SSブログ

名古屋ピクシーに見たタクティシャンの到来 [クダ巻き]

本来なら音楽的でDAW周辺の話題が中心となるはずの左近治ブログ。しかしながら本日の浦和×名古屋戦におけるピクシーことストイコビッチ監督による素晴らしい戦術を目の当たりにした日にゃあ、このサッカー狂左近治黙っておれません(笑)。

先週のJ開幕を見ると、名古屋の攻撃時における特徴は、バイタル・エリアまで4人がワイドに攻め込むというシーンを何度も目撃できました。7~8年前には世界的に信奉されたいわゆる「4-2-4アタック」的なモノ。

4-2-4が持て囃された理由として、通常ディフェンスは中に絞ってマーク、或いはゾーンをカバーするわけですが、それを中に絞らせない&マークのズレを誘発させるための「4人」によるワイドのアタックなんですね。

それも中盤フラットタイプの4バック、古典的なバックスだと「T」になるんですがラインDFによる4-4-2の布陣が現在の名古屋の基本フォーメーションですね。

本日目の当たりにした凄い部分は、名古屋アタック陣4人がワイドに開いて、一旦攻撃がこう着状態に陥る。そうした時にボランチがある程度高い位置につけながら、前線の4人が一旦中に絞って「2:2」のボックスを形成して陣形を立て直すワケです。つまり、「2:2」の縦の関係を構築しつつ、さらにその陣形後方で、ボランチ(センター・ハーフ)二人がサポートしている、と。つまりここで6人。縦の関係の波状攻撃も視野に入れているワケです。

その6人の絡みに、片サイドにもう一人張っているんですね。これが絶妙。

サイドにボールが散った時、中央の「ボックス」を形成した「2:2」の前線4人が更にワイドに散ったり、その連携が絶妙なんですね。センターに張るタイプを固定しないという流動的なパターン。これにてディフェンスは全くマークに付ききれずに翻弄されているというワケです。

ダイジェスト的な映像で見れば名古屋の凄さがどれほどか伝わりにくいかもしれませんが、本日の試合、「あれが浦和か?」と、確かに浦和もポンテは怪我で長期離脱、昨年もACLまでも見据えた体力づくりをしたためか、浦和はリーグ開幕から1ヶ月くらいは鈍重な仕上げをしてきたように思います。

それにしても高原。酷いですね。いくらブンデスで出番が乏しかったにしても向こうはシーズン中だったワケですが、もはや日本のシーズンに合わせたかのような体のキレ(←未だに冬眠中)、腿が振り切れていない、腰が入っていない、日本の固いピッチにいつの間にか慣れておらずトラップは浮く浮く(笑)、足先だけのキックが凄く多いんですね。これはちょっと心配です。エジミウソンもどこか周りに配慮しすぎてしまっているのか小ぢんまりしております。ちょっと深刻な浦和ですね。山田を右で阿部&鈴木啓と梅崎で中盤を形成させた方がまだイイのでは?と思う左近治でありました。

話を戻して名古屋。

正直ストイコビッチ監督がここまで指導者としての戦術の懐を持ち合わせているとは思っておりませんでした。

左近治はゼーマン信奉者。甲府の型にはまった時のアタッキングは好きでしたし、ああいうひたむきなプレイと戦術が噛み合うと本当に面白くなるもんだなーと2006年はわざわざ甲府に足運んで帰りにはタクシーで3万5千円かけて帰ってきた日もありました。

今の名古屋は、帰りのタクシーに金かけてでも見る価値があると思う左近治です。まあ名古屋から横浜なんて言ったら15万円は下らないでしょうが(笑)、別にタクシーに金かけなくとも足運ぶ、名古屋から豊田スタジアムまでタクシー使うくらいの気概はあっても損はないかな、と思うのです。

現在の名古屋のディフェンスは総じてラインが高い。これで中盤がコンパクト。この辺りはベンゲルを踏襲しているような印象を受けますし、アタッキングの際はオシム流やらを加味しているとも思えます。

かなり楽しみな指導者が現れたわけで、日本サッカー界は正直ストイコビッチを手放すことなく、二度と日本の地を踏まずに欧州で活躍していく指導者を手をあぐねて見るような同じ徹を踏まないよう、ストイコビッチ監督は何らかのリレーションは常に保っておく方がいいかなと思います。

ただ、この手の戦術は1~2年くらいが賞味期限だったのも事実。長いリーグ戦において同チーム二回戦の時には研究されて結果が伴わなかったりする諸刃の剣でもあるんですが、ディフェンスの形成を見る限り、非常にベンゲル時代の4バックに似た部分を感じるので、大きな破綻はないような気もします。故に、名古屋、凄いなと。