SSブログ

CDもEBU R128準拠明記して! [プログレ]

GG_ILMH_Chrysalis.jpg
 先日発売されたジェントル・ジャイアント(=以下GG)の4枚組CD「I Lost My Head The Chrysalis Years」、GGファンの方なら既にお買い求めになられているコトでありましょう。


 このCDの最大の特徴は、GGのアルバム「Free Hand」以降の6タイトルが4枚のCDに集約されているというモノ。BGOとかに倣った様な形式ではありますが、本アルバムにはなかったテイクやらが収録されていて、価格の安さもさること乍らそうした方面についつい注目せざるを得ない状況に(笑)。

 私が最も注目した音源は「1976 Intro Tape」です。コチラは、オフィシャル・ライヴ盤で有名な「Playing The Fool」をお持ちの方ならお判りかと思うのですが、アルバム1曲目の「Just The Same」が始まる前のインタールードで使われていた小曲でありまして、それが収録されているという所が実に心憎いのであります。


 嘗て、GGの公認ファンクラブ団体であるGoRGGの会員の方々にお訊きしたコトがあり、当時のGGのライヴではケリー・ミネアーがライヴ用の小曲を作ったりしていて結構レパートリーに富んでいたようでもありまして、こうした所にもファンの注目を惹きつける要素があった様です。それらを体験している方々は勿論還暦前後のおじさま連中であります(私もオジサンですが)。

 他にも注目すべき点は、「I Lost My Head」の後半部のGGらしいロックな方の部分(前半のフォークロア系ではなく)のEP盤カット。アルバムカットでは、前半と後半の継ぎ目、つまり後半ド頭に銅鑼の音が入るのですが、このテイクでは銅鑼の音が入らずに後半部が始まるので、そういう面でもスッキリ&スンナリと入ってくるのが流石にEPを意識したテイクだということが判ります。

 少々残念な点は、ライナーノーツには色んな寄せ書きはあるものの、歌詞は入っていない所です。まあGGのオフィシャル・サイトでは歌詞は網羅されており無料で閲覧できるワケですから、価格の安さも含めれば大目に見ても宜しいのではありますが、GGの認知度がなかなか上がらない理由のひとつは、歌詞がポピュラーではないからなんですな。

 勿論、嘗てのGGの2大タイトル「アクワイアリング・ザ・テイスト」や「オクトパス」では歌詞は明記されていたりしますが、その他のタイトルの歌詞が割愛されていたりすることでGGというのはあまり親しまれない要因のひとつだったりもしていたワケですが、一昔ほど前に「ガラスの家」が再発されるコトでこの辺りは改善されるようになってきたワケなので今回のこうした選択は少々残念だと思いました。勿論私は長年GGを愛し続けている為、歌詞の内容を今更知らなくてもどうでも良いのですが、新たなファン層の為に嘆いているというのが私のこうした着眼点であるということをご理解いただけると助かります。

 亦、GGのクリサリス期のアルバムはリマスターが遅れていたコトもあって、CDの音圧上げのノウハウが体系化される前の前時代ミックスのモノが出回っていたため、かなりレベルは小さく録音されていたモノでしたが、今回のミックスはその後のリマスター盤にも加えて、ラウドネス・メーターを視野に入れた様な(=EBU R128規格)音に仕上げられているので、各アルバムもレベルは揃っていて、音圧もある程度稼がれているので、旧盤と比較すると雲泥の差とも言える内容ですので、価格から言えば文句無しのレベルです。

 GG最後のスタジオ・ライヴ・アルバムとなる「シヴィリアン」の1曲目の「Convinience」の音は本当に新たなマスタリングの恩恵を受けていて、旧盤にあったベースとギターの狭小な飽和感が改善されていてとても聴きやすくなっております。レイ・シャルマンお得意のサチュレーションが存分に掛かり乍らも細くならずにコシのあるベースの音が更に際立っております。

 因みにEBU R128というのは、先頃日本国内でも放送局の番組本編やCMとのレベル差を改善した規格に2012年10月から適用というアナウンスがありましたが、こうしたレベル合わせというのは海外でも同様に動きがありまして、その規格の名称であり、嘗てはVUメータ、ピーキング・メータ、RMSメータと言ったメータでも揃えていたワケですが、ここ1年ほど前からラウドネス・メータというのが主流(音圧を稼ぎつつも過剰な音圧にはならない所と、従来のRMSよりもある程度ゲインは稼げるというイイ所取りみたいなもの)になっていて、こうした動きがCDの音量にも反映されてきている様を体現できる様になりました。

 欲を言えば、EBU R128準拠というフレコミをCDは明記すべきだと思うんですけどね(笑)。