SSブログ

フローラ・プリムの続き [サウンド解析]

扨て、前回の続きです。

(※前後の文章からだけで判断してしまってコード表記などヒドイチョンボをして表記していたのを修正したので今一度前回のブログをご確認くださいね)

一連の3つのコード進行の3つ目は曲が進むとともに、CチェレプニンではなくEbメジャーとCメジャーが混在したハイブリッドな世界を構築してきます。Ebを基準とするスケールディグリーならVI△/I△みたいに。

これがミニムーグアープ・オデッセイが入って来てさらにバースを進めるとより顕著になって、Ebから見るとb9th音は使うわ、13th音とb13音が混在するような組んず解れつの様相を呈します(笑)。

この3つ目のコードの解釈としては他にも色んな解釈はできるでしょうが、チェレプニンを導入するのはあくまでもミニムーグが入る時の最初の辺りまでというご理解をしていただきたいなと思います。誤解を招かないように念のために補足しておきます。

Ebメジャー感を強く押し出そうとしているためコードもEb△9(+11、13)という風になりますし、そこにb9th音とb13th音も加えるという世界です。

こうしてバースを重ねてくると、当初のド頭コードのD△/C△もC△9(11、13)という風になっておりますが、曲の出だしのヴォイシングとは少々「欲張って」きているのは聴いていただければお判りになると思いますので(笑)、欲張りの境界を探って差異感を感じていただきたいな、と思うワケであります。

重要なことは、半音の羅列が毒として成立していてもひどく不協和な世界を演出しているのではない、という所に和声の美しさを感じていただきたいんですな。

意識しなければ、これほどこだわりのある世界だったとは思えないほどスムーズに耳に溶け込む世界だと思いますので。

このような毒のエッセンスの実例は、私がアレコレ作るよりも現存する名曲を例に挙げた方が理解も進むかもしれません。

ある意味ではチェレプニン音階やらミクソリディアンとエオリアンを混ぜたモードやら、メロディック・マイナーb2など過去には色々語ってきてはいるものの、なにもチェレプニンやらをあてはめるまでもなく、シーンによってはコンディミの解体とも呼べるべき世界をなぜこのように解説してきているのか?という疑問もあるでしょう。

曲の一部始終で完全にモードを確定できる音が明示されていれば確定せざるを得ないワケでありますが、ブログの1つの記事で収めるのは困難を極めると共に、話題を継続して提供するという左近治のスタンスもあります(笑)。

さらに重要なのは、モードを確定せずに「ジャズの要素」としての自由度が原曲にあるからこそ確定せずに、色んな側面からモードの可能性を探る、というのもジャズの世界を探る面白さでもあるのではないかと思うんですな。

ジャズ畑の人が多く参加しているからといって、未確定なままモードの解釈において自由度の高い作品というのは少ないかもしれませんが、自由度を与える考えから分析することでジャズとしての自由度やアプローチを研究するというのが今回は重要だと思ったからこそなんですな。

ひとえに、今回左近治が1つのモードを確定したとしてもジャズ的なココロがうずく人ならもっと拡大解釈してアプローチしてみるという分析を試みる人もいると思うんです。

CDタイム○○分○○秒から○○まではこのモード、この辺りのバースはあのモードとやらと説明している方がモードの「移ろい」や解釈を拡大できる助けになるのではないかと思うんですな。

そういう「解釈のマージン」を、私はこの曲には与えたかったのであります。

加えて、普段なかなか耳にすることのないような稀なモードをこれまで例を挙げてきましたが、多くの解釈ができる曲ならばなおかつ従来の例を引き寄せておさらいするにも好例だと思ったワケですな。

いくらジャズをやるにせよ、モード的解釈の「解答」を与えてしまえば、スケールさえ覚えてしまえば音選びそのものはどうにか成立してしまうモノです(笑)。悪い意味での「スケールの羅列」的インプロヴァイズになってしまうんですけどね(笑)。

スケールの羅列ではなく、フレーズの彩りや情緒を噛み砕いて理解するには多くの分析と経験を伴うモノだと思っておりますので、これまでの例がムダにならないためにも、今回のような多角的な分析も必要なシーンはあるかと思うんですな。

ただひとつ注意したいのは、ひとつのブログの記事だけを抜粋して読んでしまった場合、そこで理解が止まってしまう可能性を秘めているという所ですか(笑)。

私としては、このような多角的な分析を強いられるシーンでは、お読みになっている方々に各記事において疑問やらミソを付けながら読んでいただきたいと思っておりますので(笑)、「ココはこうじゃないの?」という風に穿った見方をしてくれるタイプの方が多く生まれることを望んでいるのでもあります(笑)。

とにもかくにも一番ふれてほしいのは「毒の魅力」ってぇこってすよ(笑)。