SSブログ

ミクソリディアン+エオリアンから確認できること [楽理]

扨て、前回はミクソリディアン+エオリアンというハイブリッド・スケールの実例から色々語っているワケでありますが、おさらいとして、基軸となるマイナー・コードを見立てたら、そのコードの全音下から「ミクソリディアン+エオリアン」のハイブリッド・スケールを当てはめろ、ってこってすな。実際にはそのハイブリッド・スケールの第2音から開始する特殊なモードなワケですが。

左近治の場合は、そのハイブリッド・スケールの応用としてさらに「ミクソリディアン+ドリアン」を用いることもある、というのが前回語ったことでありました。

ただひとつ注意すべき点というのは、元の「マイナー・コード」のそれが、トニック・マイナーやドリアンを代用できる所ならそのままハイブリッド・スケール当てはめて構わないのでありますが、元からフリジアンのモード・スケールが合致してしまうような場面のマイナー・コードに当てはめるのは少々無理があると思いますので、この辺りは注意です(笑)。

まあ、モード奏法を会得した方ならいまさらマイナー・コード出現時にドリアンのそれかフリジアンのそれかアタマを悩ますようなコトなどないと思うので蛇足とは思うんですが(笑)、ただ単に詰め込み型で理論を追っている人だとこの辺りも理解できていなかったりする人もいるんで、余計に混同しないよう敢えて老婆心んとして念押ししておきますね、と(笑)。

一般的にはなかなか耳にする機会すら少ないような音楽の世界観を語っているのでありますから、そこにはその辺の本には載っていないような事やら一風変わったコトを左近治は述べているかもしれませんが、左近治の好む音楽などごく普通にこれらの世界観を提示していたりするワケです(笑)。まあ、そういうワケでなかなか理解が進まない部分もあるかもしれませんが、本来こういうのは自身が研究すべきことであるのもの事実なんですな悲しいことながら。

まあ、今回は新たに「ミクソリディアン+エオリアン」のハイブリッド・スケールの持つ特徴的な音の「根拠」とやらを語ってみることにしましょうか。

上記のハイブリッド・スケールの音を羅列した場合、半音音程が連続する箇所があることは明白であります。

ジャズの世界においてもダブル・クロマチックのアプローチで半音が連続したりするようなフレージングなど常套手段でもありますが、あまりに型にハマりすぎてしまっていると古くさいバップ・フレーズの引用になったりしかねません(笑)。

私が嫌悪するのは、こういう「どこかで聴いた」ような既にあるタイプのバップ・フレーズという所なんですな。

バップ・フレーズを導入して「逃げる」のではなく、「ミクソリディアンとエオリアンを足したら半音音程が連続する所が見えてきた。よくよく見るとメロディック・マイナー内包してるやん!だったらメロディック・マイナー・モード想起してあっちの世界に行ってみるか!」

という考えになってもらいたいワケですな。何もツーファイヴの所で収まりよく決まりきったフレーズ弾くだけじゃなくてですね(笑)、自身でフレージングを生み出せる多様な世界観とやらを有するようになってもらいたいワケですな。

半音音程が3つほど連続しました!だけどミクソリディアン+エオリアンのスケールを全て弾いたワケではない。だったらメロディック・マイナー・モードも見えてきたのでワタシ、そっちに行かせてもらいますわ!

みたいな考えですな(笑)。もちろんそこにはチェレプニンやらコンディミやらハンガリアン・マイナーなども視野に入ってきますので、これらを選択可能になってくるというシステマティックな考えではあるものの、ジャズの名演を数多く耳コピしてフレーズ引用するよりも、自身の音楽観はこっち側の方がよっぽど育むことができるのではないか!?というのが左近治の考えであるワケです。

ジャズの持つアンサンブルの音を好むが故にジャズやってる人だって、多くは常套句忍ばせてその場しのぎしているのが多いんですから(笑)。歪んでなければギターじゃねぇ!と陥ってるロックな兄ちゃんのそれと大して変わらないんですよ、ジャズ屋とやらも(笑)。偏狭的になってしまうと音は違えど質は大差ないってこってす(笑)。

カンタベリー系の多くはチャーチ・モードの世界に収まらない音を嗜好する人達が多いせいもあって、多様な和声観を有していることが多くて、それらの特徴的な音というのは或る意味では民族音楽的な音の導入にも共通することが多いです。だからといって全てが民族的な響きになるわけでもなければカンタベリー系の音になるわけでもありません。

ひとつ言えるのは、それらの一風変わった和声観を聴衆に理解させようとしている所。特にキャラヴァンやハットフィールド&ザ・ノースは、より優しく聴かせようと、聴衆に寄り添うような提示をしてきます(実際の意図は判りませんよ)。

ウォルター・ベッカーという人も、こういう特徴的な音をトコトン使ってきます。とはいえそれらの音楽は出てくる音は全く違うワケですが、和声的な側面では結構似ている所に分布しているワケですな。

で、カンタベリー系の多くは、自分たちが判りやすいようにではなく、半音音程が連続してきたら即違うモードを想起するという自分に甘い考えではなく、テレビカメラをスイッチングしたかのようにコロッと切り替えつつも、全体的なアンサンブルでは統一感があるように提示してくる音をスムーズに移行させていることが多く、それが美しさの一因となっていると思います。

判りやすく言えば、ミクソリディアン+エオリアンのハイブリッド・モードを導入して半音音程のそれらをスケール・ライクに羅列しなくとも、「スイッチング」しやすいように提示する1音をソツなく導入する、ということ。

マイナー9thコードから見たらb9thと9thもぶつかるわ、そういう時にどういう風に対処しましょうかね?とその辺の音で悩んでいるだけではなく、ベースがさりげなくマイナー3rdを弾いて、マイナー3rdと9thとb9thが長七 - 長七でぶつかってきてくれたり、と非常に気の利いたプレイがあちらこちらに凝縮されているのがカンタベリー系の音の特徴でもあるわけです。

そういう長七 - 長七の連続とやらはハンガリアン・マイナー・モードをも示唆することになったり考えを拡大させることもできるワケですな。Cハンガリアン・マイナーがあったとしたらG△7/Abというb2ndベースの分数コードだって当たり前。この情感は使うとやめられないんですが、アッパー部のメジャー7thの情感すら耳に馴染まない輩もいるのも実際なんで、こういう人達に向けてそういうコード使ってくれよとは左近治は申しているワケではありませんが、聴衆が耳鍛えなければ始まらない部分もあるので、耳厳しくして音楽を聴いてほしいと思うばかり。

こういう世界観を有している人は今だとやはりウォルター・ベッカーでしょうかねえ。「ながら運転」のような無責任なアンサンブルの中でバップ・フレーズ羅列して、肝心の世界観を埋没させてしまっているどこぞのジャズ屋の音だとまず表現できない世界をきちんと表現している世界があると言えばよろしいでしょうか。

まあ、こういう世界観が最初はなかなか判らなくとも「普段の」情感を活かしながら採りいれることで判りやすくもなったりするもので、今回のデモはFmキーにおいてのイナタいギター・ソロを交えて語ることに(笑)。

キャプテン・ビーフハートを思わせるほどイナタいギターですが(笑)、一応コード進行は4小節ループで計8小節ですね。各小節1コードで、1小節目と5小節目がトニック・マイナーだという。このトニック・マイナー部分の音の外し方を参考にしてもらえればな、と思います。まあ、5小節目ではえげつないほどにアウトサイドの音ちりばめてますが、1小節目でも同じ音は用いているんですがこうも違う、という所を判っていただければ幸いです(笑)。他のコード部分は今更語ることのない程なので割愛しますが、左近治にしては情感タップリのコード進行なので調性掴めやすいのではないかと思っております。アプローチはジャズっぽいですけどね。