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「ゴキブリの王様」 [クロスオーバー]

いまだ「50TA」(=狩野英孝)の興奮冷めやらぬ左近治なのでありますが、久々にテレビの音楽コンテンツでココロ持ってかれてしまったのでついつい冒頭から述べてしまっているのはご愛嬌というコトでご容赦願いたいと思います。

楽理的な知識など全くなくとも好きな異性に曲を作ってあげたい♪

そういう思いというのは多くの人が抱いている「秘め事」なのかもしれませんが、他人様に聴かせるには余りに自分の恥部を露呈してしまっていると思ってしまうためか、そんな望みなど自己の廉恥心とやらの陰に隠れてひっそり自分の心の中だけにしまっておくのが通常だと思うんですが、この部分を赤裸々にアピールしてライヴやられた日にゃあ、カラシニコフで脳幹ブチ抜かれたような思いです(笑)。楽理に五月蝿い左近治ですが、50TA大好きです♪

扨て、ジャズ・フュージョン・ファンならこういう今回のブログタイトル付けても「ああ、チック・コリア・エレクトリック・バンドのKing Cockroachね」とお判りになっていただけるかと思うんですが、DX7とTX816というDXサウンドを全面にフィーチャーしたチック・コリアのあのバンドは時代背景もさることながら凄かったなぁと思います、ホントに。

DX7やM1くらいの時代だと世はまさにバブル真っ盛りの時でありまして、色んな所から入手しにくいコンサート・チケットを頂けたりしたモノです(笑)。まーたコレが席がやたら良かったりして、「あの時は何処へ行ったのだろう?」と今を思えばまるっきり社会は違ってはおりますが(笑)、水泡と期すあぶく銭を形容しているのでありましょうが、そんな時代の記憶というのは今でも十分糧となっている物は多く、決してバブルではありませんでした。

扨て、そんな郷愁に浸るのは扨置きチック・コリアについて徐々に語っていこうと思うワケでありますが、チック・コリア関連作品で最近私がKクリにおいてリリースしたものだと、ジョン・パティトゥッチの1stソロ・アルバム収録の「Baja Bajo」というものがあり、これはパティトゥッチとの共作というクレジットではありますが、チック色の強い曲調でして、昨年もこの曲についてブログで散々詳しくコード進行など楽理面で語ったので、継続して読まれている方ならお判りかと思うんですが、今回こうして語っている内容も実は当時の頃から一貫して「筋」を通しているモノがありますので、

「もう1年経っちゃった♪」

というのが私の正直な感想であります(笑)。普段の文章が長いからこれだけの月日を費やしてしまうのかもしれませんが、一応私はKクリで着信音を作り始めている時から、自分の好みに合ったモノはTV関連の飛び道具的な作品であろうと楽理面においては共通するものを取り上げてきているので、そこからスジは通してきているんですな(笑)。元祖天才バカボンのBGMひとつにしたってモーダルな世界観をきちんと楽理的に語れるのでありますぜ(笑)。

楽理的なコトなど全く意識させるコトなく、一般のリスナーにキャッチーに響く曲や旋律というのは作曲者とすれば「してやったり」と言えるモノだと思うんですが、どんなに小馬鹿にされようが楽理面でもそれなりのコトが語れるような作品をかいつまんでピックアップしてきたのが左近治だと思ってもらえればと思います。

んで、こうして今回チック・コリアについて語る所まで来ているのでありますが、冒頭にも語ったようにチック・コリア・エレクトリック・バンドの1stアルバム収録の「King Cockroach」についてそろそろ語ってみましょうか。知らない方はiTunes Storeの方でもたぶんリリースされていると思うんで是非とも聴いていただきたい曲であります。

今回主に取り上げることは、ココの所声高に語っていた「ミクソリディアン+エオリアン」やら「ミクソリディアン+ドリアン」というハイブリッド・モードを提示してきた使用例と言いますか、その実例こそが「King Cockroach」は判りやすい曲だろうと思うので取り上げることにしたワケであります。

それでは、「King Cockroach」の曲アタマからCDタイムで3分44秒の所から、キーはB△に転調して「B△→C#m」という2コード循環でチックのソロがありますね。iTunes Storeで配信されているものとCDからでは若干タイムが違うかもしれませんが、左近治はCDタイムで表記しちゃいますのでご容赦を。

で、そのソロが始まってCDタイムで3分54秒の所のフレーズは要注目です。ソロの2コードは「I△→IIm」という進行です(余談ですが逆の進行はCharさんの「Shinin' You Shinin' Day」とかが好例)。注目してもらいたいフレーズの中にアウトサイドな音が聴けると思いますが、なにゆえBメジャー・キーの前述のI△→IImという進行においてC音、D音、F音、G音、A音という、トーナリティーから見れば完全にアウトしちゃっている音をココまで情緒豊かに扱えるのか!?という所に感服していただきたいな、と。ただ単にクロマチックのアプローチでもありませんしね。

その根拠というのは先にも左近治が語っているマイナー・コード上における長二度下からのミクソリディアン+エオリアンというハイブリッド・スケールを導入できるポリ・モードの概念。またはマイナー・コード上でのIIb - Vbという想起など。トーナリティーがBにあるのなら平行調を想定したり(=G#m)、C#mの所で見出すことも可能だったり可能性は多岐に渡ります。









いずれにしてもポリ・モーダルなアプローチでそこから創出される音を羅列しただけでは旋律的な情緒は得られませんが(笑)、この辺りは各自で研究する必要がありますね当然のことながら。ショパンやバッハなどと同じ音使っていても決して偉大な作曲家を超える名曲は生まれないですよね(笑)。楽理的に頭でっかちになっただけでは、「情緒」を得るにはその先にまだまだ達しなければいけないモノがあるんですな。

さらには、左近治は以前に半音音程がズラリと羅列する和声を導入したサンプルを用意したことがありましたが、マイナー・メジャー9th上でb9th音が出現するような特殊な和声を導入したことがありましたね。基本的にはマイナー・メジャーを想起できるというコトなんですが、先述の「B△7→C#m7」という進行でどういう風にマイナー・メジャーの響きを演出させられるコトを見出すのか!?というコトにも繋がるのが「King Cockroach」に現れるチック・コリアのアプローチなんですね。

以前に左近治がその和声を導入した記事はこの辺でしたでしょうかね、と。

D△(b13)/G (Gm△9 + G#)



特殊なモード(F#、G、G#、A、Bb音という羅列)



加えて、マイナー・コード上でハイブリッド・スケールを当てはめる際、そこに「IIb - Vb」というアプローチを導入したという見方において誤解してほしくはないんですが、例えば「IIm7上」で「IIb」を見立てる時というのは、ハイブリッド・コードを想起するというコトですのでお間違いのないように。つまるところ先のC#m7にIIbを当てはめると「C△/C#m7」もしくは「F△/C#m7」というハイブリッド・コードを想起して弾ききる、というコトを意味しますのでご注意を。

「元のコードのアボイドばっかりじゃん!」と思うかもしれませんが、いっつも見ているチャーチ・モードの世界が下記の図の五度圏にもあるような世界だとするならば、調は変われど緑色で記した一連の帯はいつまでも経っても星座早見盤を見るかのように同じ世界ばかりで音楽を聴くのと同じコトです。

circle_of_5th.jpg


寝転んでテレビ見るくらいのコトだってあるでしょうが、色んな角度でテレビを見ようともテレビに出演する人って少ないと思うんですね(笑)。

一般的な日常の世界から見ればアボイドですが、日常のアボイドを凌駕する全く異質の支配感を持つ「情緒」に裏打ちされた音を使って表現すると言えば理解しやすいでしょうか。

ところが、それらの「一般的な」アボイド・ノートとて好き勝手に羅列してしまえば、ただの愚行に等しいワケで、旋律的にも和声的にもきちんと響かせるための根幹とやらを表現しない限りはムリなので、こっちの世界にはなかなかイメージが沸きにくいのかもしれませんけどね(笑)。どんなに逸脱しようともワケも判らず逸脱してしまうと和声的にも旋律的にも情緒を見出せないままになってしまうのがオチ。

また、こういう世界観を「日常の世界」から当てはめるのも少々不都合が出てくるのであるので、この手の世界を語るのに小難しいコード表記とやらが時には足枷になりかねないと表現したことがあるのはこういう理由からなんですな(笑)。

小難しいコード表記を新たなネタとして覚えるのではなくて、非日常的な世界観を耳で覚えてほしいと思わんばかりです(笑)。

因に、つい先日スティーリー・ダンの「Deacon Blues」での左近治のアプローチで提示した2種類のコードの構成音は1個目が「C、G、Bb、B、E、A、D」という音。2個目が「F、C、Eb、E、A、D、G」という構成音だったのは記憶に新しいとは思うんですが、「日常的な」世界から見れば不思議な構成音ですが、奇天烈な和声でしたでしょうか(※敢えて下からアルペジオで弾いたのは聴き取りやすくするための、底意地の悪い左近治のごくごく稀に見せる配慮というヤツです)?

年頭にも語った「あの」コードですね。便宜上のコード表記ですが。あのアプローチとて結局はココに行き着くコトのできるモノなんですな。どうやったらそういう風に想起できるか!?ってぇのはコレばかりは耳で体得していかないと難しいかもしれません(笑)。ある人なら「何だコレ?」かもしれませんしね(笑)。

で、「King Kockroach」の話題に戻りますが、曲が進んでCDタイム5分05秒〜付近のマイナー・コードのパラレル・モーションの後にチック・コリアの16分の単旋律が続いてコーダにさしかかるってぇ部分ありますね。Am7 --> Gm7 --> Fm9と行って直後に16分のパッセージ部分がFmコード上での「あの」アプローチですね。




こういうアプローチから「なんでこの音が使えるの?」という根拠を探って解を得られればイイことあるのではないかと信じてやみません。

まあ、アウトサイドがアウトな世界ではないような左近治からしてみればまだまだ僅かな例しか語ってはいないんですが(笑)。左近治という、何処の馬の骨かも判らないような人間の作るヘッポコ視聴曲で講釈たれるよりも、こういう著名な方の実例を提示した方がスンナリ吸収できると思いますしね(笑)。

とはいえ、この手のチョット変わった世界を、チック・コリアから語らず私から語っておいてトドメをさす!的な左近治のやり方もいやらしいっていやぁいやらしいんですが、その辺りはご容赦を(笑)。公表はしておりませんがコメントを頂いている方にも楽しんでいただけるような内容にしていかないとつまらないでしょ、と。