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Darkling Down - ウォルター・ベッカー Circus Money Analysis [スティーリー・ダン]

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この曲も「Somebody’s Saturday Night」同様、イナタいギターが好きな人には特に堪らない曲でありましょう。特にモード提示のそれに絶妙な毒と優しさを兼ね揃えているので、ベッカーの示唆する音、このアプローチに関しては前作に近いものがあります。

Aメロはやさしくsus4から入って来るんですが、調性感の基軸を聴き手に強固に植え付けるためにも非常にイイ、ツカミのリフだと思います。

この曲のブリッジワークなどは初期メンバーでのSDが好きな人にも特にオススメで、「Any Major Dudes Will Tell You」とか「Brooklyn」「The Boston Rag」などの、SDらしい不思議な旋律の叙情性を演出していると思われます。

全体的なサウンドとしてはダブ系で押して、近年の若年層に向けても広くアプローチしているんでしょうが、旧来のファンにも楽しめるような色気が鏤められております。

その「独特な」SDらしいブリッジワークはCDタイム1分30秒付近のブリッジに集約されるでありましょう。このブリッジのクリシェ、コアなSDファンならどことなく「The Second Arrangement」のフルコーラス終わった所のブリッジ部に投影してしまうのではないでしょうか。

C#m7 (b5) --> F#7 (b9) --> Bm9 (b5) --> E7 (on G#)

という風になりますが、ギター・ソロ直前の E7 (on G#)が「Ab7aug」に置き換わってDbにキー・チェンジします。 E7 (on G#)においてオーギュメンテッドしていれば構成音はほぼ同一なわけですな、これがまた。

これまでに、SDが再結成されて以降、左近治はアルバムリリースのアナウンスがされる度に「セカンド・アレンジメント」の再レコーディングしてくれないもんかなあ!?と切望しておりましたが、この曲聴いて満足することができました(笑)。

この後ギター・ソロは実に危険な毒がワンサカ鏤められており、遊びまくっております。このギター・ソロでキー・チェンジするのもなかなかオツですな。

尚、お気付きとは思いますがこのブリッジ部のコードワークにおいてハーフ・ディミニッシュトのマイナー9thが現れているという事は、どういうモードを示唆するのか!?という事は過去にも散々語りましたね(笑)。

ソロを結構聴かせてくれる曲なのでギタリストならば必ず聴いておきたい曲です。楽曲そのものもSDっぽさがありますしね。曲が短く感じてしまうのはテンポが緩めのため、物理的に小節数(拍数)が少ないというのが挙げられるでしょう。

「もっと聴きたい」と感じさせてくれる所で、気が付いてみると5分くらい経過しているという心地良さ。これだけ聴き手をアンサンブルで酔わしてくれるのは、今作はまさに判り易く提示しているからでありましょう。

また、この曲に限らずテンポは比較的遅いので、各音に集中して聴き易いというのもあるでしょう。ドラムにしてみるとかなり扱いづらいテンポではあると思うんですけどね。