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高橋幸宏 「La Rosa」を作ってみて [YMO関連]

扨て、明日4月18日はリリース日。とりあえず4曲の予定ですが、おそらく、ちょっとコア目なYMOファンの方々には楽しんでいただける日ではないかと思います。

まずはEFXシリーズではsus4を用いたクリシェを使った、ちょっぴり脳幹直撃系なエレクトロというかオルタナ感を演出しながらチープでkinkyなリフにしてみましたぞ、と。この手のクリシェならもう一回クリシェさせたところをドミナントとみなしてトニックマイナー!みたいな行き方をするのが普通だと思いますが、そうはイカのキ●タマ!ってワケで着信音に最適と思われる音をちりばめつつ、且つポップな演出を施しました。

このジングルを作った背景には、柴咲コウの「Kissして」を聴いてついつい浮かんだモノなんですが(笑)、パクりではありませんし全く違います(笑)。言わんとすることはお判りになるとは思うんですけどね。とりあえずエンディング部以外では全くイメージすら掴めないほど違うと思います(笑)。強いて言えばアルペジエータのフレーズくらいのもので(笑)。

で、他の曲はというと、今回のタイトル通り高橋幸宏の「La Rosa」を。

「ユキヒロ」時代のソロ・アルバムで、作曲は加藤和彦。それにしてもこの曲のコードも実はかなり好きな部類でして、30年も前にポピュラー音楽界でこれほどのコード進行を導入していたというのは非常に驚きであります。

今回リリースするのは坂本龍一が超高速ハモンド・オルガンのソロを聴かせる部分と、その続きにの移調した唄部分ですね。



遡れば、もう2年ほど前からこの曲の触りの部分は制作しておりました。坂本龍一のPremiata Forneria Marconiばり、はたまたエディ・ジョブソンもビックリ!くらいの速弾きの手前で制作は頓挫しておりました。この手のフレーズは音取るのは厄介。音取ること自体が難しいのではなく、この手のフレーズというのは私の場合は、一旦途中でやめてまた別の時に、という風に寸断してしまうとなぜか途中でやる気が起こらなくなるという悪癖がありまして(笑)、一旦集中したらそれを寸断することなく片付けないと耳の集中力が萎えてしまうんです。たった数小節にしても、音の数は結構ありますからね(笑)。中世の頃なんてリアルタイムに写譜していたワケですから、そういう人達の能力には遠く及ばないというワケですな(笑)。

しかし、ソロの部分の音を取ること自体は10分=1工数の場合で20前半くらい。要は4時間くらいなワケですが、4時間一気に集中することすらままならない左近治が情けないんですが(笑)、集中の度合いは傍から見たら多分病的かもしれません(笑)。難曲においてはいつもこんな感じです。

32分音符当たり前、一番速い符割で1拍12連。でも、勢いに任せた運指ではなく、しっかりそれらの符割を意識したソロ運びというのが音を取ってみてあらためて痛感した部分なんですが、おそらく坂本龍一本人は、この手の緩いテンポでは自身の中で倍テン刻んでると思うんですな。そうするとbpm200前後で16分音符や1拍6連を弾くような感じ。そうしないとここまでハッキリとしたフレージングはできないと思うんです。

一方で、同アルバム収録の「Elastic Dummy」のソロは結構勢いに任せた感じを出しておりますが、あれ自体フレーズの音並びがそうさせるだけで、ソロののっけから5つ刻みの1拍6連の羅列から入って来ているワケですからね(笑)。5連符じゃなくて。音並びがそう聴こえさせるだけのギミック感を演出しながら確固たるリズムが備わっている、と。坂本龍一というとテクニカルな部分ではあまり語られにくいかもしれませんが、あらためて技術面をも理解できた思いです。

唄部分に入る時に移調しますが、直前のコードはF△/A♭。

まあ、実体はA♭7(♭9、13)なワケですが、アンサンブル全体でも和声を欲張ってはいません。どちらかというとボサ・ノヴァ系でよく出現するようなomitを意識しているような気がします。

従来から楽理面やらウォルター・ベッカーやら語っている左近治は、このomitしてドミナント感を希薄にしたコードを積極的に使うとベッカー風になるということをあらためて強調したいのでありまして、「La Rosa」のここでは確かにドミナントの用法ですが、この響きを別のアタマで解釈するようにも聴いてもらいたい部分であります。左近治が勝手に弄っているワケじゃないですよ(笑)。

ベースのA♭と上声部のBダブルフラット(=A音)とが強烈な不協和になるのではないか?と勘ぐられる方がおられるかもしれませんが、そんなことはありません(笑)。オルタード・テンションの解体とでも言いましょうか、こういうオミットした音に慣れて別解釈をすると、ウォルター・ベッカーやら、スティーリー・ダンの「Negative Girl」や「Glamour Profession」、或いはフェイゲンの「Tomorrow‘s Girls」のイントロ部など、もっと深く理解することができると思います。

で、唄メロ部は今回クラシック・ギターを用いて上声部でオリジナル・メロディを語りつつ伴奏っぽくアルペジオを織り交ぜております。勿論1パートなので聞き取っていただければ幸いです。というか、ソロ演奏じゃないですからね(笑)。ただ単にクラシック・ギターで単旋律は愚直だなぁ、と思ったのでそれを回避したアレンジを施したというコトです(笑)。

ここでの唄メロの「いつか~見た・・・」の部分はF#m△9ということも聞き逃してほしくない部分です(笑)。その直前のコードで坂本龍一がクロマチック的なアプローチで遊んでいる部分は、メジャー7thにおける「あの」遊び方ですね。散々過去に述べたので今更語る必要はないと思いますが。

最後にトニック解決直前のコードは、アンサンブルにおいてはベースがD、キーボードがE△/F△、という風になっております。ハイブリッド・コードで見立てればE△/Dm7という風な見方ができますが、便宜上はここのコードはD7(#9、#11、13)となります。しかし3rd音(=F#音)をomitしている所がポイントですね。

便宜上コード表記でそのように記していても、実際には7th音を省略したりなどよくあることです。概ねこういうシーンではモードを提示するための策としての意図が感じられるわけで、アンサンブル全体で注釈を付けたい場合はそのような指示をする必要があると思います。で、「La Rosa」でのここは、明らかに3rd音を避けておりますので、そういう細かな意図にも耳を傾けていただければな、と。左近治の勝手アレンジではないですからね(笑)。


加えて、もう1曲が「Plastic Bamboo」のスムース・ジャズっぽいアレンジ。以前にもイントロのみリリースしたことがありましたが、この機会に続きみたいなものをリリースしておこっかな、と(笑)。

この曲はYMOの紀伊国屋ライヴのアレンジを参考にしておりますので、原曲の「Plastic Bamboo」よりも和声感が強く現れるため、曲のイメージを掴みやすいかもしれません。クロスオーバーな雰囲気はプンプン漂いますけどね(笑)。

で、この曲のヒミツというか、実は「Plastic Bamboo」のテーマ部の最初の2コードと、山下達郎の「Kiska」の2コードパターンは同一なんですね。キーというか、センター・トーナルこそFとGで長二度違いますが。

「Plastic Bamboo」では、その2コードをさらに偶数小節で少し手を加えているコードワークにしているんですね。

これに関しては左近治の推測ですが、おそらく山下達郎と坂本龍一の両者はこのコード進行を持ち合っていたのではないかと思うんですね。

山下達郎は後の坂本龍一の「千のナイフ」にて別の曲ではあるものの参加していますし、山下達郎の「Kiska」においても坂本龍一は参加どころか編曲しているので、もしかしたらそちら界隈でお気に入りのコード進行だったのかもしれません。両者全く違うメロディを生み出していますし、ただの偶然かもしれませんし、パクりかもしれません(笑)。ただ、パクりなら両者とも相互に参加しているからその可能性は低いかな、と(笑)。

ここ最近、「Kiska」も作って楽理面において講釈垂れてきたので、折角なら「Plastic Bamboo」まで引っ張らないとと思いまして作りました(笑)。

本来なら数年前にイントロ部だけをリリースした後にでもリリースすれば良かったんですが(事実、リリース当時は続編の声があれば作ります、と私はアナウンスしておりました)、お客様からの、その後のパートを作って欲しいというような声が少なかったので、今まで伸びてしまったワケです(笑)。

お客様からの声が多い少ないで判断するのではなく、折角頂いた声がどれだけ少ないとしてもそれに応えなくてはKクリでのスタンスがぼやけてしまうではないか!と左近治、今あらためて痛感しております。過去には某団体の曲リクエストされたりしたこともありまして(笑)、ちょっとそれに応えるわけには世論の動向からして許容されないだろうな、と当時は判断させていただきました。仮にゴリ押しで作ってもハネられてたかもしれませんし(笑)。勝手サイトならそういう無礼講的スタンスもアリかもしれませんが、一応Kクリは大手も絡んでおられる所ですし、関係各所に迷惑をかけてしまってはなりません。大手だろうが小規模だろうが関係なく公序良俗やら注意を払わねばならないこともあります(笑)。

まあ言いたいことは、お客様の声というのは多い少ないではなく、重みで考えろということですな。それを教訓にしたつもりでございます。

渡辺香津美の弾くカッティングのフレーズこそがキモだと思います。本パターンでは一部フェイザーを掛けておりますので、エグみが伝わるのではないかと思っております。とりあえず今回はこの辺で。