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ウェイン・ショーター [MONDO]

あー、とうとうヤッちまいました、左近治。コトもあろうにウェイン・ショーター大先生の曲を着信音用に制作するなんて(笑)。正直なトコロ、ここ3年くらいは左近治の身勝手とも言えるような、てめえの好きな曲しか作らないような向きがあるんで(笑)、ある意味では自分の嗜好具合の本性ムキ出しにしているとも言えるんでありますが、そのように自分のスタンスをより振っているから故に、カンタベリー系やらジャズ系やらの音楽も当然のことながら増えてくるのであります。

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まあ、先にも書いたようにショーター先生はドミナント7th(として聴こえる)和声においてもナチュラル11th平気で使ってきたりするんで、仮にそれがsus4系サウンドとしてもsus4の拡大解釈として用いている和声感覚だったりします。まあ、ショーター先生の和声感覚はそれだけに留まりませんけどね。

左近治はドミナント・モーションっていうのはあんまり用いなかったりします。寧ろ、ドミナント7thだらけのコードを拡大解釈して全く異質の機能の曲など作ってみたいモンです(そういう人は既に沢山おりますけどね)。

自分自身がそういう和声的な好みがあるので、ショーター先生など特に好きな部類なワケであります。

例えば、コード表記上ドミナント7thを用いても実際には違う機能であって、便宜的な表記でしかないシーンとかもあるわけでして、もはやそういう時というのはポリ・コードやらハイブリッド・コードで表記する方が親切だったりもするワケです。

Cハンガリアン・マイナーというトーナリティーでモードが構築されている時、第6音をモードとするスケールがあった場合、仮にそれがAb△7 or Abメジャー・トライアドだとしても、モードを維持するのであれば、メロディが「F#、G、Ab」という半音の連続するフレージングが出現する可能性が出てきます。

Ab△7においてF#音を使うには経過的な音くらいにしか通常は導入しようとはしませんが(笑)、Abメジャー・トライアドだったりすると旋律は非常に可能性は増します。

つまり、Abから見れば根音、長七、短七(=増六)とも言えるワケですな。

ドミナント7th上において「長七の音使っちゃった!」というシーンというのは、ルートをフラットさせるフレージングしか有り得ません(※1)。前にも例を挙げたコトがありましたが、要は増六、長七、ルートというフレージングを和声的にも旋律的にも導入できない輩があまりにも多すぎるのが問題でありまして(ホントに必要とされるているかどうかは各人の腕と耳次第)、市民権を得るような類の音楽など、どんなにジャズ聴き入っている人でも、左近治のようなコト言っているような人はかなり少数の部類だと思います(笑)。

器楽的な経験やある程度の楽理的知識を備えている人であれば、どういうコトを言わんとするのかは理解してくれる人というのは多いでしょうが、実際に導入している人というのは少ないと思います。

ウェイン・ショーターやスタンリー・カウエルは私にとっては完全に異次元の世界の人たちとして形容できる偉大な方々でありましてですね、こーゆー人達しか使わないような世界をスティーリーさんところのダンさん達ぁ平気で導入してきたりするモンなんですよ(笑)。しかも唄モノとして成立させる、と。


唄モノとして世に繰り広げているワケではない異質な世界観を構築しているという人達というのは、もはやどっかのJ-POPしか聴かないような連中からすれば異質どころか不必要な音楽ジャンルにカテゴライズされちゃっているかもしれません(笑)。そんなのに心酔してしまうリスナーとその生産者の方が不必要なのが現実なのに(笑)。


わっかりやすいプログレの人達からも概ねカンタベリー系は難解と評されるものの、本当に難解な曲からすればまだまだ判りやすいのが多い方とも言えるでしょう(笑)。故に、ウェイン・ショーターの曲をもってして、カンタベリー系サウンド風に仕上げてみて、ピーマン嫌いの子供が好むハンバーグにピーマン忍ばせるかのように、今回はカンタベリー風にアレンジした、というワケです(笑)。

曲は「Shere Khan、The Tiger」というタイトルで、アルバム「Atlantis」からの選曲です。

このアルバム全体が、カンタベリー系っぽい和声的な世界があるんですけどね。それは以前にも語ったことなんですが、一応具現化してみよっか、という考えから作ってみただけのことであります(笑)。

カンタベリー系に心酔する人なら大概のジャズ系の音も許容できる耳というのはお持ちだと思うので、概ね当時と同時期のクロスオーバーやらジャズ・シーンの音は受け入れてくれたりするワケですよね。RTFとかウェザー・リポートとか。ビッチェズ・ブリューとかね。

ロックな耳しか持たない人でも偏狭プログレしか聴かない人にも覚醒してもらえればな、と思って今回作ったというワケであります。

制作した部分の最後の方に、トンデモない和声を聴くことができますので、それを探っていただければな、と思います。敢えて今回はコード表記しません(笑)。意地悪しているワケではなくてですね、「なんでこの音使えるの!?」という音の根拠は各自研究していただきたいな、と(笑)。

私自身、ショーター先生が描いている同じ根拠を会得しているとは到底思えませんし、まだまだ理解が足りません(笑)。

しかしながら、現実として25年も前にこのように具現化していらっしゃるワケですから、音はきちんと添えなければ制作する意味がありません(笑)。

まあ、この「根拠」も以前にリリースしたクレイグ・ダージ作曲のザ・セクションの「A Kind of Albatross」に近いとも言えますが、こういう世界を巧く解体すると、「リキの電話番号」とか果ては「Door Number Two」に持っていけるんだと思っております(笑)。

ジャズにはジャズの偏狭的なファンはいるし、プログレにも然り。イアン・カーヤニュークリアスやらソフト・マシーン聴いても、ウェイン・ショーターは聴かないという人だっておりますが、それは非常に勿体ないなーと思うワケでして(笑)、例えば、アルバム「Super Nova」収録の「Swee-Pea」とか聴いてもらえば、プログレ系(特にソフト・マシーン)の人にも十二分に楽しめる曲だと思うんですな。

実はそれほど遠くない世界なのに、ジャンル分けというモノが邪魔をして素晴らしい作品との出会いを遠ざけてしまっている例というのは、こーゆーのはリスナー側に責任があるワケではなく、CDショップ行けばそれらのジャンルは見事に隔絶されているのが現実(笑)。

左近治がなにゆえジャンルの垣根無しにそれらのジャンルに出会ったのかというと記憶に無かったりするトコロもあったりはしますが、ジャンル無関係に耳にしていただければな、と思うことしきりの私であります、ハイ。


※1・・・実際にはドミナント7th上で長七の音を使うやり方、という実例はいくらでもありますし、左近治も実際にこれまで披露しておりますが(笑)、そのコード表記においてあくまでもドミナント7thコードを用いた簡便的な標記であり、本来のドミナント7thの機能からは逸脱しております。その「便宜的」な表記と、実例をきちんと分けて解釈する上で「有り得ない」と表現しているので、ブログ冒頭からも便宜的なコード表記等語っていることをきちんと把握して判断していただきたい部分ですのでご注意ください。