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Wounded Bird [クロスオーバー]


扨て、楽理面を熱く語った後はちーとばっかしアタマ休めてネタ振ろうかな、と思ってます。まあ左近治の場合、月に1度ほど大脳新皮質使って残りは休む!くらいのキモチで臨んでいるのが日常であります(笑)。
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2年くらいほど前でしたでしょうか。ブログでアルフォンソ・ジョンソンのことを語っている時に、スティック(=チャップマン・スティック)付属の教則本でスティックを使っているソロ・アルバムがチラッと紹介されているのを話題に出したのは。


当時の左近治は、その気になるアルフォンソ・ジョンソンのアルバムを所有していなかったのでありますが、最近ようやく入手することができたんですね。まさか売られているとは思わなかったのでノーマークだったんですが、それが「Spellbound」というアルバムであります。


よくよく見てみると、レーベルはWounded Birdじゃないですか!クロスオーバー系には結構垂涎モノのアーティストや隠れ名盤があるんですよ、このレーベルは。

余談ではありますが、読みは「ウーンデッド・バード」ですからね。弦の巻弦の種類の名称でナンタラ・ワウンドとか読むことがあるんで「ワウンデッド」なんて読んじゃう人もたまーに居たりするんですが、弦の方の「Wound」ってぇのは「wind」(=ワインド、風のウインドじゃないですよ)の過去分詞なんで「ワウンド」なんで、さらに~edを付加させる必要はなく、「傷ついた」「痛んだ」という意味の過去分詞「wounded」の現在形が「wound」でありまして、読みは「ウーンド」になるコトは念頭に置いていただきたいな、と(笑)。


私が一番最初に手に入れたウーンデッド・バード・レーベルのタイトルは、レニー・ホワイトの「Big City」だったんですな。アメリカ横断ウルトラクイズの罰ゲームのシーンにかかるアレが「Big City」のイントロそのまんまであります。リリコンも使われておりますし、E-muのモジュラー・シンセなんかもクレジットされていたりするんで、結構興味深い内容なんですな。

まあ、他にもパトリース・ラッシェンとかあったりするんで興味深いレーベルであるんですな。いずれにしても当時のウーンデッド・バードというとCP-70が良く似合うようなレーベルの色を持っていたような気がします(ローズも勿論ありますが)。そういえばケイ赤城もホールズワースと一緒にCP弾いていたりしてましたね。


2000年初頭までは海外通販で直にやり取り出来たんですが、最近では海外からは受け付けていないようで、結局は現地で業者がスポット買いして日本に輸入してくれるのを待たなければならないようになっちゃったんですなコレが。


そういう事情もあってウーンデッド・バード関連に少々縁遠くなってしまったのも入手が遅れてしまう一因ではあったものの、ようやくゲットできたというワケなんですが、1977年当時の音ということもあってある程度は予想してはいたものの、結構コレがグッドなジャズ・ロック・サウンドなのであります。

判りやすく形容するならアイソトープとかギルガメッシュやらスティーヴ・ヒレッジが好きな人なら結構ハマるかな、と(笑)。その手の雰囲気に一役買っているのがARP2600の音なのでありますが、ラテン・フュージョン系の音になるワケでもなく結構ロック的な音に仕上がっているのは予想をイイ意味で裏切ってくれたというワケであります。

スティックは全編で使われているようでもなく、目立つ感じでは3曲ほどで聴かれるワケでありますが、レヴィン先生のようなクラビっぽい音をフィーチャーしたような音作りでもなく、ミディアム・スケール時代のスティックのノーマルな音という感じ。スティックをベース・リフ的に用いているのではなく、スタンリー・ジョーダンがスティック弾いたらこんな感じかなぁ、というプレイになっております。

まあ、1977年というとまだまだスタンリー・ジョーダンは出現していないのでありますが(マジック・タッチは確か1984年だったと思います)、多様な音が混ざっていた時代というのはホントにイイものですね。

「Follow Your Heart」なんてぇ曲など後期のハーヴェスト期ソフト・マシーンがSynthi AKS使ってシンセ・アルペジオから入ってくるような世界で、この8ビート感とハーモナイズはまさにジャズ・ロックですな。

「Nomads」という曲はちょっとカーンっぽいんですが(←デイヴ・スチュワートの)、アルバム中結構グッと来る佳曲でありまして、ハイラム・ブロックのハーモナイジングっぽい唄メロです。イイ具合にジャズ系フュージョン具合が混ざっているのが堪りません。


「Earthtales Suite」という曲が、カンタベリー系やらジャズ・ロック好きな人には堪らないモノとなるでしょうが、ほんの少しギルガメッシュ&ナショナル・ヘルス系の香りがありながらRTFやらスタンリー・クラークっぽい感じもありまして、コレは結構聴かせてくれる曲なんですな。ただひとつ難点を言うとARP2600のホワイトノイズを用いたギミックが数十秒ほど続くところがあって「デジタル処理のエラーか!?」なんて驚いてしまう方もいるかもしれませんが(笑)、まあ、KORNがよくやるようなイタズラ的なモノとして好意的に受け止めればB級ジャズ・ロックとしてかなり楽しめるのではないかと思うんですな。

極上B級グルメしちゃいたい人にはオススメであります。まあ、ヴァージンから出ていてもおかしくないようなアルバムだったというのは非常に驚きだったのであります。まあ、そのヴァージンも78年頃になると売り方変えちゃうんですけどね(笑)。故にヘンリー・カウが離れ、アート・ベアーズへと姿を変えていくようになるワケでありまして、この辺のカンタベリー/ジャズ・ロック/クロスオーバー系の音楽は第3期とも呼べる時代への到来となるのでありましょう。その後、この手の音は10年くらい休眠することになるんですが(笑)、興味のある方は是非楽しんでいただきたいと思います。結構オススメですよ。