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Kクリ裏舞台 [制作裏舞台]

扨て、着信音用の音楽作って結構古参の部類に入る左近治。コンテンツ自体は結局はヒット物やTVコンテンツに勝るものなし!なのかなーと思うことしかり。「勝る」というのは人気度や作品の質ではなく、あくまでもダウンロードの物理的な量のことであって、必ずしも質が比例するワケではないとも思います。

訴求力という点ならゲーム音楽だって心惹きつけられるものだってあるでしょうが、ゲーム界の音楽の権利関係の扱いというのは、多くの権利を管理する会社のやり取りとは一風変わったところがあって、扱えないものも多く存在します。そういう権利関係をクリアして取り扱いがしやすい曲というのはやはり一般的な楽曲なんですな。

NOVAうさぎが流行った時も、左近治は片っ端から色んなバージョンを制作したんですが、この楽曲の当時の権利関係では特殊なものだったのでKクリではリリースできなかったのであります。メロっちゃさんではリリースされていたりしましたけどね(笑)。メロっちゃさんでリリースされていたものは左近治が手がけたモノではありません(苦笑)。

Kクリに応募したきっかけというのは、TVコンテンツに目を向ければすぐに作れるというか、元々90年代前半に海外サッカーなど見たさにアナログCSに手を出して、昔の懐かしいドラマを見ていたりしながらそれらのコンテンツをさわりをMIDIにしていたりした作業を活かせると思って応募したのがそもそもの始まり。私の応募時は作風は自由でしたけど、それにて作ったのが「まんがはじめて物語」のうつみ宮土理が唄う「不思議な旅」だったという(笑)。モグタンと言った方が判りやすいでしょうかね。

著作権利関係を探るのに出版社に問い合わせたり、アーティストの所属事務所に問い合わせたこともありました(笑)。

だいぶ前に、テレビ朝日系のニュース番組「ニュースステーション」の歴代音楽をリリースしてみようかなと計画していた時にですね、80年代中盤ごろのニュースステーションのオープニングを着手しようとした時に権利関係を探っていて打診をしていたんですが、著作者である前田憲男先生ご本人からわざわざメールを頂いたこともあったりして、Kクリの運営サイドの方も驚かれていたことがありました(笑)。

着メロという当時の新たな文化への取り組みとか、ネットを通じたコミュニケーションそれら全てのポジティヴな部分をさらに前向きに理解をしていただいたからこそ、思いもよらないシチュエーションに出くわしたことは多いものです。その後前田先生と楽譜の所在の有無等連絡を取り合ったことがあったのですが、取り扱う作品があまりにも多いためか原盤こそがスケッチ代わりのような制作裏舞台などを知ることができつつも、放送では使用されていない「未知」の旋律を、左近治はおろか御本人も知らないということで、制作が頓挫してしまうこともあり、結果的にニュースステーション関連の企画も左近治が止めてしまったこともありました。前田先生の折角の良心を台無しにしてしまうことにもなるんですが、あらためて前田先生の当時のお心遣いには感謝いたします。

とまあ、今や着うたのみ作っている左近治でありますが、長いことやっているとこういう思いもよらない制作現場でしか知ることのできない側面に出会うことは色々あったモンであります。

ところがその後もネットが隆盛を極めるとともにネットの活用度が過剰になってくると、ネットで氾濫する情報の多くはネガティヴな側面は増して、広告費稼ぎの不必要とも思える情報氾濫、またはスパイウェアやらの多くのネガティヴな部分が増していって、ポジティヴに捉えられていいはずの行動がネット上でのやり取りでは胡散臭く&軽々しく印象付けられてしまうようなシチュエーションも増加することに。ネットのネガティヴな部分が浸透してしまって穿った見方をされるシチュエーションも増えてきたんですね。安直なメールの問い合わせ自体が迎合されない、という状況をも増やしてしまったといいますか。情報セキュリティ面においてもそれは当然の結果なんでしょうけれどね。

ポジティヴな側面の代表的な例をいくつか挙げると、お酒シリーズを企画した時の、「千福一杯いかがです♪」というくだりが有名な「グラスをのぞくフラミンゴ」を作っている時には、楽譜まで提供していただいたこともあります(笑)。

これは、当時の古いCMを左近治は記憶でしか残っておらず、CMも西日本では流れていたようなんですが、こちらでは困難。というわけで楽譜を提供していただいたりしたこともありました。

あとは2002年W杯の出場国の国歌を作ろうと企画した時に(実際には左近治のショップではリリースしておりません)、英国大使館から書簡にて御返答いただいたり、スロバキア大使館からも快く対応していただいたこともありました(笑)。

直後、多くの競合着メロサービスから同様の企画や、CDが発売されたりしたことで「こりゃ、私が作る意味なくなったな」と思い頓挫することに(笑)。

ポジティヴな側面というのはやはり21世紀初頭に多かったんですね。サービスが低下したとか、そういうことではなく、ネットを早期に導入していて限られた所の間で密な連携が取れていたのが、多くの人にネットが普及して連絡手段が安直になってしまったことで、担当部署の方々はそれらの対応に手一杯になってしまう事態に直面することで、企業はそういう声の振り分けをより厳格化する必要性があったのだとも思います。セキュリティ面も然り。そういうことで煽りを食ってしまったポジティヴなシチュエーションって意外にも多く存在すると思います。

「着メロ」文化というのは、着うたでブチ壊されたと言っても過言ではないでしょう(笑)。歯医者さんが会計時にガム渡すようなモンで(笑)、レコード会社サイドが制作会社に依頼したり、着うたをリリースして原盤切り売りで儲けようとした辺りですね。そのやり方に風穴を開けたのがiTunes Music Store。

これにて音楽の本質的な魅力は回復するも、CD売れない、プロモ減少、ケータイ依存組もMDを捨てiPodへと流れ、着メロ黎明期にあるようないつでもどこでも着信音がけたたましくなるようなシーンなんて今では電車の中思い浮かべても非常に少ないワケです。効果音すら鳴るのですら少ないワケで、効果音で十分なのかもしれない。ワンセグやメール、或いはiPod動画片手に着信音ではなく、耳ふさがっているから動的なコンテンツが好まれる。

そこで出てきたのが新たなUIの可能性を提示したWiiとiPhoneやiPod touchの出現。

それでも着信音は生き残る。

なぜかって?

通話料が定額化したりIP携帯化する時こそ、電話としての本来のスタンスを回帰しながら多くの機能を盛り込んで操作性が向上するだろうから。

この融合が始まらない限りは、視覚的なものか、とことんニッチなコンテンツじゃないと磐石な地盤には到達しないと左近治は思っております。ある意味ではシンプルな可能性を秘めていて、国内での3G iPhoneがリリースされて、放送各社が連携取ってワンセグ放送のネットストリーミング化と、番組コンテンツを格安でiTunes Storeで販売できるようになる時代が到来して、ようやく着信音は本来のスタンスを取り戻せるのだと思いますよ。

放送メディアがドラマのスピンオフやらで探りを入れるのも、動画コンテンツ販売の布石なのかもしれませんしね。

データ放送にホームページよりも勝るような情報があるわけではないし、リアルタイムにBGMの曲が判るわけでもない。うまく連携させればそうやって得た情報の曲を配信して売ることだって可能なはずですが、そこまでには至っていない。テレビコンテンツの音楽の情報である程度情報量があるのはフジテレビですが、それだってインタラクティブには程遠い。アフィリエイトを公然とやっているようなものに等しい。

だからこそiPhoneや次なるiPod touchに風穴開けてもらわないと変革はないと思うばかりなんですな(笑)。ポジティヴな側面を取り戻すには、ね(笑)。

経済の世界にしたってリスクは嫌うものの、平衡をも嫌う、と。

土地開発なんてのは最たるもののひとつで、平衡であった場をかき乱して整備して、そこに潮流を生み出させようとする。潮流を無理強いしてでも作ろうとする層が、砂漠をオアシスに変えようとするのに等しく、株の世界なんかもそういうモンですな。

一旦、もうちっと違う場所で波立てないとダメなんでしょうな、たぶん。それが日本ではとってもコンサバティヴになってしまっているんですなあ。だから外資頼みになるんでしょうな。