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トライトーン(=三全音)の転回 [ネタバレ]

今回のブログタイトルは本当なら「増四度と減五度の違い」という風にしてみたかったワケなんですが、こっちの方が簡潔だろ、と思ってこうしちゃいました(笑)。


楽理的側面を語る上でコイツを結構無視して「音楽理論」を語っている理論書(特にバークリー・メソッド含むポピュラー界隈)が多いのが実情で、ジャズを筆頭にしたポピュラー音楽界隈ではですね、「大事なコイツの原則」をかなぐり捨てて身に付けてしまうモンですから理解が中途半端になってしまっている輩をこれまでかなりの数に遭遇して来たモンです。


過去の私のブログ記事において、私が手書き浄書の楽譜もいまだに残してくれている後輩の存在(確か麻雀やってる時のハナシでしたっけ)を取り上げたコトがあったんですが、今では腕利きのその後輩も嘗ては楽理的な部分でカベにブチ当たって幾度となく私の下を訪れて質問攻めに遭ったことがありました(笑)。で、その当時の私と彼とのやり取りを交えながら今回は語って行こうと思うワケですが、重要なコトはですね、これまでドミナント7thコードの飛躍的な見立てやら短三度を四度応答にして呼び込む方法とか語って来たワケですね。そうして今度は多旋法な方角に目を向けると、それらを垂直レベルで見ればコードの機能を跳躍した音が出てくる。それを好意的に欲張ると半音が連続する音列に遭遇する、とまぁ要約するとこれまでの左近治のブログの流れはこんな所なんですな。


で、その流れにおいて重要なのが「トライトーンの転回」であり、言いたいコトは「増四度と減五度」の違いなワケであります。


嘗て私の後輩が質問してきたコトは、私が当時薦めた理論書である「バルトークの作曲技法」の中に語られる一部分なワケですが、それをブログで掲載するワケにはいかないのは当然のコトなのでそちらの著書の文章を載せるワケにはいきませんが、彼が私に質問してきたコトは、「中心軸システムとは何ぞや!?」という個人的興味から生じたモノなんですね。

私がこの本を紹介する際に、手取り足取りそれこそ教鞭を執るかのようにマンツーマンでは当初から教えません(笑)。基本的な理論は彼にも教えて来ているワケなので、私は彼に


「判らないコトがあればいつでも相談に乗るから、先ずは自分なりにこれを学んで疑問や不明な点はその都度連絡しろ」


という風に言っていたんですね(笑)。まぁ、そしたら彼のつまずいたのは先の著書の16ページの三全音の転回部分ですな。面倒臭いんで彼を「X君」という風に以降このブログ上で呼ぶことにしましょう(笑)。ちなみに彼は私を「センパイ」と呼びますが、文中の言葉はそのままに、私は「私」と明記しておきます(笑)。



X君 「センパイ、トライトーンはいくら転回しても三全音は等価ですよね!?でもこれ読むと、転回することによってトニカ属ともいうべき解決先を明らかに使い分ける手法として語られているようですが、その違いが判りません」


なるほど。中心軸システムの根幹でもありますが、彼の言葉は当時の私の借用でもあるものの「等価」という所に埋没しちゃって理解が先に進まないのでありますな。コトもあろうに、彼は次のような感じだったんですな。



私 「その本の9ページの"註3"を読んでも判らない!? もうソコ読んでる筈だよな!? 特に重要なのは註3の2段落目だぞ!」

X君 「書いてあるコト自体は判るんですが、さっきの質問とどう結び付けてイイのかが判りません・・・」

私 「トライトーンを転回すれば自ずと進行しようとするベクトル変わるだろ!」

X君 「いくら転回しようとも三全音は三全音じゃないんですか!?」



とまあ、私はその当時の彼の楽理的知識なら大原則として知っていたと誤解していたんですなー。ハナシがなかなか噛み合ないワケですわ。で、私は彼にこのように訊ねたワケです。


私 「増四度と減五度の進行の違いは知ってるよな!?」

X君 「結局は同じじゃないんですか!?」


なるほど。この違いを知らなければハナシが噛み合う筈もない(笑)。以下、私はたとえ話を絡めながら彼に教えるコトに(つづく)。

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