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アナタのDAW環境のサンプルレート周波数はDAWかな? [DAW]

左近治のDAW制作環境は24bit 96kHzが標準である理由は以前にも書いたことですが、文字だけではなかなか伝わりにくいのではないかと思って、今回はデモを用意したというワケであります。

一応、制作環境は

Logic Pro 8.0.1とNI Kontakt 3でして、ドラムパート用のトラックはオーディオのApple Loopsを1つ挿入。このドラムトラックにはWaves L3を挿入。

Kontakt 3は新たに追加されたサンプル「Band」>「Guitar」の中のRock Guitarを選択して読み込ませ、Logicのリニア・フェイズEQを1つ挿入して、3~5kHzを標準のQ幅にてややブーストしているだけです。このトラックのMIDIデータは左近治のやっつけMIDIという内容(笑)。


扨て、Apple LoopとKontaktしか使わないというこの環境。当初は左近治のデフォルト環境である24bit 96kHzで制作して、それをバウンス。プロジェクトデータはそのままに、Logic 8のサンプルレートを44.1kHzに変更しちゃいます。

そうすると、全てのプラグインやらApple Loopやらソフト音源も新たなサンプルレートのレンダリングのために再読み込みが済んだ後、24bit 44.1kHzにてバウンス。

ふたつのバウンスしたファイルの後者、つまり44.1kHz側の方はディザ処理の前に一旦ビットデプスはそのままに96kHzにリサンプルします。

その後両者のファイルにディザ(どちらもPOW-r #3)を施し、その後16bit 44.1kHzにコンバート、という内容です。ディザの手順については以前にも詳しく語ったのでここでは詳しく述べません。


現在DAW環境を有している人なら誰にでも判ることではありますが、そういう環境に慣れていない人が「それほど大した差はないだろ」と誤解してしまいそうなのがデジタルの世界。今一度こうして露にする必要があるかな、と。

そうして用意してMP3にしたってぇワケですが、最初の方が24bit 96kHzで制作を始めた方で、後の方が24bit 44.1kHzで制作したデモという風に再生されます。



MP3に変換する前の両者のオーディオファイルをSoundtrack Pro2に取り込んで周波数スペクトラムを見ていただくとこれだけでも歴然としていますが、ナイクイスト周波数付近のフリンジ部のロールオフが強く、高域フリンジが減衰(あるいは無)になっているのが44.1kHzというのが判ります。

96kHzで制作した方は、出来る限りギリギリまでロールオフを抑えているという周波数スペクトラムになっているのも判ると思います。

samplerates_compared.jpg



本来ならこの帯域のロールオフがこれくらいでは音質がこれほど変わることはないんですが、これは元の制作環境における周波数レスポンスの違いや、エイリアスノイズの影響や、ロールオフの影響、EQレスポンスの鈍化によって音が変質する(Kontaktのプリセットのエフェクトをそのまま使用)という現実がお判りいただけるかと思います。

というのも各プラグインもエイリアスノイズを極力排除するように設計されているワケでありますが、そのためにはある程度フリンジ部よりも離れた所からロールオフさせないとダメなんで、高域レスポンスは鈍化し、排除しきれないエイリアスノイズが可聴帯域のかなり低い方まで影響を及ぼすワケですね。これがたかだか2トラックでこれだけ顕著に現れるワケですから、さらに多くのトラックを扱っていると、自ずと「不必要な」低域ソースの集合体がトータルの音像に影響を及ぼすことにもなります。それ以前に音がコモって聴こえると思うんですが(笑)。難聴の人でも違いが判るくらいでしょうから、DAW環境のサンプルレート周波数設定は侮れないワケです。各人の好みにおいて自分の制作環境のスタンダードを有することが重要で、なにも24bit 44.1kHzを否定しているワケではありません(笑)。寧ろ、それをポジティヴに音作りに利用することも充分有り得ることです。

が、私は24bit 96kHzでの制作が全体としてスムーズに進むので24bit 96kHzを選択しているのであります。

192kHz辺りを視野に入れると、ハードウェア部分の高調波の遮蔽設計が更に厳格化されているモノや、クロック精度も相当高めないといけませんし、それらのトラック数が増えると、強制的にディザを書き込まれる環境だとさらにデリケートでクオリティをさらに求められますし、なにより通常のハードディスクでは音を上げて再生トラック数も限られてしまうのがオチ(笑)。交流電源ですら電柱の所と部屋に引っ張ってきたコンセントの所では厳密にはブレているワケで、電源部もかなり厳しく追い込まないと192kHz環境というのはかなり扱いが難しいと思います。

兎にも角にも、たかだかサンプルレート周波数と決め込んでソフトシンセを沢山使いたいからとか、処理を稼ぎたいからという安易な理由で低サンプルレート周波数を選択してしまうと痛い目に遭いかねません。

楽器屋の店頭とかでデモを聴く場合は極力24bit 96kHzを標準にモノ選びした方がイイと私は思います。人それぞれかもしれませんが(笑)。