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Logic Proでのディザリングのお話 [DAW]

Logic ProではPOW-rディザリングというアルゴリズムが3種類内蔵されているワケですが、MOTUのDPをメインに使用していた頃のオーディオの扱いは、ディザは通常切っていて、プラグインでディザをコンパウンド出来るタイプのものも切っておりました。最終的なCD-DAフォーマットにする際にディザを使うワケでしたが、元が24ビット44.1k/48kHzの制作環境だとディザを施しても、ノイズシェイピングが上方に「逃げて」くれないので、DPのディザは使っておりませんでした。

例えばApogeeのUV-22HRというのはかけ録り形式のようなステップを踏むので間違った施しを回避できるという面もあります。

ステップを誤った例というのは、概ねノイズシェイピングの「逃げ」を作れないことで、ナイクイスト周波数上限付近のノイズフロアを増大させてしまったり、或いは全帯域のノイズフロアを均一に増大させてしまったりとか(笑)。

ディザ処理のステップで重要なのは

●処理以前の制作環境が高ビット、且つ44.1kHz/48kHzよりも上のサンプルレート周波数が必要
●ディザを施す時はビット数のみ落として、サンプルレート周波数コンバートを同時に行わない

この2点に尽きると思うワケですな。

例えばCD-DA規格の「16ビット44.1kHz」へ最終的にコンバートするとして、私の場合は元の制作環境は24ビット96kHzなワケですが、Logic Proのディザを使おうが、外部のディザを施そうが、ディザを施す時はビット数を落とすだけに留めます。

この変換時には化粧で例えたらファンデーションをたっぷり塗り込むのと似たようなもんなんで、レベルが増大します。0dBのポイントでレベル合わせしていると僅かにレベルは超過するので、ディザ処理後のレベル調整或いはそれを見越したレベル設定が必要であります。

ノイズシェイピング処理も行うディザのアルゴリズムだと、44.1kHzのナイクイスト周波数つまり折り返し周波数付近のノイズフロア増大は起こらず、96kHzのサンプルレートならノイズシェイピングのノイズフロア底上げは96kHzの上限付近に推移するので、これが「逃げ」。

44.1kHz/48kHzで制作していたした場合、一旦24ビットの等倍上のサンプルレートに「リサンプリング」する必要があるかもしれません。

但し44.1kHz/48kHzでソフトシンセやソフトサンプラーを用いた制作環境の場合、以前の記事でも書いたように、その時点での音源そのものが発する「エイリアス・ノイズ」の影響を受けてしまうので、ここを注意しながら制作すればハナから44.1kHz/48kHzで制作しても弊害は少なくなるでしょうが、EQのレスポンスは設定こそ同じであっても全く違ってくるので注意が必要ですし、エイリアスノイズを気にしながら制作するよりも高いサンプルレートでやってしまった方が作業的には非常にラクなワケですね。

こういった理由から左近治は24ビット96kHzの環境を選択しているのであります。着うたと言えど、この辺りは侮れないんです。


ディザを施して「16ビット96kHz」のファイルが出来たら、それを44.1kHzなりにサンプルレート周波数のみをコンバートします。これ自体はLogicだろうが外部の波形編集ソフトであろうが、ナイクイスト周波数直近のフィルタリング処理は色々クセがあるものなので色々試されるのが宜しいかと。なんだかんだ言ってUV-22HRを使う時が一番手っ取り早いんですが、Logicユーザーならなるべく本体の備える機能を存分に発揮して使った方が満足度も高まるのではないかと(笑)。

多くの売り物のサンプル音源も、波形レベルで確認するとディザやノイズシェイピングの処理手順を誤ってしまってノイズフロアを増大させているサンプルというのをこれまで結構確認して参りました。結構著名な音源でも普通にリリースされていたモンです。最近では見かけることが少なくなったようですが。


私自身はディザを施して最も顕著に音質差となって現れてくれるソースというのは、身近な楽器で言うならフルートですね。特に強くブレスした時などは顕著ですね。囁き感というか、その手の音の変化が顕著に現れます。

Logic ProやUV-22HR以外のディザのアルゴリズムは、場合によってはその「囁き感」が完全に均されてしまって埋没してしまうものもあります。私の知る限りだと、ディザを徹底的に細かく編集できるのはAdobeのAuditionだと思っていますが、Reaktorのユーザー・ライブラリのFinal Prozというディザは秀逸に値します。ただ、Final ProzのTriangularだとハイハットの音が、ふた昔ほど前の3348系っぽいクセのある高域になってしまうんで、この辺りも色々試す必要があるでしょう。

もちろん左近治はそれに応じて色々使い分けているんですが、音質差が判るくらいのコンバーターやインターフェースはやはり必要だと思います。外部クロックジェネレータを使っていれば更に顕著に現れます。

左近治は底意地が悪いのか、そういう間違った手順で敢えてブログで視聴用にアップロードしてみたりとかしてみたこともあるモンですが(笑)、どういう反応を示してくれるモノか、少々イタズラ心が疼いた時もあったモンでさぁ(笑)。

age under 12からはDAW制作の始まりというのが珍しくない今日。今宵もまた老婆心ながら間違ったディザのステップ踏まないようによいこのみんなへTipsとまでは言わないけれども披露した次第でございます(笑)。