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TIMEシャワーに射たれて [ベース]

ちょっと前にもスラップ・ベースに関する話題を出した時に、久保田利伸の「TIMEシャワーに射たれて」のスラップ・リフについて述べたことがありましたが、折角なので作ってしまったという左近治。10月最後のリリースですね。

まだこの時代はJ-POPなどというコトバは世に存在していない時代(笑)。当時、私は久保田利伸こそは知ってはいても、それは友人宅でたまたま聴いたりする程度くらいのものでありまして、知識はほとんど無かったモノでありました。

で、当時私の後輩にベースを教えていたことがあったんですが、その後輩が私の下へ持ってきたCDにこの曲が収録されていて、彼曰く「微妙なグルーヴ(音価)が掴めない」という所からこの曲との出会いが始まったワケでした。

う〜む、確かに後輩の弾くベースの音こそは捕らえている。でも何かが違う。それこそ原曲の符割とはチョット違うワケですな。

どこがどう違うのかというと「ペッケペ〜ン♪」という、F音-->E音と下降する所の符割。

「ペッケペ〜ン」の最初の「ペ」は2拍目ですが1拍6連のケツ、「ッ」は3拍目アタマで左手ミュート、「ケ」は僅かにモタり気味の3拍目の半拍3連の真ん中の部分、「ペ〜ン」は3拍目・半拍3連ケツbutかなりモタらせて、極力3拍目8分ウラに近いくらいモタらせる、と。

6連を体得できていなかった彼はこのフレーズを16分と解釈してプル連続して弾いていたワケですが、当時左近治はそういう結論を導いて、彼のタイム感のクセを矯正させて、マーカス・ミラーの「ツックペツッペ!」よりも遥かに難しいタイム感をその後6連符はおろか32分音符もラクに身に付けるようになったというコトでした。めでたしめでたし(笑)。

もちろん今回の打ち込みは、このように打ち込んでおります。とはいえ「TIMEシャワーに射たれて」は後年においても色々な演奏を聴くことができましたが、原曲リフの音価ではなく弾かれているベースばかり耳にしたような記憶があります。

まあ、その符割をマスターするにも紆余曲折がありましてですね、彼の場合は勝手にプルを16分連打と思い込んでいたコトもありまして(多分、久保田利伸の他の曲でそういう曲があったからだと思われます)、16分連打プルを奇麗に続けて出そうとするあまり、フレーズがうまく弾けるところと弾けない所があったんですね。音の整えを強く意識してしまうあまり、リズムがヨタる、と。

しかも本人に訊けば「16分音符より細かい符割は弾けないんです(当時)」と宣う始末(笑)。

いやぁ〜、いくら16分音符より細かいの弾けねーっつったって、いくらなんでも16分音符をとりあえずは弾けるようになってんなら2拍9連くらい弾けんべよ!

と思い立って、左近治は徹底的に2拍9連の音価を覚えさせるコトに(笑)。

まずファースト・ステップは、プル -> サム -> サムという3つの組み合わせを6回、これで1小節。プルは2拍3連のアクセントですね。これをbpm100〜150まで弾かせる。

次のステップは、プル -> 左手ミュート -> サムを同じく2拍9連に乗せる、と。

これらを1日でマスターした彼に、次に1拍6連の4フィギュア、つまり6連に4つ周期の音を乗せる、と。これもアタマのアクセントは2拍3連になるワケで、手順は次の通り。

プル -> 左手ミュート -> サム -> サム


コレには多少手をこまねいていましたが、2拍3連のアクセントという側面から1拍6連をマスターさせた方がコイツには利くな、と配慮した左近治だったのであります(笑)。

彼がじきにそれをマスターできた時にはごく自然に細かい符割の感覚を身に付けたというワケであります。チョット前には16分音符より細かい音は弾けないと言っていたのがいつの間にか弾けているワケですね。誰にでもあてはまるエクササイズでもないでしょうが、いわゆる「音節ブッタ斬り」タイプのような、如何にも日本人的なリズムの追い方を払拭させねーとコイツにゃあムリだべ、と当時の左近治は思ったので、こういう風に手を施したんですな。こういう感覚を掴むコトで、32分音符の6つ周期、つまり半拍半のアクセントで32分連打させるコトも可能となるワケですね。

この後は左手と右手のシングルストロークで、左手ミュート -> サムの手順連打で1拍6連をやらせた、と(笑)。で、最後の課題がLevel42の「Love Games」のベースソロ。時が経過すると私が「Love Games」弾くよりも巧くなっておりました(笑)。

私としては、彼に与えた助言が当時の彼にドンピシャとハマっていたのが嬉しかったんですなあ。もちろん教えた当人としても後輩に抜かれるワケにゃあいかねえとは思ってはいたものですけどね。互いに切磋琢磨できればイイものですよ、これもまた。


今回含めて、最近「TIMEシャワーに射たれて」を話題にした理由というのはですね、その彼と先日話をしている時に私がひょんなコトから「いまどきンペンペはねーだろ、ンペンペはぁ」とボヤいていたらですね

「オレ、あの楽譜まだ持ってるんですよ」


「あの楽譜」だけで理解し合える我々。


そうでしたなー。「Love Games」のベース・ソロ部分彼のために採譜してあげたんですなあ。どの音がどういう手順かも加筆して。

自分が手なりにしたフレーズをあらためて譜面に起こすと気付かされる音の重要性というものは当時から認識していましたが、浄書に苦を伴わなかった理由のひとつに、彼への助言をキッカケに彼のターニング・ポイントを見届けることができて、それを機にメキメキ腕を上げていった姿を目の当たりにして嬉しかったのもあったんですなあ。

20年以上も時が経過しているはずなのに「あの楽譜」を持っていてくれていた事に、小生初めて後輩の前で目頭熱くなりました(笑)。当時に20年以上も経過したベースなら「ヴィンテージ」と既に言われていた時代ですぜ(笑)。たった5文字の言葉で理解し合え、当時のことが今の事のように記憶を蘇らせることにあらためて驚きながら。

「ンペンペ愚弄しないでくださいよ〜」とは言っていませんでしたが、彼の心にはそういう言葉が秘められているような気がしたんですな。それが印象深くついつい話題にしていたというワケであります。


自分の好きな曲だけを手当たり次第リリースしているのではない、こういう裏話みたいなモノを察していただければな、と(笑)。