ん~、どうもブログの設定がおかしくなってしまったのか、あれこれ記事をエクスポートして他社のブログやらインポートしてみていたりしていたんですが、やはり使い慣れている方がいいので出戻り、と。

Kクリのコメントでも今や存在しないURLを載せているんで(笑)、いずれ修正しておかないと、と。

さて、今回はソフトウェア音源のお話。シンセやらサンプラーやらエフェクトプラグインやら。パソコンベースの音楽制作はすっかり欠かせないものになって、ついつい贅沢をしたくなってパソコンに負荷を与えてしまいがち(笑)。

とはいえ、これらのソフトウェア音源の類は、すっかりポピュラーになったマルチコアやらの分散処理がまだまだ巧いこと活用されていないような処理になっているようなものも多くて、この辺りが次世代DAW環境のキモとなる部分なんでしょうなあ。但し、Logic Proの内蔵モノに関しては非常によく分散処理していると思います。8になってから分散具合が7.2.3の頃よりも効かなくなってしまってはいるようですが、これは今後のバージョンアップに期待するとしましょうか。

なんでまた、この「分散処理」やらに目を向けるのかというとですね、Mac使っている人ならご存知とは思うんですが、G5 QuadからのマルチCPUモデルは、Tigerの組み合わせによって大きな恩恵を受けることができるようになったんですな。それがSMPロック(シンメトリック・マルチプル・プロセッサ)。

Tigerのカーネル部分の「ファネル」と呼ばれる部分がそれまでは2つだったのに対して、臨機応変にSMPロックが活用されるようになったワケですね。CPUのキャッシュにおいて。

ただ、ソフトのプログラミングにおいて、こういう機能とかち合ってしまうようなソフトがあるような(笑)。問題児であるKontaktとかBatteryですね(笑)。

それらのNI製品は、おそらくアクティベーションにも起因しているのかもしれないんですが、MacのこういったSMPロックとソフトとの応答にどうも相性がよろしくないようなコトを感じるんですな。

Mac OSはファイルの扱いやらCPUの処理やらメモリの処理までダブルチェックしているようなモンですから、整合性の「結果」としてファイル出力する際に、SMPロックとかち合うのか、整合性の取れなかったモノを「不可視ファイル」として残してしまうんですなあ。KontaktとBatteryは特にMacと相性が悪いような気がします。こう断言してしまうのもアレなんで、MacのマルチCPUモデルのTiger以降のOSと相性が悪いようです。

こういった不可視ファイルはKontakt上からブラウジングできてしまうんですな(笑)。Kontaktも3になってマルチプロセッサをサポートして、その設定が可能になっているんですが、マルチCPUに分散させてはいても、さらにデュアルコアにまで分散させているようではないんですな。Macにおいては真の意味でのオプティマイズはまだまだされていないようで(笑)。

NI関連のソフトは特にMacのSMPロックに巧く対応できていないように思えるんですな。

とはいえ他のサードパーティーの音源やらプラグインでもマルチコアやマルチCPUをフルに活かした設計になっているものは少ないと思いますが、NI関連のソフトはそれが顕著ですね。

ただ単にデュアルコアCPUならこういう問題は少ないのかもしれませんが、マルチCPUとマルチコアの両方を兼ね揃えた環境の受難(笑)。

とはいえそんな不安も、ブン回しマシンパワーがそれを忘れさせてくれるワケですが、そろそろ8コア欲しいぞ、と(笑)。

Logic8でLogic7時代の音の整合性を保つには [サウンド解析]

ディスコ・サウンドが流行っている現在、左近治もイイ歳してその手の音の悦に浸っている今日この頃です(笑)。

ま、左近治の今ン所のめり込んでいるタイプの音は、70年代のアフロなディスコ系やそれ以前の「ゴーゴー」系ではないんですな(笑)。こういうヴィンテージ系なコテコテ系も要所々々では勿論イイんですが、ココん所好きなのはやはり、80~83年くらいの音なんですなあ。

Chicで例えるならBelieverとか、Real Peopleより後の2枚のような音。この手の音には当時を経過してから中々この音に回帰するような気配は感じられなかったのですが、最近、この手の音が各所で持て囃されてきているように思えますな。

重要なのは、4つ打ちキックはトコトン排除(笑)。まあ、中にはドシッ!としたスネアで4つ打ちで作っている所も多いでしょうが、当時で言うならパワー・ステーションの登場までのシーンのような感じですな。

で、おフランスな感じのイイ所は、音階や調性の叙情性だけに頼った感じのチープなリフに横ノリのリフ(笑)。鍵盤はなるべく三声未満で(笑)。こういう雰囲気を思わせる内容の音が恋しいと言いますか、ついついノスタルジーに浸るワケであります。

昔を振り返れば当時の左近治、ケツも青けりゃ髪も青いという時代もありましたが(笑)、頭髪もいつ薄くなるか分からない(笑)、カラダをイジメりゃ2~3日後に疲れがドッと来るような歳になり(笑)、若い頃にゃあ、無人島に持って行きたいたったひとつのモノは何!?と云われれば「ベース!」と即答でカッコつけることが出来たモンでありますが、今そんなこと訊かれりゃ「医者、病院!」と迷いも無く答えるトシになっちまったモンでさぁ(笑)。

昨今の音楽のムーヴメントに呼応するかのように、ノスタルジーに浸りながら音楽を楽しんでいるというワケであります。


まっ、そんなワケで先日9月21日の悟生楽横町にて『Discotheque』というディスコ風の無料曲をリリースしたワケなんですけどね、またこりゃタイムリーと言いますか、Logic Studioのデモソングをよくよく聴いてみると、結構気に入った曲があったんですな。

当初はソフトのインストールありきでデモソングのDVD-ROM自体開けてもいなかったんですが、昨日ヒマな時に「そういやコレ、どんなの入ってんだろ?」と思って聴いてみたらお気に入りになってしまった曲があったんですね。それがコチラ。

『Le Disko』/Shiny Toy Guns
Shiny Toy Guns - We Are Pilots - Le Disko

こういう少々なつかしい感覚、なかなかバランスが取れてるなあと感心してしまったワケですが、あらためて聴いてみると、もはや演奏している本人達よりも、周囲のディレクターやらプロデューサー辺りが当時を知っているからこその音なんだと思います。

Gentle Giantの「Prologue」のメインメロディの変格旋法を思わせる出だしのボーカルのメロディ(笑)、いや、ピストルズやPIL風と言えばイイのか、ドアーズ、ポリス、グレイス・ジョーンズ、パティ・スマイス、Phew、フリクション、メロン、SAPHO(サッフォー)などに傾倒していた時期をついつい想起してしまいましてですね(笑)、ボーカルの女性の声の可愛さもあってお気に入りになってしまったんですわ。今までコレを知ることが出来なくなった自分が情けないというか(笑)、そういう部分にトシを実感してしまうんですなあ(笑)。

サッフォーと言えば、1984年でしたかトヨタのMR-2(参考出品のSV-3から正式デビュー)がデビューした時CMソングに使われていましたが、当時の国内ではEPでシングルカットされているだけで、クロスオーバー・イレヴンで洋盤かけてくれてた時はとても喜んでいた左近治を思い出してしまいました。ンなワケでSAPHOの最近のオススメというか、これぞシャンソン・テクノだぜ!と形容していいのか(笑)、独特のネットリとスッキリの対比が実にドラスティックで美しいのがコチラでしょうかねー。やはりiTunes Store上でも売れてるんだなあとあらためて痛感。

ついでに妖艶漂う、少々ゴシックな世界が好きな人にはピッタリなサッフォーの曲なんてどうでしょうか。

『Je t'avoue』/Sapho
Sapho - Digital Sheikha - Je t'avoue

左近治がノスタルジーに浸れるのはこーゆー曲調ですな。大体82年頃のような雰囲気。
『Laouah』/Sapho
Sapho - Digital Sheikha - Laouah

当時サッフォーを知ったのはMR-2のCMもさることながら、私が熟読していた「週刊FM」だったような覚えがありますな。いまだにテクノやってる所がスゴイというか・・・。意気込みを感じさせるってぇワケですよ。気合入ってます(笑)。


ま、気合というか好きだからこそ継続できるのだろうと思うんですが、最後にLogic8について。

Logic8 DEMO
え~、このデモはMP3コンバート時に48kHzのサンプルレートにしてしまった為、BIGLOBEさんの再生ボタンで再生してしまうと強制的にゆっくり再生されてしまいます(笑)。ですので再生ツールの右側「DL」ボタンをクリックしてから視聴されると、本来の意図した再生スピードにて視聴できます。



デモの制作時は96kHz/24ビットなんですが、ダウンコンバート時にサンプルレート44.1kHzにしたつもりが48kHzにしてしまいました(笑)。そうだ、BIGLOBEさんのブログでMP3アップする時は44.1kHzにしないといけないのだったと思い出したわけですが、この手のデモは作った矢先セーブしているわけではないので(笑)、プロジェクトすらすっかり消えています(笑)。やり直せと言われても無理なんですな。まあ、復旧ツール使えばなんとかなるのかもしれませんが。


今回のデモはアンビエンス感と分離感がテーマというか。キックはAddictive Drumsですが、ハットとスネアはEXSのキット名忘れちゃったんですが(笑)、やたらとスネアがカンカン鳴るタイプの音です。MUTE BEAT時代の屋敷豪太系のスネアっぽい音をデッドに加工したんですが、Logic8のEQの「Q」の扱いがこれまでより一層パラメータが強化されているんで、かなり音作りに追い込めるんですな。

で、スネアはClassA_Rのコンプと2882+DSPのゲートとコンプの2系統にパラ出ししています。キックはLogicのゲート使いました。コンプは2882のやつですね。ま、とりあえずは7時代よりも分離感の際立ちもかなり追い込めるので、少々ウェットな音場でもアンサンブルがうまく分離感を残せるように追い込んでみました。

で、Logic7時代のソングファイルを8で読むと確実に音が変わってしまうのには注意が必要なんですが、整合性を取るためには下記のような要点を理解していれば大丈夫かと思います。


Logic8からSENDに「ポストパン」の機能が実装されました。このポストパンによってバス送りやAUXなどのパラ出しルーティング周りの「デジタル信号ならでは」の扱いが変わったというワケです。

7時代でも通常はポストフェーダーで、現在もポストフェーダーは実装されています。


ただ、7時代のポストフェーダーと8のポストフェーダーの扱いが内部的に変わって、ポストパンという機能を追加したことで並列ルーティング方面の信号出力の安易な倍加を回避させるためでしょうが、それによって従来のポストフェーダーよりも信号がマイナスにオフセットされます。

つまるところ、7時代にバスやAUXにリバーブなど割り当てていた人は、それがステレオ信号なら+6.1dB強、モノラルだと+3dB強ほど増幅してやらないと整合性保てないので注意が必要ですよ、と。

というか当たり前田のクラッカーなんですが、この左近治またもや老婆心ムキ出しで語らないと気が済まないんですなあ(笑)。

では、Logic8のポストフェーダーとポストパンのセンド量の「0.0」は実際には-6か-3なのか?そういうコトではありません(笑)。

従来ポストフェーダーにしていた人がそのまま7時代のプロジェクトをLogic8にインポートすると、整合性を保つためには、そうしないと両者信号の取扱が変わったので注意が必要ってこってす。

Logic8ではTDM環境以外ではユニバーサルトラックモードを推奨するようになったのは、ポストパン実装によってパラレル出力先へのパノラマ(左右の分布)や、デジタル信号のステレオとモノラルによる安易な倍加を回避させるためにこういう違いとして表れています。

それではまた。

Rhodesエレピ・サウンドを聴き比べ [サウンド解析]

え~、まず簡単な2小節のブリッジで、合計5種類の異なるローズ・エレピの音を比較できるように安直なデモを作ってみました(笑)。

殊、ローズとあらばヨダレ垂らして群がる烏合の衆の一人である左近治なワケですが(笑)、今回の5種類の音は左近治の気に入っているエレピをチョイスしてみたというワケでありますが、モノホンのローズやMK-80の音は使っておりません(笑)。

とゆーワケで打ち込んでみたというデモなんですが、人それぞれ好き嫌いがあるでしょうがエフェクトは各種とも全く違うセッティングを施しておりまして、ドライな音ではありません(笑)。ま、アンサンブル自体がドラム、ベース、それとローズの3つなんで聴き取るには充分かな、と。

さーて、アナタはどんなタイプのローズの音が好みでしょうか!?



因みに録音全般で手を施しているのは、某トータルコンプとハードウェアを介したディザリングを施して、プロジェクトそのものは24ビット96kHzで制作。その後16ビット44.1kHzに変換している、と。

帯域的にもかなり余力のあるハードウェアなので心強い味方なんですが、普段もこうして着うた制作しておりますんで、なんら通常と変わりありません。

後日、5種類の音の解説でも述べるとしまひょ、と。

石油 [サウンド解析]

あちこち出かけてあらためて痛感するのは、ガソリン代高騰やら渋滞やらetc

例えば無鉛ハイオクってぇたって、確か数%くらいはガソリンではないんですよね。これは国内で法整備されたものなので、すなわちそれくらいの純度を保っていれば販売してイイというワケですな。満タンにしても、エンジンオイルに匹敵するくらいの量はガソリンじゃなくてもイイということ。

空気と化学反応したり、その他の”非ガソリン”系が給油タンクに水貯める、と(笑)。利用者個人のガソリンタンクは水抜き剤だの使うのに、ガソリンスタンドのキロリットル単位で備蓄している所にはなんで水抜き剤は必要じゃないのかなーと不思議になりつつも、揮発油税で沢山国にテラ銭払っている所は憂慮されるワケで、バイオエタノールが真っ先に認可されるのも昨今の原油高騰(米国ヘッジファンドによる誘導策に端を発する)に伴って、産油国ではない資源の少ない日本ではこういう煽りをモロに受けるために関係各所に格段の配慮をする、というワケですね(笑)。

まあ、それでなくとも企業には格別の配慮をしている近年の与党ですから、概ね予測は付くんですけどね(笑)。

因みに、原油は採掘しなくとも化学的に合成して作れるものの、採算性が現在のコストよりも高いからなんですね。メタンハイドレートの資源は潤沢な日本も(笑)、コストが高いためにそっちにシフトできないんですな。

で、これら天然資源の採掘にはですね、音が重要なんですね。

電気的な刺激を与えたらそれこそ爆発や一世紀単位の地下火災の危険すらあるそれらの採掘では音を使って試掘したりして探り当てているというワケですな。

ヘリウムガスも吸えば声が変わりますね。

こうした成分の違いで音の伝播速度は変わり、音に変化が生じます。その差異を利用してガスやら原油の調査に使われているっちゅーワケですわ。


大気の組成はもちろん、音の伝播はそれを伝わる質や密度にも影響を与えるワケです。温度だけではなく。

気圧やら吸音率、温度、材質、材質の密度やらの音の伝播は色んな方面で研究されて知られていることなので、それらの値をパラメータとして用いて自分で簡単なプログラムでエフェクトを作ることも可能なワケであります。

さらにですね、それらのパラメータで与えられた擬似空間の中に、障害物を配置させるというパラメータも与えることができまして、この「回折」と言われるパラメータはどれだけの表面積を与えると音の伝播具合が変わり音に影響を与えるのか、というアルゴリズムというか公式は結構簡単なものでして、前述のパラメータ群よりも簡単だったりします。

学生さんには是非夏休みを利用して、図書館行ったりしてそれらの研究をして、Max/MSPやらReaktorを使ったりしてオリジナル・エフェクトを作ってみたらいかがと思います。

音色変化において比較的簡単に構築できますし、応用の幅も広いので試してみる価値はありますぞ!

方眼紙のアイデア [サウンド解析]

扨て、前回の続きです。

シンセサイザー類などを除けば、多くの低音域を再生できる楽器は結構倍音が豊富です。ピアノしかり、弓(ボウ)で弾く時のアコベも同じように。

シーンによってはあまりに倍音を多く含むために非常に弱いタッチで弾いたりすることもあるワケですが、低音楽器とはいえその楽器個体が持つ音像フォーカスは、倍音のフォーカスも一役買っているわけでありますな。

デジタル音声の場合、簡単なハナシが「音のコマ送り」なワケですが、サンプルレート周波数という周波数の上限が定められている以上、高い周波数の音の解像度は低音よりも解像度が甘いワケですね。

一枚の方眼紙の横軸方向が「1秒」と仮定するならば、高い周波数はヘタすれば何千・何万という波長を書かなくてはならず(笑)、もはや方眼紙の解像度すら超えているので表せなくなってしまいます(笑)。

DTPが浸透する以前の写植の時代なら、1ミリの間に11本の線を描くことが第一歩と言われた時代があったモンですが(笑)、高いサンプルレート周波数によって恩恵を受けるのは高い周波数よりも低い周波数の解像度なワケですね。

だからこそ、倍音が豊富なソースであればより一層定位感がしっかりとして低音のフォーカスも増した印象を受けるというワケです。

アナログの世界には、回路がもたらす遅延がありますが、デジタルの世界に置き換えるならジッターノイズなど方面で見られる、細かい精度の領域の遅延がごく普通に存在しているワケです。

192kHzのサンプルレート周波数での1サンプル長は7~8マイクロ秒辺りだと思うんですが(計算していませんので各自お調べください)、アナログの世界ではこれくらいの遅延やこれ以下の遅延もごく普通にゴッタ煮になって出力されている結果なワケです。

デジタルの精度じゃ録音しきれない遅延の部分は、最も近い量子化された音に「面取り」されることになるというコトを意味しますね。

音の世界というのは実に深いのだなーとあらためて痛感させられるワケですが、音そのものばかり注力して聴いているはずなのに聞き逃したり、定位感によって妨げられたり、一方では強化されたり、自分の意志ではどうにもならないこともあるわけで、音を聴くことも重要ですが、定位を捕らえるという感覚で音を捉えることも同様に重要なんですが、前述のように妨げられることが多いので、それに打ち勝ちながらトライ&エラーを繰り返さなければならないんですな。

可聴周波数帯が狭まったとお悩みの貴兄に [サウンド解析]

久々にマジ話しまひょかね。

純粋な正弦波、つまりピュアトーンですね。これを聴き取るのに聴覚検査とかあるワケですが、加齢に伴い高域がどんどん低くなっていくというのは広く知られていることだと思います。しかし、その人が聴覚検査で聴こえなくなってしまった周波数にも、実際には毛細胞はきちんと振動を捕らえていて脳に届けているというのは結構昔に記事にしましたが、これについてはあまり広く知られていませんよね。

この部分まで言及すれば自ずと理解を進めれば判るモンなんでしょうが、聴こえない音に対して釈明を付けているだけのように曲解してしまってですね、

「結局、聴こえる者が勝ち組!」とか

「絶対音感ある者が勝ち組!」とかですね、なぜかこういう無関係な方向で優劣を付けたがったり、それらの話題には懐疑的な人って結構いるものなんですよ。音楽に深く浸る人においても。もちろん私の周囲にもそういう頑固者はおります(笑)。

その手の人たちの頑固な面はですね、実際に自分が感じ取れないが故に信じようとしない、故にそれ以上を咀嚼して語ってくれる見聞に触れない限り、理解しようとしないんですね。

とはいえ、そこで音に対して「その程度」の人たちが多い所で、それ以上の薀蓄を語った所で仕方ない時もありまして(笑)、あまり多くを語らずに「さわり」だけで留めておいた方がイイ場面もあるんでそれ以上は私も言及はしなかったんですけど、話題も乏しいので今回は以前のそういう話題に実例みたいなコトを語りつつ、頑固な方が少しでも目からウロコ落として(耳から耳糞落として)今一度音楽を深く聴く姿勢が構築できればいいなーと思い語ってみることに。


左近治の着うた制作環境は24bit/96kHzがメインです。扱おうと思えば同ビットの192kHzでもいけますが、HDD周りはRAIDストライピング組んでいるワケでもない、あるいはXserve RAIDを構築しているワケではありませんし(笑)、何より着メロとて40トラック以上扱うこともある中で、それらをオーディオだろうがソフトシンセやらを24bit/192kHzでストレスなく動作させるというのは私の環境ではまず無理です(笑)。

そうは言っても96kHzのサンプルレート周波数にしたって十分ハイ・サンプルレート周波数。理論値で言えば実際に48kHzの周波数帯を確保しているという環境なワケですね。

ところがこの48kHzという音を聴くことのできる人間はまずいないでしょう(笑)。

しかしですね、そんな96kHzでもやはり超高域成分が齎す音というのはやはりきちんと認識しているものなんですよ。ハイ・サンプルレート周波数に普段から携わっているからこそ実感できているんですね。

例えば、全く同じモノラルソースのオーディオを2つ用意して、それぞれパンポットはセンターでトラック上に配置させるとします。

こういう場合、トータルの2ミックスは唯単に音量が増すだけです。

では、一方のトラックにLogic Proで言うなら「Sample Delay」を噛ませてみて、そうですねえ、じゃあ数サンプルだけでも遅らせてみましょうか。

もう、この時点でディレイを噛ませた方が遅れるワケですから、人間の耳は「先に聴こえる」方を、音の鳴る「方向」として認識します。

実際は同じソースの音でして、レベルメータの応答アルゴリズムがPeakingだろうがRMSだろうが、数サンプル長程度ではレベルメーターには変化はありません。

が、しかし、耳は先に聴こえる方に方向感覚を付けてしまい(実際には脳の処理)、パンが振れるように聴こえてきます。

徐々にSample Delayの値を増やしていくと、96kHzの環境で私の場合だと100数十サンプル長を超えた辺りから500~600サンプル遅らせると、完全にワイドにパンが触れたようになって、1500サンプル遅らせた辺りから、今度はもう一方のトラックの音をようやく認識できてきてそれが「ディレイによる音の遅れによるステレオ感」だということが少しずつ認識できるようになってきます。


この実例で重要なポイントはたかだか数サンプル(3~5サンプルくらい)ずらしただけで定位感の違いを認識できてしまうというコトこそが、加齢に伴って実際にはピュアトーンを聴くことができなくても、実際には耳はきちんと「聴こえないはずの音」を認識しているということの証だということですね。

つまり、可聴周波数帯でピュアトーンを聴き取れない帯域でも、それは聴こえなくなってしまったのではないということですね。

定位の感覚すら無頓着になってしまっているならもはやミックスなどできないと思うんですが(笑)、
しかしながら人間の耳はステレオの定位感の雰囲気には敏感ですが、ステレオ感という状況の音に耳が慣れてしまうと、ソース内の音を聴き逃す傾向があります。

かなりワイドなパノラマに仕上げた2ミックス内に、レコードのプチノイズ的な音を加えても、ステレオイメージそのものに無頓着になってしまって違いに気付かないケースなど人間の音響心理的な側面では当然のことなんです。

こういうことを極力なくすために、わざとモノラルにしてみて音を探ったり、あるいは片チャンネルずつを2トラックにパラったりしてモニターしたり、と。モニタリングには必ずしもステレオやサラウンドのマルチチャンネルというシーンがあるとはいえ、シーンによってはモノラルで探らないと聞き逃してしまうこともあるわけです。

インパルスにも近いほどの遅延ですら定位の違いとして感じることができるのに、ワイドなステレオイメージに耳が慣れてしまうと、数十ミリ秒やら200ミリ秒以下の音の存在にすら気付かなくなってしまうという人間の感覚の矛盾は実に不思議なもので、それらの違いを利用してモニタリングすることが重要なワケなんですね。

私が過去に話してきたステレオ感やらパンニングやらの重要性はこういう裏付けがあってのことで語っていたというワケであります。

また、ハイ・サンプルレート周波数のソースをCDクオリティに落とした時に形成されたデジタル処理(オーバーサンプリングやら)の音と、のっけからCDクオリティで録音したそれというのはやはり決定的な違いがありまして、後者だとのっけから録音できない音やら定位の違いとしても現れずに間引きされた音を最後までやり通すというコトでもあるんですね。

故に、定位感がクッキリとする音は概ね高周波帯のレスポンスが良かったりするワケですね。


つづく

近況アレコレ [サウンド解析]

テレビメディアのコンテンツを色々振り返るとですね、CM音楽やらドラマ主題歌などは左近治にとって興味深いものはそれほど多く感じなかったというのが正直な感想で、例えば2007年の上半期として振り返った場合CMコンテンツでは、昨年の新垣結衣出演のポッキーのような訴求力のあるCMコンテンツはまだ登場していないと思います。

着メロ・着うたに適するコンテンツだけとして判断しているのではないのであるんですが、最近の薄型テレビのスピーカーは、指向性がキツイものが多くて、例えばワイドに拡散させたとしても、テレビの裏側には回折も少ないようなデッドなものが多く、あるものはリフレクションを利用して位相角をずらしていたりなど、結構工夫しているようです。とはいえCMのステレオ放送で、ワイドにパンを振っている音楽ソースの多くは、その音楽の持つ魅力が最大限に活かされていないように感じますね。

ホームシアターなどにこだわって5.1chなど従来の2chステレオではない環境にてテレビを視聴する方の方がある意味恩恵を受けるかもしれません。とはいえ元ソースはサラウンド形式ではないんですが、2ch再生で最近の薄型テレビの多くのスピーカーは、MSデコード的な視点で見ると、パノラマがワイドな音楽ソースは通常のリスニング環境において希薄な音になりがちで、これが視聴者にどのように伝わっているかということを制作サイドは再び考える必要があるのではないかと左近治は思います。

2ch再生を前提として薄型テレビを視聴する場合、テレビ側が備えている擬似サラウンドの機能をオンにして視聴した方が、音ソースの忠実度やバランスはともかく、パノラマ状況を隈なく再生してくれるので、元ソースを注力して聴きたい人はこういう機能を使い分けることで、CM音楽や番組内のSEのこだわりが判りやすくなるのかもしれませんが、これについては各人様々なのでなんとも言えませんけどね、総じて言えることは、最近の薄型テレビの内蔵スピーカーの性格を把握していないと、音楽がまともに聴こえてこないよ、と。

場合によっては左右の位相変えただけのソースを含むミックスがある場合だと、パノラマ情報をナローレンジにして再生した日にゃあ、音が消えてしまうんですよね。
場合によっては、制作時のサンプルレートの500分の1前後でサンプルディレイで位相合わせをしているようなものだと、このサンプルのズレにマッチする周波数(計算は各自でお願いします)が相殺されて消えかねません。

結局は今の世の中、CRTから薄型テレビの変遷期に登場しているハードの物理的な側面が、音楽の持つ魅力を半減させてしまっているような気がします。

というより、テレビコンテンツにおいてはそれほどワイドにパノラマ振らない方が功を奏する時代なのかもしれません(笑)。音楽番組は別として。こういうことは携帯端末でも抱える問題でもあるんですが、難しい側面でもあるんですよ。

Sculptureをいじっていると [サウンド解析]

Logic Proに内蔵されている物理モデルのソフトウェア・シンセサイザーである「Sculpture」ですが、これは本当に良く出来ているというか、人によってはSculptureを使いたいがためにLogic Proを新たに買ったという人も左近治の周辺におります。

音のキャラクターはまさに唯一無二というか、オケに入っても存在感があって、非常に「立つ」んですね。ひとたび聴けばすぐにそれと判る音。

加えて、パラメータも非常に細かく、エディット心をくすぐってくれるアイテムなんですけどね、私左近治はですね、まあ安直ではありますがスティックの音をSculptureで作ったりしてるんですね。チャップマン・スティックの音。

スティックの「あの感じ」と言っても色々エグ味が違うので、チマチマとパラメータ変えてみては色んなスティックの音を作ったりしてるんですけどね、先ほど何を血迷ったか意図しないパラメータをあれこれ変わっていることに気付いて、その「奇妙な」音のエンベロープのサステインを調整してみたら、ある音ソックリの音が出来ちゃったんで急遽その曲を作ることにしたんですね(笑)。まだ完成していませんが。

その曲は、坂本龍一の『きみについて』のイントロの音です。ショート・ディケイのアレ。

そういやこんな曲あったなあと、当時は家族や親戚にまで保険加入させて(笑)非売品のレコードをゲット出来たモンですが、「きみについて」欲しさにゲットしてみたら、意外とB面収録の「夜のガスパール」の方を気に入ってしまったという思い出があります(笑)。夜のガスパールは既に着うたリリースしておりますけどね。

当時は貴重だったそういう曲も今ではすっかり忘れていたのでありますが、音がたまたま似ていたため折角だからと思って作ろうと奮い立ちました(笑)。

似てる、似てないなどと騒ぎ立ててみてもですね、ふと振り返ればおよそ四半世紀前のシンセ音を作ろうとしているワケですからね(笑)。テクノロジーは日々進化しているからこそ、今ではお茶の間レベルでDAW扱えるわけですが、ただ単に似ているだけで一喜一憂しているようでは音楽を聴くという部分においてもっと成長しないといけないなあ、と自責の念にとらわれながらも「どうせだから作っちゃえ!」という安直な考えに開き直れてしまうのが左近治流(笑)。

ホンモノと遜色のない位似ているというワケでもないですし(笑)、今ならヘタすりゃ、あの部分の一音ずつサンプリングしてしまった方が似せるよりよっぽど手間がかかりませんが、コレをやっちゃうと着うたとしてリリースできないのは、著作権(原盤権)に抵触してしまうということはお判りいただけると思います。

ゆえに、「似せる」ワケなんですね。似せるじゃなくて「ニセ」でも通用してしまうのがこの世界でもあるんですけどね(笑)。

「きみについて」の音に対して驚くのではなく、Sculptureの応用範囲の広さにあらためて驚いてしまったワケなんですね。

ここ1~2年くらいのテレビドラマのBGMやらジングルやらCMにもSculptureのソレではないかと思う音は沢山使われていますし、まあ、早い話がそれだけキャラクター的に確立してしまっているわけでありますな。

テレビのジングルやらSE系で他に顕著なのがREAKTORのデフォルトのアンサンブルとして用意されている「Gauger」でしょうかね。コレも唯一無二の本当に音が立つキャラクターですが、結構頻繁に耳にしますね。これらの音の特徴は、どんなに手を施しても「それ」だと判るくらいキャラクターが強いんですね。決して音があまり変わらないのではなくて(笑)。空気感やらでも判るくらい強いキャラクターですね。ケータイで鳴らしてもその音は死にませんからねえ(笑)。

ただ、端末によっては低ビットレートにせざるを得ないものもあるので、そういう端末上で再生する時は概ね高域の周波数が大幅にカットされるんで、ヘタにそれらの音の立つシンセの音をLPF噛ませなかったりすると、着うた用ファイルにコンバートさせる際に途端にエイリアス・ノイズだらけになることもあるんで注意が必要なんですね。コンバート側でも内部でLPF噛ませている筈なんですけどね、レンジが広かったりその帯域の周波数が多かったりするソースだと低ビットレートにするとエイリアス・ノイズはかなり顕著になるんで、それらの音を使わない時も結構注意しております。

Finaleにいそしむ [サウンド解析]

着メロや着うた制作には欠かせない、左近治のDAW環境。着メロ時代ではMIDI編集、着うたではオーディオ信号ベースの編集、というワケですがそもそもこういうことを苦も無くこなせるのは、音楽制作がパソコンにすっかり浸透してしまうほどOSとアプリケーションが相互に使いやすくなってきているという恩恵を、使用者がそれほど意識することなく操作ができるようになったからなんですな。

そのOSとアプリケーションの関係とやらも紆余曲折を経て今があるんでしょうが、左近治にとって音楽制作ソフトの類を操作していて一番面白さを感じるのは、それらのDAWアプリケーションよりも楽譜制作、つまりFinaleを使った楽譜浄書なんですね、実は。

Finaleでいくら楽譜を作ろうとも、出版業務に携わっているわけではないんですが、言い換えるなら左近治が「釣り」を楽しんでいるようなモノとでもいうか、釣りをする前に道具をアレコレ工夫して試行錯誤してみたり、そういう作業に似ていると言えるかもしれません(笑)。

DTP関連も好きな作業ではありますが、文字や画像のレイアウト編集というのが好きなワケではなくてですね(笑)、楽譜というものは音以外で音楽を形容するにあたってこれほど便利な伝達手段はないものだからこそ、その音符ひとつひとつに重みを凝縮できる、或いは読み手のことを考えて読みやすくしたりなど、曲の根幹に細かく触れながら編集する作業というのは時間を忘れさせてくれるワケであります(笑)。とはいえDAWアプリケーションにおいても時間を忘れさせてくれるようなことは沢山あるわけですけどね。


時間を忘れて作業なんて、出版業界じゃそんなこと言ってられないよ!

そういう声が聞こえてきそうです(笑)。そりゃそうです。別に楽譜制作に限ったことではなく、クライアントの要望に迅速に応えつつ業務を遂行しなければならない。さらにはその業務が奉仕ではなく利潤を追求しなくてはならないという側面もあるのが実際です。


例えば、左近治がFinaleを使ってパートが5~6パートあるような音楽アンサンブルにおいて、四拍子で100小節ほどの曲をどれくらいで仕上げるかというと、概ねトータルで10時間くらいかかってしまうかもしれません。今までの経験で。これは業務レベルではなく、あくまでも自分の趣味の領域としての時間の使い方ですけれど。

私が着メロや着うたを制作する場合、ある1曲を手掛けるのにどれくらいの「工数」を要したかという観念を用いています。出版業界やらもそうだと思うんですけどね。「工数」とはなんぞや?


例えば左近治の場合は、「1工数」=10分という単位で作業をします。つまり、ある1曲のMIDIを起こすのに2時間30分かかったら、その曲の「工数」は=「15」というコトですね。

業務レベルの現場では、この「1工数」という単位に値段を付けているのが実際です。そこには損益分岐点を考慮した上ではじきだされる価格であり、これは社内内部ではつまり「原価」という風に置き換えることができます。

多くの作業経験から、その業務においてどれほどの工数を必要とするのか、ということは経験的に判るものでして、光熱費やら人件費などのコストを考慮して、そこで初めて損益分岐点が明らかになり、1工数という単位にどれくらいの値付けをすればいいのかというのは企業において色々価格的な開きはあるでしょうが、こういう風にして算出しているのが業務レベルの実際ですね。


出版業務であれば、ある一人の名刺を作るオーダーで版下を作るなんていうのは、私の概念における工数ならば2工数以内でやってしまうのが実際ではないでしょうか。活字やJISコードにも存在しないような文字を用いているのであれば、工数はもっと必要となるでしょうけどね(笑)。一旦印画紙出力したりして、それをスキャンして、Illustratorでトレースして外字作ったりなど、と(笑)。

ただ、単純な名刺だと工数そのものはそれほど多くないのが現実でしょう。


では、その工数は着メロや着うたにおいてはどれくらいなのか!?というとですね、これは曲の和声の構造や和声や演奏の難易度によって大きく左右されてしまいます。その難易度というのも主観的であって、人によってはそれが容易であったり、またさらに他の人には極限レベルを超えた難易度かもしれない曲だったりetc

着メロ時代、MIDIを起こす所だけを工数で考えるなら、例えば吉幾三の「Dream」が一番最短で(笑)、10分程度、すなわち「1工数」で済んでしまったという曲もあります(笑)。

実際には何日にも及んで制作するため、事細かく工数を割り出しているワケではありませんが、着うたの多くの曲は概ね、私の工数の割り出し方なら30~100工数以内で推移するでしょう。その工数に含まれるのは、耳コピ(聴音)から始まって、MIDI編集とオーディオ信号を並行して作って、ミックスして、それを最後に着うたフォーマットに仕立てる、と。そういう工程を全て含んだ工数です。


和声やアンサンブルそのものの難易度が高くても、自分が得意とするようなものならば、工数がそれほど多くならなかったり、曲自体は簡単なのに、音作りで工数を割かれる例もしばしばです。

着メロ時代だと、私は音色を使いまわすことは少なく、その曲用にFM音色を編集していたので、場合によってはこちらで一番工数が多くなってしまうこともありました。音色自体が固定化されていた時の着メロ黎明期の3~4和音の一部なら、それこそMIDI編集だけで済むため、1日に何十曲も作れたりすることもありました(笑)。


没頭することの楽しさがあるのは、今も昔も私にとっては楽譜制作であって、工数なんてものはいくら費やしても、自分の手掛ける楽譜には愛着があるんですね。つい先日も、高校2年生の頃に、音楽以外の授業中にふと浮かんだコード進行を机に書いていたという曲のメモをみつけてですね(笑)、「俺って、スティーリー・ダンに、この頃既に冒されていたんだなぁ」とつくづく感じたことがあってですね(笑)、それも楽譜データにしちゃったというコトがありました(笑)。

学校の机の上は、五線譜の落書きだらけという、授業には没頭せずに常に頭の中が音楽に満ち溢れている、その感覚は、教室という場所や鉛筆(シャーペン)というツールがない現在でも、ツールが変わり、他の方法で没頭できているんだぞ、と。世の中がどう変化しようとも、音楽とそれに対する姿勢は変容していないことにあらためて気付いた次第です。

欧州CLを見終えて・・・ [サウンド解析]

それにしてもセードルフ、4回目のBig Earですか・・・。ジェラードは疲労が蓄積しているのか?いつもの馬力を感じない・・・。いや、彼らの馬力を出させないミランDF陣とセードルフとピルロ達の間合いの取り方が絶妙だったのがジェラードを始めとするリヴァプールに得意のラッシュ攻撃をさせなかっただけ、と。

ミドルレンジからでもある程度の助走とステップを踏んで強く打つ!

コレに対してミランDF陣とセードルフ、ピルロ達は詰めすぎず、離れすぎずという間合いを取って対処していたという、実に緻密な守り・・・。高度すぎる(笑)。

前半25分すぎにリヴァプールが左サイドから攻め込んで、シュートよりも威力ありそうなクロス入れるんですが、枠は捕らえていない。そういうボールには敢えて足を出さないんですよね、ミランDF陣は・・・。

こういう所で慌てて足を出すと、トラップミスを誘発してそこからこぼれ球拾われて攻め込まれる、と。

ただ、相手のミスを誘発するには、守り固められた場合は相手DF陣のミスを誘発させるためにドンドンシュート性のボール打ち込んだ方がイイんですが、今の日本の五輪世代は、相手に守り固められてもこういう攻め、しないんですよね・・・(笑)。キレイに型作ってコンビでフワフワしたボールで崩そうとするだけ(笑)。

日本の五輪世代はまだまだ二皮以上剥けないとダメってこってすな(笑)。オシムにこういう日本の悪しきゴール前の攻めどころを変えて欲しいと切なる願いですよ(笑)。


とまあ、前置き長くなっちまいましたが、欧州CL見るために昨夜は午後9時に就寝(笑)。

いくら左近治が早起き得意とはいっても、この時間は普通眠気は起きません(笑)。寝るのに一苦労でしたよ。釣りに出かける時、午前1時頃でかけなくてはいけないような時は、2日前くらいから夜あまり寝ないで眠気をトコトン誘いながら寝付かないように我慢したりするモンですが(笑)。

CLに合わせた生活によって、着うた制作は頓挫しておりましたが(笑)、ふとYouTubeを見てクリムゾンの『Sleepless』探ってみたらやっぱりありました(笑)。

ニューロマンティックなかほりもするし、ブラッフォード先生はシモンズ(もちろん)、エイドリアン・ブリューもまだ髪が多い(笑)。

ニューロマンティックっぽいサウンドに誤魔化されないように色々耳を澄ますと、ハーモナイザーをふんだんに利かせたギターのカッティングリフと、ダッキングとディレイ業のトニー先生の「ギミック」というものが、実にテクニカルな「ギミック」というコトに気付きます。

この時代、やたらとギミックが増えてきた音楽シーン。演奏者の技巧が問われるのではなく、エフェクティヴなギミック面で音追究すりゃあ、それがカッコ良ければ売れてくれるような時代でもあったワケでして、技能面と共にひとクセもふたクセもあるギミックかましてくれたキング・クリムゾンのSleepless。これが当時の彼らの回答なんでしょうな。

実に痛快で、ニューロマンティック風な音やらせてもカッコイイ。音がソレ系だからといって食わず嫌いしているとですね、彼らの重要な部分を見過ごしてしまいかねないというワケですよ(笑)。

うわべだけの音掻い摘んで「こんなクリムゾンはクリムゾンじゃない!」と言うコトは簡単なんですけどね(笑)、彼らのギミックをどれだけ気付くことが出来る人が居るでしょうか、ってコトですよ(笑)。ステレオタイプになってしまわないように左近治も気をつけねば、と(笑)。


『Sleepless』 (PV版) / King Crimson


戸田誠司氏に敬意を表して [サウンド解析]

元SHI-SHONENやら、タレントとしてすっかり有名になったYOUが在籍していたバンド、フェアチャイルドにて活躍されていた方戸田氏。サンレコ最新号を読んでいて、最後のクダリに妙に頷いてしまった左近治。

SHI-SHONENが活躍されていた頃というと83、4年ごろでしょうかね。その頃の左近治はとってもkinkyでパンクスでありながらもどこか音楽的には理知的な部分を備えたいという、ジャズのアプローチはもちろん、容姿は異端でしたが音楽面においては純朴でしたよ(笑)。

で、その当時を思い起こすと、立花ハジメやらイコシン、近藤等則、梅津和時、渡辺香津美など奇異で特異で素晴らしい人たちを観たり聴いたりしていたモンですよ。YMOに少なからず影響されて、発売されたスネークマンショーのアルバム『ピテカントロプスの逆襲』のアナログB面の一番最後、レーベル面に針が行ってしまう部分でもですね、音がカッティングされているんですよ。それもプチプチとノイズが巧いコト消えるように、トラック部のSE音がループするんですね。

今やサンレコ誌上でもよく見かけるDUB MASTER-Xやら後の屋敷豪太という人達が絡んでいたそのスネークマンショーのアルバム、やはり一筋縄ではいきません。しかし、左近治が屋敷豪太を本当に認識するのは、それから数年してファミマのCMでMUTE BEATが使用された時で、あの当時はまだまだハイピッチ・スネアの音なんてぇのはポピュラーではなく、ProToolsもまだ導入されていないような時代で、多くの音楽ジャンルもアコースティックでありながらもグランジっぽいサウンドを一方では模索していたり、打ち込み系ではユーロビートがまだまだ席巻していたワケでして、その後にニュー・ジャック・スウィングが短命でしたがポピュラーになって、ローピッチ・スネアのサウンドは完全に駆逐された時代へと移行して、グラウンド・ビートが生まれた、と。そういう流れがありました。

で、左近治のベース弾き生活の当時とそれらの時代背景をリンクさせるとですね、当時左近治自身がジャズ・フュージョン界隈の世界へとかなりジャイロをシフトさせていたコトもあってですね、多くの他のベース弾きに出会うとマーカス・ミラーの音を追究している人達が実に多いコト(笑)。

かくいう左近治もですね、マーカス・ミラーのファンですらなかなか持っていないようなレコードを収集したりして研究したコトもあったんですが、私の好きなジャズ・ベースの音というのは、山下達郎のアルバム『RIDE ON TIME』収録の「Someday」。これがマスターピースなんですね。マーカス・ミラーの音とはかなり異質なワケですよ(笑)。

とゆーか、マーカス・ミラー好きな人が嫌いそうな音の帯域をふんだんに聴かせてくれるワケですよ(笑)。

その頃左近治が好きなベースはBCリッチのイーグル・ベースとプレシジョン・ベース(笑)。まあ、ウィル・リー大好き、渡辺直樹やエイブラム・ラボリエルに心酔していたワケですよ。

そうはいってもマーカス・ミラーの音の秘密はEQそのものよりもジャズベースのピックアップの搭載されている位置こそが重要なポイントだというコトを追究している人は意外にも少なく、マーカス・ミラー関連のアルバム集めても、どう聴いてもジャズ・ベースの音ではないのに、いわゆる中抜けの音と8分付点を活かしたフレージングによって許容しているだけのような方々の方が多くてですね、本当の意味で色んなベースを触って試した上でマーカス・ミラーの音を追究している(知っている)という人は少なかったですね。

とはいえ、どんなヘッポコラジカセだろうがステレオだろうが、車ン中だろうが、マーカス・ミラー自身が実際にジャズ・ベースではない他のベースを弾いてようが、確実にそれは「マーカス・ミラー」というコトは判るんですね(笑)。メゾフォルテ聴いても故青木智仁氏を聴いてもダマされないワケでして(笑)、マーカスのそれ、と確実に判る部分は確かにあるんですよ。

着メロ・着うた制作だと、携帯端末のスピーカーで鳴らすことを前提としているため、よくあるオーディオ的な視点で音をミキシングしていくと返って携帯では鳴ってくれないというか、引っ込んでしまうコトもあるんですが、ただ、どんなモニター環境であってもソコソコの音で鳴っているというレベルに最低限でもしないとですね、携帯端末搭載の個々の製品の違いで変容してしまう要素の方が高くなってしまって、結局思い通りの音にならない、或いは端末によっては不利益が生じるほどの再生音になりかねないワケなんですよ。

結局のところ、携帯端末用として音作りをシフトさせてもですね、あまりに大胆に、時には無頓着過ぎてしまうと携帯端末上ですらも鳴ってくれない音になっちゃうんです(笑)。どんな対象物でもミキシングはこだわれ、と。そうすることで次なるフェーズが見えてくるワケなんですよ。

当時の時代背景ですと、私の好きなレコーディング・エンジニアはダグ・エプスタイン。この方のミックスはとにかくシンバル類のゲートの使い方やら、空間演出が勉強になります。

レコーディングの現場で多用されるダッキング、すなわちサイド・チェインやらゲートやコンプ関連の巧みな使い方はダグ・エプスタインがお手本になったからこそ、と思えるほどなんですね、左近治にとっては。

例えばキング・クリムゾンの「Sleepless」。トニー・レヴィンがスティングレイでスラップ演ってるアレですが(笑)、低音弦には16分音符のシングルディレイかかってるのに、プルの高音弦にはディレイがかかっていないというワザありますよね。

ピックアップがポリ出力だからではありません(笑)。あれこそがフィルターとサイド・チェインとゲートとディレイを巧みにルーティングさせたダッキングの手法で構築した音なワケですよ。賢明な方でしたら、ゲートのセッティングやらどういうルーティングをすればいいか、このヒントだけでお判りになってくれるコトでありましょう(笑)。

ただ、これらのヒントを得たとしてもあらゆる再生装置でそれなりに「鳴って」くれる音を構築するのはホントに難しいモンですよ、ハイ。

拍子を再考する [サウンド解析]

楽曲の拍子。楽譜が読めない人でも普通は認識しています。手拍子なんてェのは最たるモノでありましてですね、その手拍子打つ曲の拍子が何拍子だろうが、とりあえず打ちやすい所を認識しているワケでありますよ。

通常、多くの人が耳にしている楽曲の拍子は4拍子が普通でして、その次に3拍子とかがポピュラーでしょうかね。もちろん、他にも5拍子やら7拍子やら色んな拍子があります。

ですけどね、それらの4拍子以上の拍子っていうのは大概は2(4を含)と3の組み合わせになるんですよ。メロディの音価が実に自然で、他のハーモニーを形成するリズムも2か3の組み合わせでなく大局的に「ノッて」いる曲というのは実に少ないんですね。

ジャズの「テイク・ファイヴ」ってェのも、メロディや和声部は実に流暢な5拍子ですが、ドラムはどことなく「4+1」刻んでますよね。

で、3拍子。ポピュラー音楽において(特にチャート物)どれだけ3拍子の曲があるでしょうか(笑)。

「4じゃなきゃcoolじゃねェぜ!」

韓流ドラマに心酔するオバさん達もおそらく同じコト言うでしょう。

3拍子をそんなに疎外するなよ、と左近治は言いたいんですけどね、ロックのみならずポピュラー音楽全般を見渡してもですね、3拍子のドラムのリフを最もカッコ良く聴かせるドラマーってェのは、私はGentle Giantのジョン・ウェザース(John Weathers)を挙げます。つーか、この人しか居ないでしょ、ってな位3拍子のリフがカッコ良いんですね。

ジョン・ウェザースの場合、「6」でノるんですよ。6で。つまり3拍子の2小節でグルーヴするワケですよ。

例えば「1・2・3・4・5・6」、と便宜上6拍子で例えてみまひょか。

ジョン・ウェザースのリフはですね、「3と5」にスネアを置くワケですよ。

たまーに「2と6」っていうのもやりますけどね。

Gentle Ginatのそれらの代表的な曲はですね、

『Just the Same』
『Interview』
『Runaway』
『Cogs in Cogs』(※最初の3拍子×5小節が1組=4分の15拍子の部分とか)

3拍子の妙味というのはこーゆーコトだけではなくて、とりあえずリズムにおいても音楽理論というのは構築されているワケですけどね、人間が「拍」として感じるコトを分析するとですね、強拍・弱拍の認識、それに追随するテンポによって影響されるワケであります。

楽典の書籍においても第一に語られているコトでありますが(笑)、3拍子というのはですね、テンポを速くすると人間は2拍子に聴こえる性質があってですね、テンポによっては3拍子ではなく2拍子系(4拍子含)の3連符として解釈したりする必要があるんですよ。

2拍子系に聴こえるんだけど音価がウォーキング・ベースのようになんとなく三拍子に聴こえるような曲って結構あるものです。ジャズでも多いですけどね。

『侍ジャイアンツ』のメインテーマも、3拍子系でありながら実は2拍子のノリを持っているという曲ですね。これはハーモニーの音価やメロディの音価やらテンポによってそういう風に聴こえるワケです。侍ジャイアンツは3拍子でありながら、大きく2小節で2拍子でグルーヴする、と(笑)。

ただ漠然に3拍子だけの拍子記号を与えて記譜してしまうと、その大きなノリが譜面から伝わりにくい場面も想定できましてですね、連符を交えて2拍子系にした方が全てのノリを包括しているので、こういう風に記譜したりする場面もあるのですね。ま、なにはともあれ、曲のメロディやハーモニー部の音価やテンポによって、どちらにも合致してしまいそうな微妙な曲という性格が決定されるワケですけれど。

初見に慣れて曲の大局的な構造をつかむには、譜面では倍テンポによって書かれている方が結構功を奏したりするコトも少なくありません。おおむね110前後の多くの楽曲とかでも、220で書かれているというコトですね。つまりbpm110の8分音符が4分音符表記になっている、と。大体90~110位の曲でコードチェンジが頻発するような曲だったりすると、こういう表記の方が有難かったりするモノです(笑)。

ま、そんなこんなで、侍ジャイアンツでもリリースしましょうかね、と(笑)。ちなみにオープニングだけでなく、サムライ番場蛮の方も手がけておりますよ、と(笑)。

侍ジャイアンツに関しては近々詳細を語る予定です(笑)。

可聴周波数帯域のおさらい [サウンド解析]

さてさて、ヘッポコ耳は回避できたでしょうか?その前に毛細胞の能力や可聴周波数帯域外の音も実際は毛細胞が捕らえているなんていう事実に懐疑的な方がいらっしゃるのではないかと(笑)。

ではここで左近治がウェーゲルとレインに敬意を表して、似たような実験をして懐疑的な方にも試してもらいましょう!

とりあえず正弦波のPCMファイルを生成しましょうか。17kHzから1000Hz単位で21kHzまで5種類のモノPCMファイルを作りましょうか。ちなみにレベルは-10dB、長さは2秒くらいで十分です。

このテストは調べる方の環境によっては実際に再生すらされないケースも十分考えられるため、少なくともCDフォーマットを超える能力のオーディオインターフェースを持っている方と、再生装置(スピーカー)も、一般的に知られている「可聴周波数帯域」外の再生もクリアしている環境でないと意味はありませんのでご容赦を(笑)。無音だと思ってドデカイ音量で鳴らしてしまってツイーターや耳を壊しても左近治は一切責任は負いません(笑)。ま、普通にやってりゃ致命的なことには遭遇しないでしょう。

じゃあ、Audio Testというフリーウェアで前述のファイルを生成してもらいまひょか。ビットデプスは16だろうが24だろうがお好みで。

ちなみに左近治は24ビット&サンプルレート96kHzにて前述の正弦波のファイルを生成しました。

まあ、これらのファイルは一般的に知られているところの「可聴周波数帯域」を含んではおりますが、16kHzより上の純音は既に聞き取れない方も結構多いと思うので、ファイルを生成してもそれが鳴っているかどうかは分からない人が多いと思うんですね。どうやって確認するの?

じゃあ、とりあえずテストする際は5つのファイルの内から2つ選んで、それぞれの周波数の間隔は必ず1000Hzセパレートしているというルールで選んでみましょうか。

例として、18kHzのファイルを選んだら、17kHzか19kHzを選んでくらはい、という意味です。

DAWソフト上で2つのファイルを別々のトラックで同一時間軸上にペースト。では最初はひとつのファイルだけを再生させて確認してみましょうか。トラックをソロモードにするなり、ミュートするなり、とにかくひとつずつ再生してみてください。たぶん、何も聞こえない人がほとんどだと思います。

じゃあ、次は2つのトラックを鳴らしてみまひょか。もちろんスタートポイントも同一なのは再度確認してみてくださいねー。

さて、以下に挙げるいずれかの結果になりましたか?

1) 思いがけない中音域の正弦波が2秒間聞こえた
2) 一瞬「プチッ」というノイズが聞こえた

いずれも有り得るケースですが、たぶんほとんどの人は2番ではないかと。1番の場合だったら純音を捕らえる極限域がまだまだ高い人でしょう(ほとんどいないと思いますが)。


これは一体何のテストなのか?

これはですね、聞こえないはずの音に毛細胞反応しているという証明なんですね。さらに、結合差音という異なる周波数の振動数の引き算によって確認したテストなんです。

結合差音なら2秒間の引き算によって耳の中で生まれた1000Hzの音が聞こえないといけないのではないか?と、事情を少しご存知の方なら疑問に思うでしょうけど、2秒間鳴り続けていないのがポイントですね。一瞬知覚しても、ソースが純音なんですぐに聞こえなく間引きしているんでしょうな。この間引きにおいては左近治の推測です。ただ、知覚できたということは、確実に極限外の音だと思っていた音に対しても毛細胞が反応しているということが分かれば十分なんです。

結合差音というのがなんで耳の中で生まれるのか?

テレビなどで動いた車の車輪がテレビのフレーム数と微妙に合わない時に逆回転しているように見えたりする経験は誰でもあるでしょう。

それと同じように、振動数の早い方の周波数は遅い方より1000ヘルツ分ずつ周期的に追い越しているワケです。その追い越しの周期が等間隔なのでそのタイミングが別の正弦波のカーブになります。それを音と認識するからでありますな。つまり音の錯覚なんですが、耳が機能しているからこそ生まれる錯覚現象というのが皮肉なものですな(笑)。

まあ、目の錯覚も目が見えてなけりゃ確認しようがない、と。それと同じことで、正常に耳が機能していて、且つ、極限外の音にも毛細胞は反応しているという証明なのです、ハイ。

プチッという、非常に短い時間の音の重要性。これを認識できる喜びと、聞こえているはずの音を聞き逃してしまう一部の人など、色々なケースがあるもんですが、こういうことで初めて気が付いてしまう方は、残念ながら負け組に追い討ちをかけているかもしれません。音楽をもっと深く聞いてもらいたいですなあ。

着うたにおける「油」の発想 [サウンド解析]

左近治の扱うショップでの着うた品目が増えてきたのもあるとは思いますが、この夏くらいから俄かに着うたの需要は結構な成長曲線を描いているであります。おそらくは利用者がパケット通信費に二の足を踏んでしまうというような従来抱えていた懸案が、利用者の間での心理は緩和され、対応端末が普及しているものだと思われます。

ダウンロード数推移はもとより、利用携帯端末も把握できるのでこのような現象は番号ポータビリティサービス開始後さらに拡大するのではないかとにらんでおります。

まあ、左近治が感じているということはどこのどなたも制作サイドは同じことを考えていると思うので、着うたでのクオリティやアイデアも従来にも増して訴求力のあるモノにしていかないと淘汰されてしまいかねないので(笑)、留意しなくてはなりませんな。とはいえ今までのマイペースぶりで充分だろーと楽観的な左近治であります。

着うたにシフトしようとも、再生可能な端末では実際には低ビットレート品質でしか再生できない端末も多く、この辺りの底上げと端末買い替えがキモとなると思われます。

低ビットレートの場合、特に制作側で問題になるのがプリエコー対策。プリエコーとは何ぞや?と思う人がいると思いますが、簡単に説明を。

原音よりも音の品質をどうにかこうにか人間の耳を騙しながら品質を落とさないとデータ容量を下げることができません。で、まあそういう品質を落とさざるを得ないのは避けられないんですが、あまりに低いビットレートだと音質よりも容量低下ありきの設計がほどこしてあるんで、立ち上がりの早い音の品質は特に影響を受けやすいのであります。

立ち上がりの早い音が、ある大きな音に埋もれていたとします。で、耳に付く時はそれなりの音量や周波数分布になっているため、この音をアピールする時というのは、水中に潜っていた音を突然水の中から現れてくるようなモノだと考えてみてください。そうすると立ち上がりが早いことが先決なんで、水しぶきが出来てしまいますね。この水しぶきも当然のように音となって(非常に短い時間の雑音のようなもの)聴こえてしまうようになるわけです。これがプリエコーだと思ってもらえばよいかと。

非常に厳密なレベルで言えば、高ビットレートであっても音楽ソースによっては左右に音のイメージが飛び交ったりするような時だと再現性が実は違っていたりすることもあります。ほとんどは気が付かないと思うんですけどね。

オフセット印刷の基本。これは4色のインクしか使っていません。それぞれのインクは点の集まりですが、この集まり具合を制御しているのはもちろん機械ではあるんですが、実態は「油」を制御しているんですね。

油が水をはじくのと同じように、油をコントロールしているのがオフセット印刷(最もポピュラー)の原理なワケです。

音楽も左右が別々のインクのようなモノでして、これを制御する油の役割のようなものがあるんです。これが「位相」です。

で、位相の差を制御していたりする顕著な例がFM放送。一旦左右のインクを混ぜてしまっても、位相という魔法の油を使って分離させたりするんですな。MP3やAACなどに代表される着うたに用いられている音楽は、この「油」を利用しているんです。

油の構造は実は各社色々違っていて、この分離具合が音楽ソースによっては分離具合が強くなく、混ざってしまったままになってしまうケースがたまにあるわけです。

着うたを制作する場合、どうしても油の構造でそれを回避できないこともありますが、私の場合はそこに元のソースの位相をあらかじめ弄ってしまうのです。こうして出来るだけおかしくならないように編集しています。

これがCDやレコード音源となるとマスター(原盤)を弄ってしまうことになるので、それらを取り扱っていない着うただからこそ元の方に手軽に手を加えてリリースできるのであります。

油の使い方がキモなのが着うたなワケですよ、ハイ。

真のステレオ感を演出するには!? [サウンド解析]

DSP技術が向上するにしたがって、音世界の劇的な変貌が如実に現れたエフェクトは、おそらくEQ(フィルター含)、リバーブが代表的な例として挙げられると思います。

PCMシンセが主流の頃というのは、エフェクト部が可聴範囲の帯域をまんべんなく処理して出力できるというのは少なく、マルチエフェクターのさきがけとなったYAMAHA SPX90でもエフェクト部は12kHz程度。エイリアスノイズ回避のLPF処理などを考慮すれば実際にはもっと低い帯域から減衰していたことでしょう。

このようなデジタル・エフェクトが高音質になるにしたがって、シンセにもようやくその当時のデジタル・シンセに「レゾナンス」が付いたりして、ブースト方向による処理も可能になり始め、フィルターによる音色変化があらためてクローズアップされることとなり、Lo-Fiブームやフィルターの動的な変化による音世界の構築、さらにはシンセのアナログ・サウンド回帰という変遷があって、DSP処理能力がさらに向上して、コンボリューション(インパルス・レスポンス)技術によるEQやリバーブという流れになっております。

ハードウェア・シンセであろうともCPUは用いていたもので、KORGの01Wは私の記憶が正しければ「V50」(YAMAHAのシンセじゃありませんよ)というチップ、SY77/99はモトローラ社製のCPUを使っていたと記憶しております。

発音原理はもとより、オーディオ信号特性までプログラムして、その高度な処理をストレスなく発音させる信頼度が増せば、なにもハードウェアではなくてもよくなり、現在ではパソコンベースによるソフトウェア・シンセサイザーがハードウェア・シンセを凌駕しております。Native Instruments社のReaktorなどはまさに典型的なソフトで、発音原理はもちろん、オーディオ特性までプログラミングや自由なパッチが可能となれば、もはや電気回路に詳しければ、それ相応のシンセの音を再現できるに相応しい時代になっています。

左近治が思うところのハード・シンセの売りは、鍵盤のタッチとその他のパラメータの操作性。ここを重視してくれなければハードとしての魅力は希薄になってしまうと思っているのです。

ただ、こうしたDSPやCPUの爆発的な処理能力向上によってもたらされるメリットとは裏腹に、エフェクトのキャラクターに頼った音の志向性になってしまいがちで、使用者はそれを安易に使ってしまうような流れになってしまったのも確かで、ステレオ感を演出されたエフェクトが一緒に鳴っている音だから、その音のエフェクトをカットできない勇気が試されたりと、または、安易なエフェクト選びを誘発してしまった感も否めません。

バイノーラル録音は立体音響を左右の信号だけで実現させようとする録音技術で、アーヘナーコプフに代表されるようなダミーヘッドのマイクを用いて録音するわけですが、マネキンの首をそのまま使ったようなフォルムには人間の肉感や鼻腔、咽頭、耳腔など物理的な構造まで似せているわけですが、とりあえず重要なのは両耳に埋め込まれたマイクの距離。

人間の内耳は大体15~20センチ以内の距離の隔たりがあるわけですが、たかがこの程度の距離でも左右の違いを判別しているのは、同じ音を両耳で聴いた時の僅かな遅延や、音量の大きさの違い(位相が違う)などを瞬時に判断しているというわけです。

ミキサーにある信号を入力して、左右どちらかにパンを振ると振り加減によって左右の音量差が変わるため方向感がより顕著になるわけですが、物理的に音を発する音源を左右いずれかの方向に僅かに移動させたものとは似て非なるものなのです。ミキサー上でパンを振っただけでは実際の物理的な移動とは左右の各耳が捕らえている音の僅かな違いまで自動的にパンニング処理をしてくれているわけではないからです。

じゃあ、内耳の距離を見当付けて、その距離分のディレイを与えて物理的な遅延やまたは位相をずらしただけでも実際の物理的なものとは違います。

距離が長い方は、よほどの気圧差や特殊な空間でない限り、その距離の分だけ空気の分子を多く通過してきているためロスした周波数(だいたい高周波帯)が減衰したりします。地平線近くの太陽が赤っぽく見えるのは、青の方の高い周波数がロスしてしまったための効果と同じです。

さらに、音は温度によって速さが変わりますが、空調の微妙な風やその周囲の温度分布によっても微妙に音の伝播は変化していて、温度が低い時に伝播する音の方が耳に付きやすい(人間の耳の周波数特性も加わる)、温度が高いと音が薄っぺらくなりがちです。

音は温度が低い方が耳に付きやすいため、寒い夜などは格好のリスニング・タイムになるわけです(笑)。まあ、空調や部屋やその状況の温度層(分布)でも音の伝播具合が変わるので、耳はもとよりマイクの収音も如実にそのような空気感をとらえているのです。

ミキサー上でパンを振っただけでは音量差を作っているだけなので、物理的な距離感は演出されません。もちろんやみくもに遅延を与えてしまっては位相が合わず相殺してしまう周波数も出てきます。ただ、実際の物理的な音像の配置は、片側のチャンネルの音量が少なくとも、そちら側に反射音が多くなる場所などのケースも考えられ、残響成分が耳に残ると以外と耳につきやすく、且つ原音を増強したり相殺したりして、もう一方のパンをシフトさせた側と明らかに音が変わるケースは実際にありふれたシーンなのです。

それらの細かい様々な事象を大きくとらえて、通常それは「雰囲気」としてマイク位置のセッティングを試行錯誤してミックスしているわけです。

エレクトリック楽器が多い昨今、マイクを通さずにそのまま入力されるソースが多い中で、ミックスに気を付けないと楽器の配置感はイメージできても、距離感を演出できずに音像の距離感がほとんど同じようになってしまったり(団子状)、上下感(立体感)を作ることが重要と思われます。特に、DAWが浸透してきた現在では簡単にミックス作業に入れるために、こういうことに直面してしまうケースは多いと思います。

マイクで収音するタイプの音源や楽器というのは、その収音(マイク)によって雰囲気が演出されているために、それらが与えるエッセンスが重要だと思われ、すなわち、マイクの重要性があらためて実感できるのです。

ただ、サンプリング素材のマイク収音によるソースも、バイオリンだからと言ってどのメーカーやどのサンプルライブラリでも収音時のマイクの距離が同じというわけではありません。マイクの持つ周波数特性もありますし。

私が以前、Quincy Jonesの「Little Karen」という曲がミキシングの手本という風に語ったのは、アンサンブルの配置はもちろん楽器の奥行きなどが絶妙に計算されたミキシングになっているので、私にとっては本当にいいお手本なのであります。

着うたをやっていると殆どが打ち込みのため、あらためてミキシングの重要性を認識してしまうのでありますな。

AACファイルの再圧縮 ~アトモスフィア系のようなサウンドの裏側~ [サウンド解析]

 iTMSやiPodではもうお馴染みのAACファイルについて。私は3世代目のiPodとiPod nanoを現在所有していて、nanoの方はロスレス専用にしています。3世代目のiPodは15Gなので、あと100曲くらい入れたらもう満杯です(泣)。これでもアルバムから厳選しつつチマチマと溜めてきたのに・・・。新しいのも出そうなのに60GBのを手に入れようと思案中。

 さてさて、AACファイルを一度CD-Rに焼くと、AACコーデックの再生状態でAIFFもしくはWAVのPCMオーディオファイル(実際にはcdaファイルですが)としてバックアップ可能です。これを再度AACに変換するとどうなるか!?というと、もちろん多少劣化します。

 劣化というと語弊があるか・・・。それほど顕著な変化はないので変質と言った方がいいかもしれません。

 じゃあ、再変換前のAACをPCMオーディオファイルにしたものと、再変換後のAACをPCMオーディオファイルにしたものとどれくらい変質の差があるのか調べてみることに。ただし、音楽ソースによってこの結果はかなり違うものになるので、あくまでもご参考程度に。

 曲ソースはbpm104のボーカル物。再変換前のものを位相を逆相にして再変換後のものを同時に再生してみることに。

 全く同一の音なら無音になるのですが、やはり多少変質するので音は聴こえます。

 音の特徴はというと、あくまでも漠然とした感じで実際に計測していませんが、2kHzを中心とした-6dB/octくらいのスロープのHPFを通して、さらに細かいバンド幅のフィルターバンクを動的にスウィープさせたような音がキラキラと、特に5kHzから上は顕著にキラキラ聞こえます。中低域はほとんど耳に感じることがありません。

 マーカス・ミラーの音についてもフィルターバンクについて語りましたが、あれはあくまでも静的に通すだけで周波数を可変的にスウィープさせたりしないEQ的な意味ですが、今回のフィルターバンクの動的という意味は、細かい帯域で分割された各周波数バンドをLFOによって可変的に周波数を動かしたような音、という意味でのフィルターバンクという意味です。

 で、さらにこのキラキラ感のある音は歌が聴こえている時は、ほぼ完全にボーカル部分はキャンセルされたように音が出てくるため、耳に付く部分は元のソースの忠実性を保とうとしているのが分かります。

 驚いたのは、ボーカルが無い部分だと、他に耳に付く音が今度はキャンセリングされたように、とにかく忙しく音が変わるわけです。

 ここで周波数分布がコロコロ変わっているということは、あくまでもこの実験で耳に聴こえてくる帯域が変質しているという意味なのでお間違いのないように。

 細かいフィルターを通過させて、半ばグラニュラータイプのシンセサイザーの音のようにキラキラしたサウンドはまさにアトモスフィア系(笑)。正直、良いサンプル素材にもなります(笑)。

 ただ、高音域がこれだけ聴こえているとなると、実際には変質しているであろう再変換AACが、なぜ実際にはそれほど大きな違いを感じないのかが不思議です。グラニュラー系のサウンドを連想させるということは、周波数を抽出するバンド幅がそれぞれ非常に細かく、なおかつ抽出時間が非常に短い時間で可変しながら人間の耳をごまかしながら聴かせているのだなぁとあらためて感心してしまったわけです。興味のある方は一度サンプラーに取り込んでみてください。結構良い音です(笑)。

 位相差を利用して差分を抽出した音(キラキラサウンド)は、原音と比較すると全体的にかなり音量は小さく、低域部はほとんど聴こえてきません(ソースにもよりますが)。このような位相差を利用した抽出が本来はキモなのかもしれません。人間は高域の位相差には確かに曖昧ですから。結構騙されてしまっているのだなあと実感です。

ピッチ補正あれこれ [サウンド解析]

 エマニエル坊やのシティ・コネクションや昔のテープ音源などのピッチ補正について語りましたが、デジタル・ソースにおいても時たまピッチ補正が必要になるシーンがあるのでそれについて。

 私の大好きなSteely Dan。バンド結成前のベッカー&フェイゲンは出版社とのいざこざもあったためか、pre-Steely Danとしての音源が乱売されています。「アンドロイド・ウェアハウス」というのはその後の「アルタミラの洞窟」に繋がっていくものなのだなあと分かったり、その後の名曲達はこのような初期音源のスケッチのようなものから生まれたものなのだと痛感させられるわけですが、それらの曲の中にはどう聴いてもピッチが低すぎるものもあって、非常に聴くに堪えないような物もあるのが残念です。

 私が好きなベッカー&フェイゲン時代の曲は「Brain Tap Shuffle」「Don’t Let Me In」が代表的なのですが、「Brain Tap Shuffle」の方は現在iTMS-Jでも購入できるモノです。

 ところが、この曲はおそらくGマイナーのキーなんでしょうが、演奏時のコンサート・ピッチを440Hzと仮定した場合、27.24セントほど高いのです。これなどはまだいい方で、例えばCDとなるともっと凄いものがあります。

 ベッカー&フェイゲンの音源は至る所でリリースされてしまっているためか、一概に言えないこともあるのですが、例えば、以前ポニー・キャニオンからリリースされた「STEELY DAN featuring Walter Becker & Donald Fagen」(D20Y0250)に収録されている「Don’t Let Me In」を例に挙げるとしましょう。

 一聴して、明らかにテープスピードが遅すぎる。う~ん、こりゃヒドイ(笑)。フェイゲンの声質を思い出しながらとりあえず半音単位で探ってみると、おそらくこの曲もまたGマイナー・キーなのではないかということが分かるわけですが、それでもまだコンサート・ピッチを440Hzと仮定するとピッチが合っていないわけです。

 で、最終的に224.69セントほど上げると、ようやく曲の本質が見えてくるようになります。当時のスティーリー・ダンがコンサート・ピッチは常に440Hzだったのかということはさておいても、これだけ違和感のある音楽を生き返らせることが出来るという意味では大きく、やはりピッチ補正というのはこういうシーンにおいて非常に役立つというわけです。

 エマニエル坊やのシティ・コネクションの記事には、文章の誤りがあったので修正しておきましたが、こういうのとはまた違った楽しみがあって、音楽の編集の奥深さと手軽さにあらためて感動してしまうのでした。

FMエアチェック三昧~80年代前半まで [サウンド解析]

 当時のFM放送は本当にいい番組がありました。NHK-FMのクロスオーバー・イレブンを筆頭に。この番組の存在こそが日本における特異なモンドな音楽嗜好スタイルが生まれたと言っても過言ではないでしょう。渋谷系とか。

 いわゆるDJ達がプロデュースするということにおいて音楽は紹介されているものですが、クロスオーバー・イレブンというのは別に津嘉山正種が曲を紹介しているのではなく、その辺りが実にさりげなく、押し付けがましくもなくスンナリ受け止められる良さがあったというのが特徴ですか。

 当時の私は、エアチェックを極めるために素子数の多いFMアンテナと7C-2Vの同軸ケーブルにFMチューナーには必ずキャリプレーションのトーンを搭載しているチューナーとそれとアナログ・オープンリール・デッキでエアチェックをしていたというわけです。

 キャリブレーションのテスト・トーンをあらかじめ録音することで、テープ速度のわずかなピッチの違いを合わせることもできるのでこれは必需品だったというわけです。機械的にピッチを合わせるのではなく、最終的には私の音感に頼るものなんですが(笑)。

 ただ、学生の私にとってオープン・リールのテープをカセット・テープを買うような感覚で入手するのは経済的にも無理だったので(笑)、そこで信頼性の高いカセット・デッキにTDKのMA-Rにコピー・マスターを作るというのが当時の一般的な作業の流れだったわけです。オープンリール・デッキの精度は高いものの、カセットにした時、どうしてもテープスピードの個体差が出てしまう。

 そこで、キャリブレーションのテスト・トーンも一緒に録音されたカセットのマスターを、現在ではそれをA/D変換してMacに取り込んで編集するというワケですね。

 こうしてデジタルオーディオファイルを作るのに、どうしてもピッチを補正するシーンがあるわけで、1セント単位程度じゃピッチ精度が粗すぎるので、それ以上に細かくピッチを編集できるソフトが必要で、色んなサンプラーソフトや波形編集ソフトがありますが、OS X以前のMacromediaのSound Edit16というソフトほど細かいピッチを編集できるソフトは未だにお目にかかれません。このソフトを使いたいがためにOS9を今もたまーに起動させたりするものです。

 役立つシーンとしては他にブートレグ音源のピッチ補正ですか。あくまでもユーザーレベルのブートレグ編集なので(笑)。

 まあ、きちんと権利関係に則って着メロや着うたをリリースしている以上、あんまり大きな声では言えないかもしれませんが(笑)。さすがにそれらを流通させたりすることはないのでご心配なく。

 権利関係をクリアしている立場として違法な行為を幇助するつもりは毛頭ないのですが、とはいえYouTubeという新たなネットのコンテンツは無視することはできません。

 権利関係は特に怪しいものも多いYouTubeですが(笑)、ビデオも普及していなかった時代の映像を手軽に見ることが出来るという点では、権利関係はさておいて魅力的ではあります。テレビを見るよりもよっぽど魅力があります。

 しかし、放送されたばかりのコンテンツがYouTubeに放たれるとなると流石にこれは無視できないことかもしれません。特にDVD発売前のドラマなど。

 そういう対策も兼ねてでしょうが、昔と比べてテレビやFM放送の可聴周波数帯域はかなり高域を落として放送するようになってしまったのも事実です。放送規格そのものは変化がありませんが、実際にはFM放送としての可聴帯域より上の帯域を使って文字放送など、マイナーチェンジを施して今の放送があるのですが、それに加えて、FM(テレビも一応FM方式です)としての音声の帯域を絞って放送されているのが、昔のエアチェックマニアからすると物足りない現実ですね。

 で、肝心の着うたの周波数レンジはどうなっているかというと、これは携帯端末の仕様や事業者の仕様にもよるので一概には言えませんが、FM放送以下のクオリティもあればFM放送と同等。一番良くてほぼiTMSと同等というのが実情です。

 まあ、iTMSほどのクオリティなら問題ないとは思いますし、iTMSでも満足できない人はCDを買うでしょう(笑)。携帯電話でCDと同じPCMファイルを扱ったとしても、技術的には今でも可能でしょうが、情報量としても多いピュアなオーディオファイルの帯域をたかだかダウンロードするのに本来の携帯電話の通話部分で重要な帯域を圧迫するようでは持たないでしょう。
 巨大な高層ビルの数フロアがサーバというのが携帯電話の裏舞台。電気代だけでも一月に億は行くでしょう。もともと通話品質も圧縮していますしね。音楽ダウンロードにそれだけ帯域使えないでしょう。ただでさえ、ネットの帯域すらチビチビ使おうとしているのがプロバイダの現実ですからね。

 とまあ、そんな制限下である程度のクオリティを保たなければ満足されなくなってしまうので、制作側としても努力をしなければならないことは一杯あるんですねー。

 iPodでサウンドチェックをONにしていると、各曲の音量バランスを平均化させる機能がありますが、この機能をONにしていても他の曲と比較して音量が小さくならないようにする設定など、ただ単に音圧を稼ぐだけでは失敗してしまうミックスもあるので、圧縮された音楽配信の裏舞台の作業は違った面白さがあるというものです。

 一応、制作側も頭使ってリリースしているつもりなので(笑)、今後ともクビを長くしてお待ちいただけると助かります(笑)。
- | 次の30件 サウンド解析 ブログトップ