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「A Fear in Woods」 森のくまさんホラーMixアナリーゼ [ネタバレ]

常軌を逸した感じの「森のくまさん」のホラーMixをリリースしたワケでありますが、お聴きになられた方もいらっしゃることでありましょう。

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原曲の森のくまさんのキーはハ長調でありますが、今回のアレンジの楽譜表記では便宜上ニ短調で記譜しております(笑)。

ト短調での旋律的短音階のモードを念頭に置いてもいいかもしれませんが、まあ調性は無いです(笑)。

弱起の小節をカウントした4小節目のフォルテピアノのA音。下声部の姉の右手パートでも1オクターブ下でA音が鳴ってますね。これが呪いのスイッチです(笑)。

2小節目頭の姉のパートの七度ずつのヴォイシングが実に姉のトチ狂って悦に浸っている感じが演出できているかな、と(笑)。嬰ハ音と変ハ音という表記もミソですね(笑)。

現代曲らしく表現してみたかったのもあるんですが、ハーモニクス音(菱形)やらピアノ線ブチ切ったりするような微分音の表記までしなくともいいかな、と思いまして最小限にとどめてみました。

ちなみにこの楽譜はFinaleを用いて作成しております。

故武満徹のように立体楽譜やらも作ってみたいモンですが、あらためて楽譜の面白さを味わった左近治であります。

なんだかんだ言いつつ、姉のパートはジャズの心得があるヴォイシングをしておりますが、原曲の「森のくまさん」とは全く違うコード・プログレッションなので曲の印象はジャズとかそんなの関係なく、実にホラーな感じにはなっているのではないかと思っております。

姉(下声部)の最終小節は全くの空欄ですが、ここで鍵盤に片足乗せて首ハネられないように注意しながら低音弦であるピアノ線をブチ切るのもよし、アルコでピアノ線ボウイングしてもよし、バールのような物でピアノを物理的に叩いてもよしetc。

妹の怯えた感じとは裏腹に、悪魔に魂を売った感じを演出できればベターですな。

まあ、今回Finaleを弄っていて少々戸惑った所は、

「複付点、どないして入力すんねんな?」

というコト。Finaleはほぼ全てがフォントとして用意されているためフォントを使えば勿論すぐに解決するワケなんですが、私が欲していたのは一発コマンドで、マニュアル見る限りだと複付点について述べられている部分を見つけられなかったので、安直に記載したというワケです。上声部の二分休符になっている部分で本当は頭の音を16分音符にして記載したかったんですね。複付点四分休符の後に16分休符をひとつ置く、という風に。

もちろんこの部分は姉が長音ペダルを使っているため、スタッカートにしようとも音は伸びるワケですが(笑)、奏法的な部分でコダワリを表現したかったんですが、まあ、これでもいっかってな感じで譜例のようにしました(笑)。

Finaleは非常に多くのコマンドが用意されているため、昔からMacのOSの持つUIに染まらないようなメニューになっていたりして(笑)、コマンド探しだけでも骨が折れることもしばしば。Windows版に対応してからどちらかというとWindowsユーザーが増えた理由も判るような気がします。ウインドウ内で多くのコマンドを選択させるという手法が多いですからね。私の持っているアプリじゃPerformerよりも長く使用しているアプリであるものの、未だに全貌を使いこなしている気にならないのもFinaleの深さですか。バージョン2.61の頃からのユーザーが左近治です、ハイ。

話を戻して譜例の方ですが、発想記号をお判りになる方はもうお気付きでしょうが、上声部と下声部では矛盾を抱えたようになっておりますが、これは意図したものでして、上声部はピアノがまともに弾けない妹が無理強いさせられて弾いているのと、下声部の方では姉が楽しそうにトチ狂って弾いているという様を演出したものです(笑)。

この辺りが何なのかを知るには楽器を全く弾けない人には無縁のモノかもしれませんが、音楽の深みと楽しみというのはそういう所に含まれているので、発想記号ひとつにしても意味のあるものなのだと思って理解していただければよろしいかな、と。判らないにしてもググれば判るでしょうし(笑)。

こんな楽譜を作りながらとりあえず裏舞台ではマジ曲も作っているワケで、すっかり頓挫していた高橋幸宏(ユキヒロ時代)の「La Rosa」を作っておりました。勿論、坂本龍一のハモンド・ソロもやってます(笑)。我らが日本のエリック・ゲイル!松木恒秀のギターソロ(おそらくL-5?)を作るかどうかは迷っておりますが、作りたくなるんですよねえ(笑)。最近はフルアコが滅茶苦茶欲しい左近治なので、ついついそちらの方まで耳が傾倒していってしまいます。「La Rosa」についてはまた別の機会にでも。