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音圧上げ下げ裏舞台 [制作裏舞台]

音への欲望など上を見ればキリが無い世界。音質で満足できる環境を手にしても、器楽的に操れる技能を兼備しているかというとそれはまた別の話。つまるところ、音楽を聴くためにトコトン追求するだけでは飽き足らず、楽器の技能や作曲という器楽的なフェーズでも日々切磋琢磨している人達がいるワケですな。

デジタル音声の音量などすぐに上(天井)などすぐやってくるもの(笑)。しかし、デジタルデータそのものは変質していないのに音として届ける時になると途端にクオリティは変わるという世界でもあるんですな。

シニカルで底意地の悪い左近治の(笑)、寓喩タップリのクダ巻きが今日も炸裂するのでありますが、目線だけはトコトン民衆レベルというスタンスなのが左近治でもあります(笑)。選挙ン時だけ地べた這いつくばって頭下げるどこぞの人達とはワケが違うんですな。

まあ、音を追求するにも何にしても、いくら現状に満足していたとしても、その時の姿勢に常に謙虚であることが重要で、常に疑問を抱かないと精進しないものなのでありますが、天井知らずであるはずの事象においてすぐに天井がやってくる音のミックス。音圧の利得を稼ぐことに躍起になる人も多いものですが、そもそも音圧を上げるためには素を知らないとダメなのではないか!?と思うことしきり。

世に出たCDで、今でこそ音圧稼ぎまくりのCDなど珍しいものではなくなりましたが(笑)、大体93、94年頃辺りを境に徐々にそういう「音圧稼ぎ」のCDって増えていったように思います。特にロック系のものには顕著でした。

それまでは「このCD、音デケぇなぁ」と感じさせるCDは2枚ありまして、ひとつは

EW&F 「黙示録」。3500円時代頃の初期のCDであるにもかかわらずミックスはかなりデカイんですな、コレが。おそらくアタックタイムが非常に短いという、応答速度のレスポンスが著しく速く且つレベリングはVU(RMS)基準で作られたようなミックス。だから普通のピーキングよりも4dBくらいは音がデカいんですな。カセットやオープン弄っていた世代の人ならVUの0dBとピーキングの0dBとでは全然違うというのは知っていると思いますが、最近のこの辺の解説ではAppleのSoundtrack Pro2のユーザーズマニュアルP.469に詳しいので、疑問をお持ちの方はそちらをお読みになるのも良いかと思います。

VUメーターでとことん目一杯レベル稼いでカセットに録音してあげると、ピーキングのタイプのレベルメータしか搭載していないデッキで再生するとレベルオーバーしてる、ってヤツですな(笑)。よ~く友人に指摘された経験があるモンです(笑)。音割れしてないからそこまで録音しても大丈夫なんだ!と言っても、現在のSoundtrack Pro2のマニュアルのように口説き落とせるほどの知恵持っていなかったモンですから懐疑的に扱われたことしきり(笑)。ヘッドの消磁やら細心の注意を払っていないと、RMSで0dBギリギリ狙ってもその前に音が飽和してきちゃうんですけどね(笑)。つまるところ、VU環境では非常にデリケートでもあり、面白みもあったってェもんなんですよ。

コンプ系でよく目にすると思われるCeiling(=天井)とは、まさにコレのことですしね。天井より超えることがないように上を抑え込んで下はエキスパンドしちまおうっていう魂胆が「音圧上げ」であります。

でもですね、カセットやオープンなどのアナログ時代と同じようにデジタル社会の今でも音圧上げには素を選ぶような所があるんですね。

重要なのが「パノラマ感が豊富or乏しい」かに尽きるんですな。

音圧上げのソースに適しているのはパノラマ感、つまる所ステレオイメージが非常に拡がっていたりパンがキツく振られている類のソースです。こういうのはソースはある程度過剰に音圧上げても破綻しにくいモノです。

裏を返せば、ステレオイメージに乏しいソースで音圧上げやっても愚の骨頂なんです(笑)。縫い目がハチ切れそうな体型なのにスキニージーンズ履いてるようなモンです。

アナログの場合、機種のクオリティにもよりもすがデジタルのそれよりもクロストークは甘いし、品質があまり宜しくないもので音圧上げて録音してもこれまた飽和状態がすぐに起きる、と。ただ、アナログの馴染み感や飽和感というのは結構味わい深いものがありますが(笑)、こういうアナログ的な特性を逆手に取って歪み成分をポジティヴに利用している人は今でも多いのでありますな。

ただし、そういう時も素のステレオイメージが豊かな方が破綻しにくいと思います。

特にそういうソースで低域がふんだんに含まれているとこれもまた厄介。ある意味ではLFEに通すような帯域の上をスパッ!とパラって低音ソースだろうとステレオイメージにさせてしまうミックスだってあります。こうすることで音圧上げをやる時にも破綻しにくいということを念頭に置いてやっているんでしょうけどね。ベースだろうがキックだろうが、積極的にパノラマ感をワイドにしたミックスは最近ではより増えてきたと思いますが、その背景には音圧上げでも破綻しにくいための配慮というのもひとつの理由だと思われます。

ケータイ端末のスピーカーの場合、端末本体のバッテリーをセーブしたいという理由から、スピーカーの出力音圧レベルを稼ぐことで、より消費電力を少なく且つ音を大きく出せるというようなものを搭載しているものも少なくありません。しかしオーディオ機器やらPA機器のように匹敵するようなクオリティは持ち合わせていないので(笑)、す~ぐ破綻してしまうようなスピーカーもあるので、闇雲に音圧上げた着うた制作はできません(笑)。

かなり飽和させように音圧上げた「かっぱの唄」をリリースしたのが左近治の一番最初の着うた曲(笑)。これは試験的な意味合いがあったんですが、リリース前のテスト段階でレベルが大きすぎてNG食らったモンですよ(笑)。トランスっぽいアレンジの「かっぱの唄」は実はこういう狙いがあったんですな(笑)。