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多相コーラス [サウンド解析]

Logic Proには「Ensemble」という多相コーラスが付属してきます。LFOは2基に加えてランダムなLFOを別に1基という合計3つのLFOでより深みのある出チューン効果を得られるというワケです。

ランダムLFOをごく薄く混ぜるというのも、ゆらぎを演出させて深みを与えることはできますが、私がよく行っている設定は、ランダムLFOは使わずとも他の2基のLFOのスピード比を純正律の整数比になるように設定することがあります。

通常は平均律を扱うワケですが、そのアンサンブルに対してデチューン効果を演出したいのならば、なにもLFOにまで平均律の概念導入する必要なく、別の音律の概念の方がよっぽど厚みや深みを得られるだろうという発想です。

6:5や5:4やら9:8やら、巧くすれば15:8とか。3:2だってイイでしょうし、4:3だってイイかもしれません。こういう振動比については以前にもチラッと語りましたが、私の場合は長短3度あるいは長短6度の比率にセッティングすることが多いでしょうか。

Logic Proの「Ensemble」は、そのゆらぎ加減を視覚的に判断できるがひとつの利点だと思っております。単純な波紋のように見える模様が、複雑さを与えることで、周期性を保ちつつも複雑な幾何学的な紋様に変化する様は、複雑な和声というのもこのような幾何学的な音の紋様を描いているんだろうなーとイメージすることができるんですな。

私の場合、単純な和声よりも複雑な和声(いわゆる不協和と言われる和声)の方が好きであります。もちろんそればかり使っていてはメリハリにも欠けるため、安定感を醸し出すコードを与えつつ楽しむというワケですが、少々複雑な和声であろうとそれを手玉に取れなくて使えなくなってしまっている人は意外に多いと思います。

釣りに出かけて「ド」が付くほどのピーカンだったりベタ凪ぎだったりすると釣果は得てして良好な結果にはなりません(笑)。釣果云々ではなく、雲一つ無い、風ひとつ無い、波すら立たないようなシーンって釣りでもそうですが音楽でも私には嫌いなシーンなんですな(笑)。かといって「調子ッ外れユニゾン&オクターブ」を許容できる、という意味ではないですよ(笑)。モノには限度がありますが。

松島に赴いた時、私の行った時がたまたまそうだったのかもしれませんが、海とは思えないほどベタ凪ぎだったんですね。日本有数の地震の巣でもあり、気仙沼だって有名な魚河岸だったりするんで、私としては荒れ狂うとまでは言いませんが、情感豊かな水面(みなも)だったりするんだろうなーと思っていたので違った意味で驚いたことがあったんですね。松島のそれがイヤだったというワケではないですよ(笑)。

まあ、日常生活に置き換えてみたものの、あまりに純然たる単純なハーモニーは私にとっては杓子定規のようなものに過ぎず(笑)、もうちょっと不確定要素を欲すると言いましょうか、例えれば万華鏡を覗くにしてもさらにフラクタルなものが欲しいな、と。それに似たようなものがあると思うんですな。だからこそコーラスというエフェクトにおいてもテンポやビートに沿ったものが要求されるワケではないのだから、調和を取りつつも多少汚す、みたいなね(笑)。

それこそLFOのスピードのパラメータを厳密に処理したいのであればReaktorやら使えばイイわけですし、色んな手法はありますが、平均律においてもデチューン効果を得たいのであれば他の音律の概念導入した方がスムーズだろうと思うワケですな。生の楽音のピッチなどかなり揺らいでいるのが現実ですしね。

DAW上で数値化されるものが多いからといって杓子定規な考えだけに収まってしまうのは勿体ない、と。