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ベース選び [ベース]

私のベース選びというのは全く参考にならないかもしれませんが、ベースだからと言って重低音の成分だけがブンブン鳴るような音を欲しているワケではありません(笑)。

だからといってオクターヴ上の音域鳴らしてくれるピッコロ・ベースが欲しいというワケではなくてですね(笑)、エレクトリックだろうがアコースティックだろうが、本来の「鳴り」ってぇのは実は結構副次的な振動から生じさせようとしているワケでして、ベースの基本周波数の帯域なんてえのは弦そのものが鳴らしてくれるワケなので、私は副次的な振動を優先してベースとやらを選別しているのであります。

「アコースティック」という言葉は(アンプのメーカーじゃないですよ!)、ソレこそ今や「エレクトリック」の対義語のように思われているかもしれませんが、辞書を引けば「音響的な」とかそんな意味でして、決して「電力いらずの」とか書いていないワケであります(笑)。

その「音響」とやらは、アコベはおろかヴァイオリンなど見れば一目瞭然ですが、空洞を利用して「響き」を得ようとしているのは明白ですな。

ベースなど、基本音ばかり優先していたら低周波の振動しか残らず、高次の倍音などロスしている音となんら変わりなくなるのと同じでして、結局のところ、基本音とは別の倍音成分である副次的な成分を「響かせてナンボ」なワケですな。

無論、ほぼ同じタイミングで振動してくれる多くの部分音そのものの「パワー」ってぇのは必要でして、空気を動かすレスポンスが鈍ければ響かないワケですな。ヘタな人がフルートを吹いても音がきっちり出ないのは、空気のスピードが不足していたりとかも考えられるワケでして、音を響かせるってぇのはやはり色んな壁があるワケですな。

人間の声とて、いくら質は違ってはいても周波数の帯域はそれほど違うワケではありません。それなのに甲高い声や低い声というのを感じるのは、基本音の出方が違うのではなく、倍音のスペクトル分布に差があるワケですな。

ある意味では腹腔の「鳴り」の違いで、太いor細いという印象が変わってくるという要素も考えられるでありましょう。

エレクトリック・ベースにおいても私はその「副次的な」振動の出方を非常に重視するのでありまして、端的に言えばミドルがふくよかなモノを重視するワケです。

組み込みが悪いベースであれば高次の倍音成分ほど減衰が速いものでして、つまりはモコモコ感というのが強く出たり、弾き始めのアタック部分だけが妙に強調されるかのように感じられたりもするでありましょう。

ある程度の高次倍音がそこまでロスするようなベースなど、相当ヘッポコなモノでないとそうそうお目にかかれないとは思うのでありますが(笑)、ミドルのロス加減というのはかなりバラつきがあるものでして、このミドル部分は私が表現するところの重要な「副次的」な成分なのであります。

その重要な成分があまり強すぎても、さらに高次の倍音をロスさせるような出方でもダメでして、このバランス加減というのはもはや私の感覚だけ優先させてしまっているような向きもあるんですが(笑)、まあ、例えばベーアンに通してなくともベースを弾いてネックのヘッド部分に手を当てただけでも、振動の感じ方って全然違うと思うんですよ。

「ブーン」としか感じなかったり、あるいは「ビィィーン」と感じたり、はたまた「ジィィーン」と感じたりするような振動ってあると思うんですよ。今回はやたら擬態語炸裂ですな(笑)。

それらの振動具合がバランスよく生じていて、物理的なサステインの長さが(ノン・エフェクトで)長いモノが私は好みます。

で、副次的な成分をとても増徴させてくれるのが、例えばメイプル・ワンピースネックの指板に塗装が施されたモノだったり、指板が貼ってあるタイプならば指板がラウンド貼りであることだったり、ペグの質量だったり大きさだったり、ナット材質だったり、ブリッジの材質だったりなど、それらで変わる要素などいくらでもありますが、どんな組み合わせで用いようとも、私にとって大事なのは、ミドルがふくよかに出てくれる副次的な成分が豊かなベースなんですな。

ただ、この手の周波数レンジは、弾きムラによって生じる音の暴れ加減というのが妙に強調されやすいレンジでもあったりします。人によってはこのレンジを嫌うためにEQで絞ったりするワケですな。もちろん、きちんと弾ける人にしてみたってその周波数レンジそのものが嫌いな人だっているでしょうし、一概には言えませんけどね(笑)。

そんな副次的な振動から生じて出てきた「低音」というのが私にとって「音響的」な音でありまして、エレベであろうと「アコースティック」な音なんですな(笑)。

別に貼りメイプルであろうと、こういう音を満たしてくれる個体はありますけど(笑)。アコベに用いるベーアンに小口径タイプが多いのを見れば、基本音寄りの周波数成分って実際にはジャマでもあるでしょうし(笑)、副次的な部分の振動あってこそだと思うワケですよ。

他のパートがアンサンブル全体顧みずに大音量出すような人が居ない限りは、音響的に満たされる音となることが多いのに、アンプに頼ってやたらとウェットな空間でも音稼ぎまくったりする人は多いワケでして、こんなトコロで音の競争する前に、きちんと鳴りを把握して楽器を選び、人を選び、場所を選んで演奏したいモノであります(笑)。