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Changes [AOR]

今回リリースする曲のひとつに、パトリース・ラッシェンの1stアルバム収録の「Changes」について語ろうと思います。

パトリース・ラッシェンをリリースするなら、他にも和声的な面において左近治が好きそうな曲があるんですが、それらはいずれ手掛けるとしますが、今回この曲「Changes」をリリースするのはチョットしたアイデアが浮かんだという理由から、この手の曲からリリースしたワケであります。

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原曲をご存知無い方は是非ともお聴きになって「騙されて」ほしいのでありますが(笑)、「騙す」というのは何も左近治が良からぬことを企てているのでもなく、ラッシェン本人に非があるものでも何でもありません(笑)。今回この曲に用いたギミックに騙されていただきたいな、と。まあ、そんな意図の「ダマシ」ことなのであります。

原曲を知らない方や先入観が全く無い人ほど効果的と思えるフェイク・リズムでアレンジしたワケですな。

いわゆるクラビネットのパラディドル・フレーズのリフから始まるこの曲は、ややもするとクラビのフレーズっていうのは16分音符3つフレーズが多いコトもあって、ついつい16分音符として聴いてしまいかねない人もいるかもしれません。

本来ならシャッフルの曲をさらにギミックを施して「あたかも」16分フレーズに聴こえるように、左近治はのっけから8分3連4つ分の音価を1拍に聴こえるようにビートを刻んでいる、というワケであります(笑)。

本来なら、先入観抜きに聴いていただきたいのでこの手の文言を掲載することも回避した方がトコトン継続して騙されてもらえるんでしょうが(笑)、まあ、リリース曲の詳細についてはきちんと語って行きたいという意図もあってネタバラシをしているワケであります。


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この手のフェイク・ビート(※所謂メトリック・モジュレーションと呼ばれる「リズムの転調」であり、リステッソ・テンポも含まれる)で代表的なのはケルト系の音楽、或いはジェントル・ジャイアントが得意とするビートなのでありますが、例えばジェントル・ジャイアントの5thアルバム「ガラスの家」収録の名曲中の名曲(ドラッグ・ソングでもありますが)「Experience」というのは、シャッフルの変拍子に聴こえる(4+5拍子)ようにリフを形成しているのでありますが、実はそのシャッフルに聴こえるひとつひとつの音の正体は16分音符だった、というタネが隠されているワケなんですな。しかも冒頭からのケリー・ミネアーの弾くクラビのフレーズがこれまたハチロクのフレーズを2拍子系っぽく聴こえさせるようなフェイクが施されていて、多くのギミックが交錯することでドラッグで酩酊状態に陥っている人は卒倒してしまうくらいの衝撃を受けてしまうんでしょうな(笑)。故に向こうではこの曲は異常なほど人気が高かったのでありましょう(笑)。

ジェントル・ジャイアントのオフィシャル・ファン・クラブで「GORGG」という団体がありましてですね、不定期ながら向こうの方に誘われているものの、なかなか行く機会とカネが無い(笑)。そのパーティーというのは胡散臭いドラッグ・パーティーとかじゃないですよ(笑)。きちんとしたオフィシャル・ファン・クラブの集いという所へ来い来い誘われていたりするんですが、まあ、そんな方々とのお付き合いもありまして彼ら界隈のGGのアルバム&曲評価というのは私自身聞かされているのもあり、「ガラスの家」というのはドラッグ・アルバムだ、というのは散々聞かされているワケですな(笑)。

違法なドラッグというものを肯定しようとはサラサラ思ってはおらず、ただ、その未知なる感覚の体験談から聞かされるインプレッションというのは、確かに日常とは全く別物の世界を形容している、ということだけは伝わります。その世界を知って音楽を聴こうとまでは思いませんが(笑)。

おそらくは、薬物の作用によって先入観とやらもマヒするコトで交錯状態や卒倒的な効果を生む、と私は考えているのでありますが、シラフで聞いたとしても充分卒倒できちゃんじゃないかなーと左近治は正直思っております(笑)。クスリのチカラに頼ることなく、原曲のソレで充分でしょ、と(笑)。ただ、器楽的な経験がないとどういう風に聴いてイイのか判らない敷居の高さを備えているのがGGの「Experience」なのかもしれません。

まあ、そんな曲と、今回の「Changes」を重ね合わせてフェイク・ビートを強引に持ち込んだ、というワケであります。この手のフェイク・ビートならテクノ系にも多くあるギミックだったりするんで意外にポピュラーなギミック手法でありましょうが、ポピュラーであろうがなかろうがとりあえず騙されていただければな、と(笑)。


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トム・スコットのアルバム「Apple Juice」収録の「Instant Relief」のドラム・ソロ中にスティーヴ・ガッドがシャッフルの尺にムリヤリ4つ乗せるビート(別にガッドだけのモノではありませんが)とかもあるように、ステップ・シーケンス的な音ではなく生楽器が見せてくれるそれらのギミックというのはホントに深いモノです。


折角パトリース・ラッシェンをリリースするのであれば、和声的な世界観においてもっと重要な曲は先にも述べましたが確かにあるにはあるんです。しかしながら、概ねAOR系やらフュージョン系の音を好む人というのはシャッフルのリズムはあんまり好まれない傾向にあると思います(笑)。そんな傾向が強い中でもこの手の曲を軽視することなく触れ合ってもらえればな、という配慮から敢えてこの曲を今回選曲することにしたというワケです。

以前にも述べましたが、パトリース・ラッシェンのアルバムというのはコードワークにおいても或る意味ネタの宝庫でありましょう。おそらく相当パクられていると思います(笑)。


近年のJ-POP系アーティストでチョットばっかしAOR系やらジャズ系のコードを少し使った程度で大騒ぎされてしまうようなのには正直ウンザリしているのでありますが(笑)、J-POPのアルバム何十枚手に入れようと、なかなか出会う事のない和声の世界を待つよりも、パトリース・ラッシェンのアルバム1枚入手するだけで十二分満足できる和声の世界が得られると思いますので、ご存知無い方は今一度注目していただきたいな、と。

但しその和声的な世界観は、私が好むような強度な毒の世界というのではなく(笑)、ポピュラー・ミュージック系の中に映える彩りのひとつの世界だと思っていただければな、と(笑)。

最近の左近治がリリースする曲の多くはトコトン毒の強度を強めているので、敬遠される方も多いとは思いますが(笑)、今聴く気になれない人も何十年かすればおそらくは満足できるようになるのではないかと信じてやみません(笑)。ただ、パトリース・ラッシェンの音楽は、小学生が聴いても受け入れるコトができるセンスある和声の世界を感じ取るコトができると思いますけどね。ショパンがイイとお子さんが言い出したらパトリース・ラッシェンも与えてほしいな、と。